星河の覇皇
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第八十七部第四章 首相官邸にてその六十七
「だからな」
「それ故にですね」
「暗殺はしてはならない」
「それだけはですね」
「だから首相もですね」
「それはされないですね」
「これまでしたことはない」
一度もというのだ。
「そしてこれからもな」
「されないですね」
「そうされますね」
「そしてですか」
「周りにもですか」
「そう言っている、謀略といってもだ」
それでもというのだ。
「禁じ手がある」
「それが暗殺ですね」
「謀略でも色々とある」
「やるべきでないことも」
「そしてそれが暗殺なのですね」
「ボルジア家は多くの暗殺を行い」
先程話に出したこの家はというのだ。
「そして多くの政敵を抹殺してだ」
「権勢を振るいました」
「ルネサンスのイタリアにおいて」
「そうなりました」
「そうなったがだ」
それでもというのだ。
「歴史にある通りだ」
「没落しましたね」
「一家の主である教皇が倒れれば」
「その途端に」
これは教皇が政敵に毒を盛ろうとして逆に自分が誤って飲んでしまったからだとも言われている、そうであれば自業自得か。
「まさに傘道を転げ落ちる様でした」
「あの凋落は」
「あと少しでイタリア統一でしたが」
「それが水泡となりました」
「あれはだ」
まさにというのだ。
「謀略の中でもな」
「その一線を越える暗殺を濫用した」
「その報いですね」
「事実政敵を暗殺しようとしてでした」
「それで自分達が毒を飲んでしまい」
「そうしてでした」
「一家の主の教皇にだ」
アレクサンドル六世である。右手に奸智左手に暴力と言われた歴代教皇でも悪辣なことで知られている人物だ。
「イタリア統一を推し進めるチェーザレ=ボルジアもだ」
「共に、でしたね」
「自分達が毒に倒れました」
「自分達が政敵を葬ろうとした毒に」
「間違って飲んでしまい」
「そう言われているな」
ただしマラリア説もある、だがアッチャラーンはこのことは無視して話した。
「そしてだ」
「ボルジア家は凋落しました」
「今も子孫がいますが」
「それでもですね」
「凋落したことは事実ですね」
「そうだ、暗殺を駆使するとな」
「それがやがて巡ってくる」
「自分自身に」
「因果応報だ、謀略は呪いと同じでだ」
アッチャラーンはこうも話した。
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