今度こそ、成し遂げてみせる【未完】
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第8話「お前、マジか」
「よし、飛び降りるぞ」
いやちょっと待ってくれ。まだ心の準備が出来ていない。というかバイクはどうしたバイクは?
あぁ、どうも、遅くなったな、ヒルデだ。現在、某工場地帯に出現したノイズ殲滅の任務に就いている。
翼と共に二課所属ヘリに乗り込み、ノイズが出現した某工場地帯へと移動完了…したのだが。ポイント上空に到着したと同時にヘリの扉を開けた翼は我先にと赤いペンダントを握りつつ飛び降りようとしている。手際がよろしい事で。
「しかし、初回の任務の際もそうだが、ヒルデはいつも任務に積極的だな。ふっ、負けてなれないな」
当然だ。
今回は違うが毎回毎回ノイズ共のせいで好きな事の楽しんでいる最中に呼び出されるんだ。一刻も早く撃破し、再び好きな事を楽しむのだ!
「ふっ」
…今お前笑ったな、それも2回目だなビンタしてやろうか。ビンタしたい衝動が走るが我慢我慢。
「一番槍は私が貰っても良いかな?」
「ふっ、いいだろう」(お先にどうぞ)
「では…風鳴 翼、出撃する!」
ペンダントを握りしめている翼は躊躇なく飛び降りた。
『Imyuteus amenohabakiri tron』
ノイズを打ち倒す戦姫を戦場に降ろす奇跡の呪文。アメノハバキリの聖詠を歌いながら。
シンフォギアを纏った翼は無数の剣を顕現させ、大小問わず多くのノイズへと降り注がせ斬り裂いてゆく。
私も出撃しよう。
ヘリを飛び降りた私は近くにあった数ある中のとある工場の屋根へと着地した。うむ、見晴らしが良いな、戦況がよく見える。
着地後は狙撃銃を顕現させ、即座に銃撃を開始した。顕現した銃は【シャオリン】が使用しているもの。
狙撃銃とある通り、狙撃に機能を特化した小銃だ。遠距離からの目標の狙撃に適した銃である。
戦況によっては一方的に撃破可能だ。今の場合はコレに適している。一方的に撃破出来るって気持ちいいよな。
上空を飛ぶノイズを全て撃破完了し、地上に蔓延るノイズを撃破すること10分。
残り敵数は1となり最後残ったノイズは翼の手によって撃破され、ノイズ共との戦闘は幕を閉じたのだった。
ーー数分後ーー
「ふぇぇぇええん…っ!怖かったよ、お姉ちゃんー!!」
「大丈夫、大丈夫だから。怖いノイズ達は全部倒したから。だから泣かないで、ね?」
よしよし、と女の子を慰めるガングニールを纏いし少女。ガングニールを纏いし少女はかつてシンフォギア装者として戦っていた奏では無い。ガングニールのギアスーツは奏とはまた違った。
ガングニールを纏いし者は、私にとって見覚えありまくる人物だった。
今までノイズ殲滅一心で忘れていて今更であるが、一つ言わせて欲しい。
お前、二課の人間だったのか…響。
-
ヒルデ「お前、二課の人間だったのか…響」
Q「そうなんですか?」
A「今は違います。そう、”今”は」
――――――――――――――――――――――――――――
■響がシンフォギアを纏えられたのはそういうことか。
サイト管理者です。第11話になります。
*はナレーションの声です。どうぞ、ご覧ください。
-
*翼、奏、響はギアを解いた。ヒルデも戦術礼装から解いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ノイズ共との戦いが終わり、現場の処理などを現在もなお黒服&兵士達によって行われている。
一方、私は…、
「ヒルデさん、カッコよかったです!」
響と話をしていた。そ、そうか。照れるな。
言葉を交わしていると翼と奏が私達の元へとやってきた。
…黒服達を連れて
ジェーン、ジェーン、ドコンっ。なんかこう、漫画とかでよく表現されるのが聞こえた気が…否、聞こえた。
黒服達が私達を囲むように整列しているのはこう、迫力がある。さながら苦難の末に悪役を追い詰めた勇者のよう。
まず以って私は断じて悪役では無い。悪役ならばあの腹黒眼鏡女、あの…名前なんだったかな。記憶力には自信があるほうなのだが。とにかく、だ。悪役ならば絶対にあの腹黒眼鏡女この一点、間違いない。
「あわわわっ」
…それにしても黒服共、先程からずっと無言だな。響は違うが。
響もこの状況に驚きを隠せないようだな。分かりやすい。
響よ、私は驚きどころかその驚きを凌駕しているぞ。内心でだが。
しかし…まさか用済みになったからこの世からサヨナラなんてことならない、よな? ならないよな?
その場合は響を盾にするからな!
黒服共の内の一人が前へと出て近づいてくる。アイツは忍者っ。
ん? 懐から何かを出そうと……まさか、拳銃を出そうと!?
『此処が貴女の墓場となります』
なってたまるかぁぁぁ!巫山戯るなよ、貴様ァァァアア!!
「ひぇぇぇ…ふぇ? ひ、ヒルデさん、なんで私の肩を掴んで、いるんですか?」
さぁ、忍者、動くなよ。私にはな、響が「ヒルデさんっ、ちょっと肩が、肩が痛いです。力込めす…痛い痛い痛い!」…あ、すまん。
あぁ、今この瞬間にも忍者が…もう目の前にやってきた。
私は顔を上げて空を眺めた。あぁ、いつも眺める星空は何故か何時もよりも綺麗だな。
グッバイ世界。
「すみません、貴女の身柄を拘束させていただきます」
「なんでぇぇえ!?」
…ん?どうやら私を撃つ為では無く響を拘束する為のようだ。
忍者が懐から出したのは銃では無く、手錠であった。
私はとんだ勘違いをしていたようだ。はぁ〜。
その後、忍者とシンフォギア組のエスコートにより響を車に乗せ、本部へと向かった。私もである。
暫くして私達を乗せた車はリディアン音楽院にたどり着いた。
学園内の中央棟に入り、やがては中央棟のエレベーターに乗り込んだ。
「さ、危ないから手すりを掴んでください」
「危ないってどいゆう…ダヒャアァァァ」
どんな人でもこのエレベーターに初めて乗ると必ずこのような反応が出ること間違いなし。響のように。
しかしながら、忍者は関係ないが高速で下降しているのに関わらずスカートがめくれないのは実に不思議だ。
最初は真っ暗だったが突如明るくなる。見渡すとそこには意味深な壁画や文字がビッシリ。
巨大な空洞の中にはエレベーターがポツンと。
私はこのエレベーターに乗ってコレを見ると宗教施設に入ったのでは、と錯覚する。必ずな。
初めは割とガチでそう思っていた。
しかし…、
「この状況、二年前を思い出す。もしやまた準備しているかもしれないな」
きっとあの時と同じだろう。
「え、えっ?なんの準備ですか?」
響が困惑する中、エレベーターは止まり、扉が開かれる。すると…、
「ようこそ!人類最後の砦、特異災害対策機動部二課へ!!」
両手を広げ、ウェルカムな構えの司令官を筆頭にクラッカーとトランペット、そして拍手が出迎えていた。…私は頭を抱えた。やっぱり、か。
その後は色々と楽しいことをして司令官が明日来てもらえるかの説明を響にしてお開きとなった。
次の日、響が纏うシンフォギアについて分かったと連絡が入り二課にたどり着くともうすでに二課の皆と響がいた。
説明云々を聞いた響。司令官と腹黒眼鏡女より理解出来たか質問あるかを聞く。反応はというと…、
「えっと、さっぱりわかりません!」
苦笑いの響きにシンフォギア組とオペレーターの二人は頷く。息ピッタリ。
ちなみに響がペンダント(聖遺物)無しにシンフォギアを纏えたのは、胸の中にある小さな聖遺物の破片によるものだそうだ。
響がシンフォギアをまとえる理由が分かり、司令官である風鳴が協力を仰ぎ、響は受諾。
本日はこれにて解散となった。
解散後、櫻井了子は曇り無き笑顔で響を見ていた。そうそう、腹黒眼鏡女の名前はこれだったな。
しかしこの女、なんて顔をしているのだ。気づかれないようにしていたようだが私は気づいたぞ。
アレは好奇心に満ちた顔だけではない。まるでマッドサイエンティストのそれだ。
きっとこう思ってる。『この娘を調べ利用すれば私の夢が、悲願が叶うことだろう。アーハッハッハ!』
やはり悪役間違いなしだな、この女。
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