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第18話「邂逅」
前書き
ネオ・代表05−1です。第18話「邂逅」となります。
どうぞ、ご覧ください。
「初めまして、諸君」
その声を耳にした全員の視線が、スヴェートに集中する。彼女はその視線を受けながら、カツカツっと足音を立てながら階段を降りていく。
青い肌の宇宙人―――青い肌の色を除けば地球人と瓜二つの容貌である彼らは、暖炉の前にある茶色の高級そうな大型ソファーに座り、スヴェートを見つめていた。
青い肌ではない宇宙人―――否、5人の地球人が、青い肌の者達が座る大型ソファーの向かい側に立ち、彼女を見つめていた。
スヴェートは階下に着くや、人を安心させるような笑みで尋ねた。
「私の名はスヴェート。救難信号を受信した者だ。救難信号を発したのは君達か?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「私の名はスヴェート。救難信号を受信した者だ。救難信号を発したのは君達か?」
彼らは頷いた。
そんな中、スヴェートは歓喜の渦の中に居た。何故ならば、同郷である地球人と邂逅したからだ。彼らの容貌は、何処からどう見ても地球人。私は嬉しい、嬉し涙を流したい程に嬉しいのだ。
救助に来て良かった。…出口は壁となってしまった…私、泣きたいな。
ゴホンっ。
それにしても、宇宙は広いな。青い肌を持つ人種が居るのだから。
ふと、スノウが言っていた事を思い出した。この現実世界に存在する知的生命体はヒューマノイドのみであり、グレイといった如何にもの容貌をする地球外知的生命体は存在しない。知的生命体は地球人と同じ姿形をし、容貌つまり肌の色は同じ或いは似通っていると。
聞きたいことが、とスヴェートが言おうとした時だ。
ふと思う。君達は私と同じ地球人だろう?という質問はしないほうがいいのではないだろうか、と。いやいや質問しろよ、間違いかもとかで気にしてるのか、と誰かがツッコミするだろう。
スヴェートは内心で回答する。
しないの一択だ、と。
「地球人だろう?」と質問したら?
あぁ、あぁ勿論な、質問したい想いでいっぱいだ。でもな、出来ないんだ。不審に思われるから。不審に思われたら、私は不貞寝する自信しかない。
したがって、だ。
「改めまして、私の名はスヴェート。よければ君達の名前を教えてもらえないだろうか?」
ニコリっとスヴェートは優しく微笑む。
彼女は考えた。不審に思われるのは駄目だ。では自己紹介すればよいのでは、と。やんわりとし、いやであれば強く聞かないぞ〜と含みを込めて言えば、不審に思われず聞き出せるのではと。
部屋―――ラウンジは穏やかな雰囲気へと戻り、スヴェートに応えた。
「またお客さんが来たんだ。それに俺よりも上位の階級に位置する大佐殿からの願い。お前ら、応えようじゃねぇか」
タバコを机の上にある灰皿に置いた、青い肌を持つ男が応える。
彼は頰になぞるようにして傷があり、その傷は縫った後がある。20代ではあるが、青い肌人のリーダーなのだろう。老兵も美女も青年も、彼に従った。
…た、大佐?
スヴェートは、内心で首を傾げた。上級大将だぞっというツッコミしそうになったが、それよりも何故ブリリアンスの階級が分かるのだ?というか、所属違うだろう??
それともう一つ。…クロインに続き青い肌の異星人相手に言葉が通じている、不思議過ぎる。
「オレはフォムト、フォムト・バーガー。階級は少佐だ」
青い肌の男―――バーガーに続いて、美女が優しく微笑んだ。薄いピンク色のショートヘア、切れ長の大きな瞳、細く高い鼻筋が通っている彼女は、ファッションモデルでも通用する程の美貌の持ち主。
「私はネレディア・リッケ。階級は大佐よ。同じ階級者同士、仲良くしましょう?」
同性でさえも見惚れる程の微笑みをするネレディアに続いて、茶色ベースの軍服を着用し軍帽子を被る老兵は、無邪気な笑顔でスヴェートを見つめた。ネレディア、お前もか…。
「儂はヴァンス・バーレン。階級は大尉じゃ。老兵じゃが、まだまだ若い者には負けんぞ」
……?
え、爺様?ちょっかいを掛けている訳ではないよな?
バーレンの最後に、最年少である金髪の青年が佇まいを正し、緊張した声音で言った。
「じ、自分はクリム・メルヒであります!大佐殿!」
す〜……貴様らー!からかっているんだな?そうだよな?目ん玉どうした?!
スヴェートは優しく微笑んでいる一方、内心では怒っていた。だが許そう。この私、ブリリアンス・ギルド長スヴェートは優しいからな。話も合わせてやろう。二度目だが所属は違う。
「さて、次は君達だ」
スヴェートは、同郷である彼ら地球人のほうへと振り向いた。
「はっ、古代進であります」
サラサラとし揃えられた茶髪の彼―――古代進は凛とした姿勢でスヴェートに向き合った。彼は続けて紹介する。
「相原、新見、沢村、そして桐生です」
古代は一人ずつスヴェートに紹介し、指された者は会釈した。
相原。通信の長をしてそうな20代男性。
新見。青い髪はボブカット、瞳は知的な印象を与えている20代女性
沢村。サブマシンガンを持っているが、恐らくパイロットであろう青年。
桐生。女の子らしい長い髪はポニテールにし、活発な雰囲気を感じさせる少女は18歳に違いない。
…ふむ、……間違いなく地球人だ、一瞬だけ頭の上に漢字が見えたと錯覚する程、地球国家の一つ日本人だ。
「君達は、どこの部隊に所属している?」
クールな顔つきで問い掛けるスヴェート。地球の、とは彼らは言わないだろう。にしても身体のラインが分かる制服?スーツ?を着用している、特に女性用は更に身体のラインがよく分かる。気になったのだが、彼らは赤だったり青だったりと、別々に着用しているようだが、何科に所属しているかを簡単に分かるように着ているのだろうか。
「申し訳ありません。所属を話すなと、上から命じられておりまして」
「そうか。いや何、そう緊張することはない。私と同じだな」
ふむ、とスヴェートは顎を撫でた。
やはり所属は言えないだろう、ましてや国家なら尚の事。
「ネレディア大佐殿とバーガー少佐殿に続いて、スヴェート大佐殿まで…っ!」(*小声)
先程から金髪青年から鬼の血相で睨んでいるからな、私ではなく古代達を。…いやいや今更だが私、肌の色は地球人のそれだぞ?青い肌じゃないぞ?何故私だけ睨まれない?
睨まれない以外にも、だ。
同郷から違和感を持たれないのは何故だ?え、何?青い肌の異星人だと思われているのか??
まさか、これも幻覚か?
そういえば先程からジレル人の事で思い出しているが、思い出していてよかった。これ絶対にジレルの魔女が幻覚を見せているだろうな。ふっ、ふふふっ、はっはっはっ!……嘘だろ?スヴェートは内心で絶句した。
「私は遭難シグナルを受信し、救助にやって来た。しかしな、入口が消えてしまってな」
内心で絶句していたスヴェートだが、クールな顔つきをしつつ申し訳ない表情となった。絶句していた事を表には一切出していない。
「それじゃ、儂らと同じじゃな。中に入りしばらく経つと、扉は消えてしまったわ」
「自分達も同じです」
ヴァーレンが応え、古代が続いた。直後、バーガーが暖炉へと歩み、薪を2本ばかり暖炉の中へ放り込んだ。
「他に出口は?」
スヴェートは驚きつつも、他に出口がないか問う。反応したのはネレディアで、彼女は優雅にスヴェートに歩んできた。
「色々と試してみたわ。けどね、私達は……4日間、閉じ込められてしまっている」
「私達?それに古代達は含まれているのか?」
「いえ、彼らは今日来たばかりよ。15〜20分前にね」
スヴェートは古代達に視線を向けた。古代はその通りだと頷いた。
赤々と燃える炎を、バーガーは静かに見つめたままだった。見つめていた彼であったが、スヴェートへと振り向いた。
「スヴェート大佐殿の所属は、古代達と”同じ”で言えねぇだっけか?」
「そうだ。秘密でな」(何が”同じ”か分からんが、話を合わせよう)
「古代達と同じ秘密任務中だってのに、救助にやって来たくれたのにすまねぇな。巻き込んじゃってよ」
「こちらこそ、救助に来たというのに申し訳ない。しかし、あり得るのか。外から出る事が出来ないホテルがあるなんて」
スヴェートは納得が出来なかった。外に出ることは出来ないというのは何故だ。窓があるというのに、そこから脱出は可能な筈。彼女が告げると、やってみたが出来なかった、とのことだ。
そんな訳があるかと笑うスヴェートだったが、嘘ではないとこの場に居る全員の視線が彼女を射抜いた。……嘘だと言ってくれ。裏表関係なくスヴェートは絶句した。
こうしてスヴェートは、共同生活を送ることになったのだった。
「わ、私のドロイドがー!?」
なお、付き従っていたBXコマンド・バトルドロイド部隊が謎の機能停止となってしてしまうが、それは次回に…。
後書き
バーガー「そうそう。俺らはガミラス人で、そっちはザルツ人な」
スヴェート「•••」(!?)
———
現状可能な情報:ガーディアン級支援駆逐艦Ⅱ型
全長599m
最高速度(大気中)650〜1200km
ハイパードライブクラス1.5
装甲:対ビーム複合装甲
防御:シールド
武装
・八連装ミサイルランチャー「ネスト」x2
概要
ストーム統合ミサイルシステムを装備し、対空・対ミサイル支援を提供する。重粒子砲は装備していないが、標準装備であるシールドを装備している。本級は、味方艦艇を補修する補修UAVを支援UAV格納庫に搭載している。
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さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
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