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第10後半「特別収容プロトコル」

 
前書き
ネオ・代表05−1です。第10話後半「宇宙人 特別収容プロトコル」になります。
第10話の後半は第10話前半で記録が流されていた、その記録となります。どうぞ、ご覧ください。
*はナレーション風です。某財団風。 

 
 宇宙人:クロイン

 Degree of risk :blue

 《特別収容プロトコル》

 クロイン人は5mx5mx5mの収容ユニット(収容室)に収容されています。
 収容ユニット内部はトイレとベッドのみです。

 収容ユニットを出入りするドアは常にロックされています。
 収容ユニットよりクロイン人を出すことは許可されていません。

 クロイン人の活動は、収容ユニットの隅にある4つの監視カメラを用いて常に監視します。
 脱出を図ろうとした場合は、収容ユニット外のドア両脇とその付近にて待機しているOOMセキュリティバトルドロイドは突入し、鎮静化を行ってください。
 

 《説明》

 クロイン人は人類と同じ姿形をし、人間と自称する知的生命体です。
 しかし紫色の肌を持っていることから、人類ではないことは明白です。

 にも関わらず、遺伝子情報はどういう訳か人類のそれと酷似しております。

 収容しているクロイン人の年齢は30代に差し掛かる男性でありますが、人類と同じく平均寿命であるのか、長命種なのかは不明です。

 身体能力は、人類と相違ないことが判明しています。
 知能も同様です。


 補遺:インタビュー記録

 以下は対象と彼女ギルド長によるインタビュー記録です。

 《ログ開始:00h_00m_21s略》

 ギルド長「これよりインタビューを始める、人間を自称する存在よ」

 *彼女は黒一色の仮面を装着した状態で、インタビューを始めた。

 男「自称自称とは失礼だな、私にもちゃんと名前があるんだ。そして…」

 *彼は落ち着いた声音で彼女に返すが、直ぐに声音を荒くし始める。

 男「…私は人間だ!」

 *声を荒くした彼は、ギルド長に襲い掛かろうとする。
 *しかし、両手両足を拘束されていることから、その試みは失敗した。

 *ギルド長「人間?何を言っているんだ、お前達は人間に化けた存在だろう?」

 *彼女は首を傾げた。
 
 男「人間に化けているのは貴様のほうだ!無抵抗である同胞を殺し、死んだ同胞に何発も死体撃ちした!燃やしたりもした貴様がッ!!」

 *彼は彼女を睨みつけながら憤る。
 *掴みかかろうとしようにも、拘束されているのだから無意味であることは嫌でも分かる。
 *しかしそれでも…。
 *許せなかった。彼にとって大事な友が、実験体となったから。
 *実験体となった友は、ありとあらゆる悍ましい実験をさせられた。
 *そんな友は………亡くなった。

 ギルド長「貴様とは言うが、私は何もしていない。ただ命令しているだけなのだが…」

 男「直接ではないにしろっ、それはやったと言うんだよ!」

 ギルド長「あぁ、大丈夫。私じゃなくて、ドロイドが手を下した訳なのだから私に責任は一切無い、私の手は綺麗なままだ。人間であれば問題だが、お前達は人間ではない。ふっ、我ながら完璧で緻密な論理だ」

 *プチン、と漫画でよく見る擬音が発した。

 男「貴様ァァアー!!」

 *彼は逆上した。

 ギルド長「うわビックリした。まぁまぁ、落ち着け、水でも飲んで」

 男「貴様ァァアー!!」

 ギルド長「いやそもそもその状態だと飲めないんだったな、悪い悪い。私が代わりに飲もう」
 
 *ギルド長は仮面を取り外し、素顔を晒す。
 *素顔を晒した彼女は、コップに入っている水を飲む干す。

 ギルド長「美味かった。よく見ろ私の顔を…」

 男「貴様ァァアー!!」

 ギルド長「フッ、余は美しい!…某海賊女帝のマネだ、ウケるだろう?」

 男「貴様ァァアー!!」

 ギルド長「貴様しか言えないのか……ん?」

 男「貴様ァァアをー!!」

 *拘束具がミシミシと発している。
 *ギルド長は嫌な予感をした。

 ギルド長「まずいな、拘束具が壊れるぞ」

 *ホルスターから拳銃を取り出すギルド長。
 *スタンモードにした彼女はクロインへ拳銃を向けると共に、照準を合わせた。

 男「うおぉぉー!!」

 ギルド長「おやすみ、クロイン」

 男「うおぉぉー!!…あ」

 *銃声が部屋に鳴り響く。
 *彼はガクリっと頭を垂れた。
 *血は流れておらず、彼は今も生きている証である息を繰り返し口からしている。

 ギルド長「あっぶなぁ…」

 《ログ終了》

 補遺2:収容違反発生

 インタビューの翌日、クロインが脱走するという事案が発生しました。
 脱走したクロインは10分後、再収容されました。
 脱走する瞬間を、収容ユニットにある監視カメラの映像が捉えました。

 《監視カメラ映像 再生開始》

 拘束具から取り外され、寝ていた彼はベッドから起き上がる。
 ベッドから起き上がった彼は、床に立つ。

 そしてそのまま、崩れ落ちた。

 「ヒッ…! カッ…ァッ…!」

 息を乱し、痙攣する。胸を掻き毟り、のけぞり、のたうち回る。

 プシュ、と空気の抜ける音がした。

 「ドウシタ!?」

 扉が開き、OOMセキュリティバトルドロイド1体が飛び出してきた。

 「ヒッ…! カッ…ァッ…!」

 「発作ダ、コンナ事ハ初メテダ!」

 OOMセキュリティバトルドロイドは駆け寄る。

 「カァッ!」

 気迫を込め、彼は吠えた。

 「ナンダ!?」

 吠えた彼は、動揺するOOMセキュリティバトルドロイドを押し倒し、ブラスターライフルを奪い取る。

 「ア、取ラレタ」

 ピュンピュン!

 銃声が鳴り響く。
 
 OOMセキュリティバトルドロイドの頭部は、彼によって破壊された。

 「間抜けが。…使い勝手が良いな」

 ブラスターライフルを構えつつ、彼はドアへと駆けた。

 《監視カメラ映像 終了》

 以上が、その映像となります。
 今後このような事が二度と起きぬよう、再発防止に努めてください。

 クロイン個体数は1体の為、実験は許可されていません。
 宇宙人 特別収容プロトコルは継続されます。

 ―――ギルド長より。 
 

 
後書き
 さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!  
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