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神々の塔

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第八十五話 第六天魔王その五

「やってること見てるとな」
「負けてへんね」
「命助けるっていうて城兵白から出させて」
 そうしてというのだ。
「皆殺しとかな」
「それも何度も」
「主家筋滅ぼしたしな」
「大内家やね」
「他にもいろいろしてるな」
「お家五十も潰してるしね」
「それやとやな」
 羅もそれはと言った。
「もうな」
「相当悪い人やね」
「ほんま三悪人より悪いわ」
 戦国のというのだ。
「はっきり言えるわ」
「元就さんは」
「戦国一悪いと言ってもな」
 そこまでというのだ。
「過言やないかもな」
「そこまでの人やね」
「この世界では神霊さんでもあるけどな」 
 そうであるがというのだ。
「ほんまな」
「信長さんは元就さんろ比べるとな」
 メルヴィルも言った。
「全然な」
「優しいね」
「ああ、色々言われても殆どが創作で」
 事実でなくというのだ。
「残酷さもな」
「ないし」
「よくあそこまで言われたな」
「実際とちゃい過ぎるね」
「ああ、苛烈どころかな」
「穏健やね」
「敵に対してもな」
「歌狩り深くもないし」
「結構人信じるな」
「それで裏切られたりもするけど」
 本能寺の変だけでなく荒木村重も背いている。
「けどな」
「それでもね」
「信じる方やな、人を」
「そうしたことがわかってきてん」
「信長さんについては」
「お寺も焼いてへんし」
「一部が燃えただけらしいな」
「比叡山についても」
 当時から焼き討ちしたと言われたがだ。
「そうみたいやし」
「秀吉さんの言う通りな」
 まさにというのだ。
「優しい人やったな」
「その実は」
「それがな」
 その実像がというのだ。
「随分変わるもんやな」
「そやね」
「イケメンやったのは事実でも」
 このことは当時から有名だったという、尚妹のお市の方は戦国一の美女として非常に知られている。
「それでもな」
「むしろ優しくて穏健やった」
「そして神様も仏様も信じてた」
「お酒も飲めへんで」
「全くちゃうな」
「うちが最初に驚いたんは下戸やったことやねん」 
 綾乃はメルヴィルに話した。 
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