星河の覇皇
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第八十七部第三章 港の整備その五十二
「それが巷の予言でだ」
「何があっても人類滅亡と言っているものですね」
「狂人の言うことは私は気にしない」
「取り締まることもですね」
「民主主義国家であることもあるが」
連合では色々と言われているがエウロパもまた然りなのだ、れっきとした民主主義国家であるのだ。普通選挙も言論の自由も保証されている。
「狂人の戯言に政府が動くなぞだ」
「その必要はないですね」
「狂人の相手をするのは医者だ」
「精神科医ですね」
「そちらの仕事だ。若し何が何でも人類滅亡と喚くなら」
それならばというのだ。
「もうそれは狂人でだ」
「それで、ですか」
「精神病院にだ」
「入れてですね」
「治療を受けさせるべきだ」
「連合でシャバキという者がいるそうですが」
カミュはここでふとこの名前を思い出した。
「何でも」
「狂人だな」
「何を見ても人類滅亡と喚き」
まさにその彼のことを話した。
「その滅亡の経緯も言う都度変わります」
「予言の常だな」
予言の本のとだ、ギルフォードも述べた。
「まさに」
「そうですね、それであまりにも発言が酷いので」
「精神病院に入れられたか」
「その地下深くに」
「連合の者達もわかっているな」
ギルフォードはここまで聞いて冷静に言った。
「それは」
「狂人に対してどうすべきか」
「狂人は狂人でだ」
「精神病院に連れていき」
「治療を受けさせるべきでな」
それでというのだ。
「治療しても回復の見込みがないならな」
「一生ですね」
「隔離するしかない、感染症で人類も滅亡せず」
そしてというのだ。
「国家もだ」
「滅亡しないので」
「我々は惑わずだ」
「冷静にですね」
「対処すべきだ、対処の方法のない病気なぞ存在しない」
ギルフォードはこうも言い切った。
「絶対にな」
「そのことは絶対ですね」
「まさにな」
「この世に絶対のことは少ないですが」
「治療方法、対処方法のない病気なぞだ」
「絶対に存在しない」
「だからだ、どういった疫病が流行してもだ」
ギルフォードはここでは梅毒以外にも天然痘やコレラ、特にペストといった疫病を考えつつそうして話した。
「惑うことも絶望することもな」
「ないですね」
「まずは落ち着いてだ」
そうしてというのだ。
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