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第84話「ブリリアンス・ギルドの日」

 
前書き
ネオ・代表O5−1です。第86話となります。
どうぞ、ご覧ください。 

 
 ―――艦隊旗艦エターナルストーム級Ⅱ型〈シエラ〉。

 ブリリアンスの本部が置かれる惑星の軌道上には、多数のアクラメータ級戦闘航宙艦が集結していた。通常空間に続々と出現して来ている。

 「第二十四機動艦隊が到着。第十五、第十六、第二十機動艦隊も同様に到着」

 「惑星破壊兵器《DS−2》、ならびに《DSー4》が間も無くワープアウト、第七艦隊もです」

 「…そう」

 長い赤髪が特徴的の女性司令官は、副官と共にブリッジにあがり正面へと目線を見据えた。彼女もまた、コピーアンドロイドの一人だった。
 次の瞬間、ヴェネター級スター・デストロイヤーを旗艦とした第七艦隊が通常空間に出現した。第七艦隊は、戦闘艦だけではない。

 「後続、ワープアウト」
 
 惑星破壊兵器をも、含まれていた。そして、エターナルストーム級のみの艦隊が、現宙域にワープアウトする。
 艦隊の集結を最後まで見届けるシエラには、確信があった。必ず勝利する事を、だ。

 「”合図”が出たら、直ぐにワープ航法に移行」

 「はっ!」

 シエラは口元は半月を描くかのように弧に歪み、集結し続ける艦隊を見つめるのだった。

 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 艦隊は集結した。シエラは腕を組みながら、静かに見守っていた。

 「0号の演説の時間まで、残りどれくらいだ?」

 「30分を切りました、シエラ司令官」

 「そうか。では、ジャンプ隊形のまま待機しておけ」

 「はっ!」

 シエラは、ブリッジから眼前に広がる光景を見つめる。スヴェート砲を搭載するヴェネター級、同じくそれを搭載するアクラメータ級。そして、全長1600m級のエターナルストーム級が密集していた。
 密集しているが、隙間が出来ている。が、その隙間には、新鋭艦であるアークワイテンズ級クルーザーの姿があった。

 艦隊の中心には惑星破壊兵器が含まれている他、スターダスト計画に頂点に君臨する存在もあった。頂点に君臨している存在は、睥睨と浮かんでいた。

 まるで、宇宙最強と名高い軍が、真に復活したような光景だ。

 だが、まだ足りない。追いつき、追い越さねばならない。歩みを止めてはならない。進みに進み、進み続けらなければ。
 
 彼女の瞳は、鋭く睨みつけていた。

 25分の時間が経った。時間が経つ中で現在も数人の士官が下士官達に指示を出しており、艦に異常が無いか、念入りにチェックをしていた。
 
 「そろそろ演説の時間、ですね…」

 シエラはブリッジのモニターを見つめながら、軽く深呼吸をする。演説が終われば、直ちに戦場へワープしなければならない。

 負けるつもりも死ぬつもりも毛頭ないのだが、やはり緊張する。思わず強張った表情をしてしまうのは、仕方がなかった。

 5分が経過した。遂に、である。演説が始まったことが報告される。
 
 「モニターに映します」

 ブリッジのモニターに、ギルド長の姿が映し出された。

 誰もが固唾を飲み、見守っていた。上に立ち率いる者としての威厳が、確かにあったのだ。画面越しにも関わらず、ギルド長の重圧に襲われたシエラは身震いしてしまう。

 ギルド長の口が開く。遂に演説が始まるのだ。落ち着いた声のトーンで、演説が開始された。

 『―――諸君、地球は今まさに、ガトランティスによって滅亡の危機に晒されている。ガトランティスは白色彗星に擬態した木星規模の人工天体と共に、宇宙中を駆け抜けては星々を席巻し、他文明を圧し根絶する存在。…次なるその対象は、私の故郷―――地球だ』

 まさに悲劇で、しかし真実だ。現在進行系で【対象】に選ばれた地球は、ガトランティスによって滅亡の危機の中にあった。

 『―――地球は滅亡の渦の中へと飲み込まれ、消え去ってしまう。侵略者であるガトランティスは気にもしない。…まるで、いや、もはや荒らしだ!』

 彼女の演説は、嘆きから怒りに変わった。

 『なぜ地球が、涙を流さなけれならない?!ふざけるな!!』

 身振り手振りを交えつつ、更には次第に熱を帯び、語気を強くする演説。
 この姿は、感情的な一面を与え、聞く者の心を完璧に支配した。

 そして、彼女は両腕を前に大きく広げ、宣言する。

 『我々は大攻勢に転じる!ブリリアンスはガトランティスに対し、【対荒らし殲滅プロトコル】を発動することを、ここに宣言する!!』

 その言葉と共に、歓喜の声が広がった。

 ギルド長を称える声があちこちと発生し、熱気と大歓声が止まらない。

 涙を流し、喜ぶ者もいれば、雄叫びをし、戦いを待ち望む者もいた。
 次の瞬間、我へと素早く帰ると己の職務に戻った。

 遥か上空に位置するブリリアンス軍にとって、総統のそれは出撃の合図だった。

 「全艦ワープ航法に移行を開始」

 ブリッジでは、座標計算が行われ始めていた。

 「ドライブ正常に稼働中」

 「30秒後に全艦ワープします」

 下士官達の報告でブリッジはいっぱいだ。

 準備は整った。

 『空を見上げて欲しい!栄光あるブリリアンスの大艦隊が、地球を滅亡せんとする荒らしガトランティスを駆逐する姿を!!』

 「ワープ!」

 軌道上の大艦隊は、防衛艦隊を除き、皆ワープしてゆく。ブリリアンス・ギルドの大艦隊は、地球を救う為に戦場へと旅立った。 
 

 
後書き
スヴェート「よし、演説が終わったから戦場に行くぞ!我が娘、お前もだ!」
スラクル「寝たいです」

さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
 
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