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さらば鳴尾浜

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第四章

「妹さんも来てるんか」
「カープファンも祝ってくれるんやな」
「鳴尾浜とお別れしてや」
「今日でお別れや」
「笑顔でそうしよな」
「宜しくお願いします」
 千佳は阪神ファンの人達に礼儀正しく挨拶をして述べた。
「これから」
「ああ、こっちこそな」
「宜しくな」
「今日は笑顔でお別れしよな」
「そうしよな」
「じゃあ一緒に観るぞ」
 寿は妹にあらためて言った。
「最後までな」
「それじゃあね」
「もう移転の準備は出来ているんだ」
「二軍の球場も寮も」
「施設もな」
 そうしたもの全てがというのだ。
「尼崎の方に」
「それでそちらでよね」
「これからはな」 
「阪神の二軍の人達は暮らして」
「練習をして」
「育っていくのね」
「そうなるんだ」
 これからはというのだ。
「これからは」
「未来はそうなのね」
「そうなんだ」
 まさにというのだ。
「もうその準備は整って」
「今からでもなのね」
「尼崎に移れるよ」
「じゃあお兄ちゃんこれからは尼崎に行くのね」
「二軍のことは」
「そうなるわね、私もね」
 千佳はカープファンとして応えた。
「カープの二軍観る時は」
「尼崎に行くな」
「そうするわ」
「お別れしてもだよ」
 鳴尾浜とはというのだ。
「まだな」
「阪神はあって」
「これからはそちらで」
 尼崎でというのだ。
「二軍を観るんだ」
「若虎の人達をなのね」
「そうだよ、お別れがあれば出会いもある」
 寿は腕を組んで言った。
「よく言われたことだけれど」
「今そのことを実感しているのね」
「よくな」
「私もよ、ここには何度か来てるし」
 見れば灌漑深い目になっている。
「これが最後だと思うと」
「お別れだと思うとな」
「寂しいわ」
「そうだよな」
「もうこれで終わりね」
「鳴尾浜とは」
「そうね、けれど」
 兄の言葉を思い出して話した。
「新たな出会いがあるわね」
「尼崎の球場に寮に」
「施設ね」
「そこで観て」
 そうしてというのだ。 
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