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金木犀の許嫁

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第三十八話 狭い道を歩いてその三

「凄くね」
「そうでしょ、お父さんとお母さんにね」
「連れて来てもらったんだ」
「最初はね」
「そうだったんだ」
「その時お姉ちゃんも同じで」
 それでというのだ。
「お姉ちゃんもね」
「このお店知ってるんだね」
「そうなの」
 こう言うのだった。
「これがね」
「そうなんだ」
「それでね」
 夜空はさらに言った。
「その時美味しいって思って」
「今もだね」
「こうしてね」
「俺と一緒にだね」
「来てるの」
「そうなんだね」
「自由軒もね」
 さっき行ったこの店もというのだ。
「それでいづも屋も」
「同じなんだ」
「織田作さん由縁のお店以外でもね」
「子供の頃になんだ」
「家族でね」
「行ってるんだ」
「蓬莱も金龍ラーメンもね、あとかに道楽もね」
 あの大きな動く看板で有名な店もというのだ。
「行ったことあるし」
「道頓堀の」
「がんこ寿司も行ったし」
「難波のお店はなんだ」
「子供の頃からね」
「行って知ってるんだ」
「そうなの」
 こう話した。
「私とお姉ちゃんはね」
「それで道も知ってるんだね」
「一度じゃなくて時々ね」
「行ってて」
「道も知ってるの」
「そうなんだね」
「ええ、けれどね」
「けれど?」
「お酒はね」 
 これはというのだ。
「最近までね」
「ああ、町の条例でね」
「八条町のね」
「俺達の学校がある」
「それがあったから」
「飲んでなかったんだね」
「まあ他のところじゃね」
「二十にならないとね」
「飲めないから」 
 だからだというのだ。
「五年先だから」
「いいね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「一旦飲むと」
 夜空はこうも言った。
「私かなり飲むから」
「それ俺もだよ、お互いお酒好きだよね」
「そうよね」
「お酒いいよね」
「そうよね、けれどね」
 それがというのだ。
「最近までね」
「お酒はだね」
「知らなかったわ」
 そうだったというのだ。
「本当にね」
「俺もだよ、けれど今は」
「お家で飲んでるわ」
「そうだね」
「そっちも好きで」
 酒もというのだ。 
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