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第81話「冥王星守備艦隊VSガトランティス艦隊」

 
前書き
ネオ・代表O5−1です。第81話「冥王星守備艦隊VSガトランティス艦隊」となります。
どうぞ、ご覧ください。


 
 地球防衛軍は第11番惑星での壊滅的被害を貰わないよう、各惑星の守備艦隊を展開した。その中には同盟関係である、ブリリアンスも含まれていた。

 地球は到底知らないことだがブリリアンスの女王は元々、地球の人間だ。母なる地球を滅亡に追いやるガトランティスの存在は、彼女からすれば頭が沸騰しそうな程の怒り。それはもう、腹が煮えたぎりそうな程に…。

 展開した守備艦隊は、敵ガトランティスの小艦隊と小さくも激しい火花を散らし続けていった。守備艦隊の戦力は80隻単位で編成。
 無論、先の通り守備艦隊はブリリアンス軍も含まれている。実質、連合守備艦隊である。…内容は以下の通り。

 地球防衛軍側の守備艦隊―――
・ドレッドノート級戦艦×5隻
・金剛改Ⅱ型戦艦×15隻
・パトロール艦×2隻
・護衛艦×20隻

 ブリリアンス軍側の守備艦隊―――
・アクラメータ級戦闘航宙艦Ⅱ型x4隻
・AC721スサナー重量級支援駆逐艦Ⅱ型X7隻
・AC721スサナー重量級ミサイル駆逐艦Ⅱ型X5隻
・クワオアー級加速砲駆逐艦改X10隻
・ツンドラ級戦術駆逐艦Ⅱ型X1隻
・ルビー級エリーレイレーザー砲フリゲートX7隻
・FG300型偵察フリゲートⅡ級X2隻

 …以上が守備艦隊の内容であり、これだけで例に表すと旧国連宇宙海軍の2個艦隊以上の戦力となる。地球艦隊で例えて、である。

 新鋭艦や改修艦が各惑星に配備された事で、より防衛力は強化されたのは間違いないだろう。事実、軍の損耗は低くなっている。
 
 だが、宇宙戦艦ヤマト発進から2ヶ月ちょっとが経とうとしている頃、ガトランティスは再び活動を活発化。

 そして、時は現在。

 最前線とも言える冥王星にて、土足で歩き回りちょっかいを出してくるガトランティス艦隊と冥王星守備艦隊との、戦闘が開始されようとしていた。

 「索敵中のFG300型偵察フリゲート艦より入電。方角11時、伏角7度に艦影を探知。数は100!」

 「エネルギー放射パターン測定を完了。…ガトランティスと識別」

 「また、か。…懲りないことだ」

 冥王星守備艦隊旗艦―――〈ファラフェル〉の艦橋で、前衛の偵察艦より入った敵艦発見の報に対し、渋い表情を作った黒髪の女性指揮官が呟く。この、ブリリアンス艦隊を指揮する女性である。

 「中央司令部、ならびに艦隊司令部に報告。――敵ガトランティス艦隊、冥王星沖に出現。迎撃態勢に入る――と」

 「了解しました。司令部へ報告します」

 「それと、敵の戦力情報も送れ。前回よりも数は多い。恐らく中小艦艇が殆どだろうが…」

 本日で4回目の接敵となるが…接触率があまりに増えている。今まで数日から1週間に1回あるか無いかであったのが、ここまで極端に活発化してくるという事は、恐らくは何かあるのだろう。

 遭遇戦で確認された艦種にカラクルム級戦艦は含まれてはいなかった。巡洋艦や駆逐艦が殆どを占めていた。

 今回も、カラクルム級は含まれていないだろう。…だがそろそろ大きな軍事行動があってもおかしくは無い可能性が、一概にも捨てきれない。

 何せ、第11番惑星の件に際はカラクルム級のみで構成された250万隻もの大軍が攻め込んで来たのだ。

 もしもカラクルム級のみで構成された250万隻もの超大艦隊が再び攻めて来たら、とても守備艦隊だけで対処するなど無謀で不可能に等しいだろう。そうなればもう、即時後退する他ない。

 だが、それでも……軍人として、出来得る限りの事をしてみせる。この場に集う冥王星守備艦隊の面々は誰しもがそう思っていた。

 「全艦、戦闘配置を。…全セレスター級に通達。――ミストラル戦闘攻撃機、T−65 Xウィング・スターファイター、BLB−Yウィング・スターファイター隊を投入し、奇襲攻撃を!」
  
 ファイラ司令の指示に従い、冥王星守備艦隊は戦闘態勢に入ると同時に全セレスター級から戦闘機、爆撃機編隊が次々と投入されていく中、ファイラはふと思った。

 (撃退と言ったら、地球軍の奴等は波動砲で撃退していたな)

 波動砲といえばイスカンダルとの和親条約で使用を固く禁じた兵器であるが、地球政府ならび防衛軍最上層部はその条約を反故にしたことは、ファイラも聞いている。というか実際に波動砲を使用している場面を何度も目撃しているのだから、普通に分かるというものだ。

 「…データ照合完了。メダルーサ級2、ナスカ級20、ラスコー級35、ククルカン級43―――以上!」

 「メダルーサ級、か…」

 FG300型偵察フリゲート艦Ⅱ級に備えられている高度な索敵機能によって、従来の艦よりも広い索敵範囲を獲得している。
 その偵察艦が斥候役となって、本隊に対し迅速に情報を送り込むことが可能となったのだが、今回もまさに、この機能が彼女等にとって救いの手となっていた。

 メダルーサ級という言葉を聞いたファイラ中佐は、この戦艦の危険性は十二分に理解していたことから、表情をより険しくしている。

 「確かに、メダルーサ級なのだな?」

 「私は今まで、嘘を吐いたことはありません。司令官」

 非常に厄介極まりない戦闘艦だ。第八浮遊大陸作戦時、もしもガミラス臣民の盾が無ければ苦戦を強いられることが容易に理解出来る程に、危険な艦艇なのだ。

 (本格的な侵攻の兆し…ということか)

 たかを括っていたファイラは掌を握り絞めた。いや、ここで悠長に考えている暇は無い。即座に行動に移さねば、アウトレンジで一方的損害を被ってしまう。

 「艦隊の間隔を広く取り、アウトレンジ攻撃に備えよ! 通信士、至急司令部へ連絡。――敵はメダルーサ級を投入せり、本格的攻勢の可能性大――とな」

 その直後、観測員がメダルーサ級に強力な光点と重力変動の感知を報告した。それに対しファイラは直ぐ様、搭載されているシステムを起動させる指示を出す。

 「転送予測システム起動、各艦と連動開始せよ!」

 「了解しました!全艦、システムに従い各自で回避運動を取れ!」

 「回避運動開始!」

 各艦の艦長達は重力変動を感知した時点で、瞬時の判断により回避行動に移っていた。艦体各所のスラスターを目一杯吹かして、観測宙域上からの回避を試みる。

 「火焔直撃砲、来ますッ」

 冥王星守備艦隊の全艦隊が灼熱の火焔に焼かれまいとして回避を行った直後、何もない空間の一部が揺らめき、そして次の瞬間には巨大な業火の濁流が現れて守備艦隊へ襲い掛かった。火焔直撃砲のエネルギー流が宇宙空間に飛び出して来たのだ。

 「地球防衛軍含め、被害ありません!」

 火焔直撃砲のエネルギー流が止む。

 もしも宇宙戦艦ヤマトから攻撃予測データを貰い受け、共有されていなければ……今頃は業火の炎によって焼き尽くされていたに違いない。

 ファイラは念の為、引き続き転送予測システム起動を維持するよう命じた。

 「…ッ。火焔直撃砲、再び来ます!」

 ファイラは自分に感謝した。

 全艦隊は再び無事に第二波の火焔直撃砲を受けることも無かったが、このままでは埒が明かない。とはいえ、だ…。

 「アルファ、ブラボー、デルタXウィング中隊は敵艦載機デスバデーダ隊と接敵するも全て撃破!」

 「チャーリXウィング中隊、ミストラル攻撃機編隊、爆撃機編隊はメダルーサ級含む敵艦隊の1割を撃沈!なおも戦果拡大中!」 

 現在、艦隊は不本意に動けない状況であるもののXウィングファイターやミストラル攻撃機、爆撃機の活躍により敵艦隊の内、1割を撃沈に追い込む戦果を上げてもなお、現在も戦果拡大中だ。

 撃沈した中にはメダルーサ級があり、メダルーサ級はミストラルと爆撃機編隊の活躍により全て撃破。

 「地球艦隊の内、ドレッドノート級2隻以下護衛艦戦隊が小ワープを実施。ジャンプしました」

 「小ワープだと?…まさか」

 オペレーターからの報告にファエラは一瞬、眉を潜めたが直ぐに彼等の思惑を理解し感嘆の息を出した。

 「小ワープした地球艦隊、敵ガトランティス艦隊の前方斜め下にワープアウトしました」

 「同地球艦隊はラスコー級2隻撃沈、ナスカ級3隻を大破、ククルカン2隻を轟沈させる戦果を上げています。なおも戦果拡大中」

 「ほう…」

 ファイラは感じた。勝利への兆しが来ていることに…。
 
 「ブリリアンス艦隊将兵に告げる。勝利は目前だ。これより我が艦隊は、地球軍を援護する。全艦隊、敵艦隊後方より某座標の距離8000宇宙キロに小ワープを敢行。ワープアウト後、敵艦隊後方より攻撃を仕掛けよ!」

 「了解、全艦隊に通達。小ワープ準備!目標、敵艦隊後方より某座標の8000宇宙キロ!」

 ファイラ司令の指示に従い、将兵達は小ワープ準備を整え始める。ワープアウトする座標をガトランティス艦隊の後方に設定を終えた時、ファイラより小ワープ号令が下された。

 ファイラ率いるブリリアンス艦隊は瞬きする間に、通常空間から消えていった。通常空間から消えて十秒もしない内に、ガトランティス艦隊後方にワープアウトした。

 「全艦、その場180度急速反転しつつ全主砲を敵艦隊へ標準合わせ!準備出来次第、各艦砲撃を開始。魚雷、ミサイルも出し惜しみ無く使え。これより、挟撃を開始する!地球軍にもそう伝えろ!」

 ファイラ率いるブリリアンス艦隊…通称ファイラ艦隊は前方の地球艦隊と共に挟撃する陣形を執った。

 「蹴散らせ、砲撃開始ィ!」

 ファイラ艦隊が一斉に砲門を開き、緑白いビーム群を放った。緑白いビームが螺旋を描きながら背中を向けている間抜けなガトランティス艦隊の集団に突き進む。

 そんな中、ガトランティス艦隊の後方…ファイラ艦隊から見て前方の集団計20隻がファイラ艦隊に向けて回頭しているのだ。交戦可能距離圏内へと入ってしまっているのに、だ。

 各ブリリアンス艦から繰り広げられる主砲や対艦ミサイル、魚雷群が一同に回頭中のガトランティス艦隊へと浴びせまくる。

 あるガトランティス艦は量子魚雷を発射する間も無く撃沈され。

 あるガトランティス艦は49cm四連装大口径砲の主砲群に木っ端微塵にされ…。

 あるガトランティス艦は撤退しようとするが、不幸にも機関部を集中的にミストラル戦闘機編隊から攻撃されてしまい、コントロール不能になって宙を漂い始めた挙げ句に追い打ちを掛けるように機銃とミサイルの雨が殺到後、爆沈。

 可哀想なことに、凄まじい勢いでガトランティス艦隊は数を減らしていく。

 数分が経過すると、冥王星沖に侵犯したガトランティス艦隊は冥王星守備艦隊によって全て撃破された。

 冥王星守備艦隊の損害――
 ブリリアンス軍側:多機能型フリゲートⅡ級1隻小破、1隻中破。
 地球防衛軍側 :金剛型Ⅱ級2隻小破、ドレッドノート級1隻小破。

 …以上である。撃沈された友軍艦艇は0。

 こうして、冥王星沖海戦は冥王星守備艦隊の勝利となり、此度の戦いは幕を下ろしたのであった。 
 

 
後書き
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
 
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