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現実世界は理不尽に満ちている!

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第19話

 
前書き
ネオ・代表05−1です。第19話となります。
どうぞ、ご覧ください。 

 
 古代達・バーガー達と話し合いをし、明日から一緒に調査や作業を行うこととなったスヴェート。彼女はネレディア・リッケに案内された部屋で一人、ベッドに腰掛けていた。

 与えられた部屋は……一人で使うには広い部屋だった。普通のホテルであれば、スイートルーム並の大きさである。やはり、一人で使う分には広過ぎる部屋だ。

 モダンな雰囲気が素敵だとか、ベッドが大きいだとか、花瓶に差された絢爛な花のおかげで部屋が落ち着いた匂いだとか、金を掛けていますよっとアピールしている家具やら調度品やらが並んでいる。…そんな感想を、スヴェートは抱いた。

 感想を抱いていたスヴェートであったが、ふとフォムト・バーガーが自分に言っていたことを思い出した。

 自分に言っていたこと、それは―――古代達についてだ。無論、不審に思われないよう細心の注意を払いながら、当時スヴェートはバーガーに聞いた。聞いて帰ってきたのが『あぁ、ザルツ人』で、彼は古代達へと顎クイ。

 【ザルツ人】。
 大ガミラス帝星―――ガミラスと呼ばれる星間国家に併合された惑星国家の一つ。併合されたザルツ人は、【二等臣民】となる。

 【二等臣民】とは、ガミラスによって併合された惑星国家の住人に与えられる身分制度。二等臣民としての制度を受けると同時に、その惑星国家には星を渡る為のドライブの技術供与を行ったり、その他許される範囲での恩恵や繁栄を与えているようだ。

 ちなみに、だ。
 話を聞く限りザルツ人の見た目は、同郷の地球人と殆ど変わりない。つまりだ、ザルツ人とやらが『僕は地球人!』と自称したとしても、『地球人なのは見れば分かる』となる。

 やはり宇宙は広いな、地球人と同じ肌を持つ種族―――人種が存在しているのだから。そう考えたら自分も地球人と同じ肌か。スヴェートはうんうんっと心の中で頷いた。

 そんなザルツ人だが、彼らの大多数がガミラス軍に入隊しているようで、制服は茶色ベースのガミラス義勇兵用軍服を着用しているようだ。
 
 士官学校に入るザルツ人も存在しているよう。
 だが、ガミラス二等臣民は、一等臣民と違い彼ら二等臣民は士官学校に入る事は難しい。故に、若い内でも少尉以上の将校にはなれない事が多いとのこと。

 バーガー曰く、激しい戦場で生き延び、とてつもない武勲を重ねて底辺から成り上がるしか道は無く、武勲を重ねまくったザルツ人の男―――シュルツが大佐となり最前線基地の司令官を務めているが、それでも稀な例だそうだ。

 二等臣民があるように【一等臣民】は存在し、バーガー・ネレディア・バーレン・メルヒは、生まれながらの蒼い肌を持つ一等臣民。一等臣民は蒼い肌を持たぬ二等臣民を軽蔑し、余程の戦功を上げなければ更に軽蔑。

 …バーガーも含めてだが、古代達はザルツ人ではないし、古代達を軽蔑した金髪青年メルヒを許す訳には行かない。メルヒには、男の大事な所を蹴ってやる刑を与えてやるとしよう。

 それに、だ。

 古代達が着用する地球軍の制服?エヴ◯パイロットのようなピッチリなスーツ?をガミラス義勇兵用軍服と見間違えるとは、……やはり、ガミラス人にもそういった幻覚の影響が及んでいるのか。そう考えると、古代達も……?

 ……チビリそうな程、ジレルの魔女が怖くなってきたな。スヴェートはクールな顔つきを浮かべている一方で、瞳から涙が溢れていた。

 溢れていた涙をハンカチで拭きったスヴェートは、床に倒れている者達を一瞥し、溜め息を溢した。

 「どうして、機能停止に…」

 一瞥した者達は人間ではない。床に倒れている者達の正体は―――スヴェートが引き連れたBXコマンド・バトルドロイド部隊だ。

 それは突然だった。スヴェートが今も居る部屋に入った途端、BXコマンド・バトルドロイド部隊は手に持っていた武器を落とし、直後に倒れた。彼女が確認した頃には、全てのBXコマンド・バトルドロイドは機能停止となっていた。

 「……」

 スヴェートは倒れているBXコマンド・バトルドロイド部隊を、再度一瞥する。彼女が一瞥したBXコマンド・バトルドロイドは、頭部が破壊ないしは胴体からサヨナラしていた。

 そう、スヴェートはBXコマンド・バトルドロイドが再起動した後、自身に襲ってくるのでは!っと危惧した彼女は頭部を撃ち抜くなり破壊するなりして、自分と共にやって来た9体のBXコマンド・バトルドロイド全てを破壊したのだ。

 無論、再起動したら襲ってくる、なんて事は思い浮かべてただけ。しかし当時スヴェートは思ったのだ。―――なんか嫌〜な予感がするな、と。
 そうとなれば早速!っとなり、現在に至った。

 「危険が無いって、良いよな」

 これが正解なのだ。身近に居たBXコマンド・バトルドロイドがコントロールされ自分に牙を向ける、その危険は無くなった。スヴェートは、ふっと笑みを浮かべた。直後、頭を片手で抱え、どっと大きな溜め息を吐いた。

 「…寝るか」

 既にパジャマ姿であるスヴェートは、ベッドに潜り、布団を深く被り、眠りについたのだった。



 ―――ブリリアンス艦隊旗艦アクラメータ級改〈スラクル〉。

 薄鈍色の空間に浮かぶ謎の惑星。迷い込んでしまったブリリアンス艦隊は、誰とも知れぬ者の手で強制的に誘い込まれ、そのまま身動きが取れないままでいたが、ギルド長スヴェートは部隊を率い、謎の惑星へと降り立った。

 だが、少しの間をおいてからだった。スヴェートとの通信が途絶えてしまったのだ。

 黒髪の女性―――艦長代理はスヴェートの安否を心配しており、優雅に腕を組みつつも右手の指をタップさせる動作から、焦りが行動として垣間見えていた。

 「反応は?」

 「イエ、アリマセン」

 何度目だろうか。同じことを繰り返し聞いている艦長代理は、そう自覚していた。
 まさか、探索早々に通信が途絶えてしまうとは思いもよらぬことだった。救助隊を差し向けようにも、ハンガーベイは全て外部よりロックされ、救助隊を差し向けることが今も出来ないでいた。

 「引き続き、反応あるまで継続」

 「ラジャー、ラジャー」

 艦長代理は、ただスヴェートの無事を信じて祈ることしか出来なかった。 
 

 
後書き
さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!  
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