| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

現実世界は理不尽に満ちている!

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第3話「ファーストコンタクト&交戦」

 
前書き
ネオ•代表O5−1です。第3話「ファーストコンタクト&交戦」となります。
どうぞ、ご覧ください。 

 
 要塞基地の移転が完了。
 移転場所は本拠地である、地球と瓜二つであるその惑星の軌道上に移転済。

 本拠地とする惑星の開拓は1割も終えていないが、それでも完成した後の光景が目に浮かぶ。

 フフっ、司令官席に座り、優雅にコーヒータイムを勤しむ私。

 コーヒーカップを口に近づかせ、匂いを楽しみながらちょびちょびっと飲んでいく。

 その姿はまるで貴族令嬢のようであるが軍服姿ではなくドレス、コーヒーでなくティーであれば更にだろう。

 平和って良いな〜。あぁ、コーヒーが美味い、最高かな。

 『緊急警報!緊急警報!未確認物体を確認!太陽系内に未確認物体を確認!』

 警報と共に、要塞司令部は慌ただしくなり始めた。

 「…っ!?ゴホッゴホッ!?」

 突然の事に喉が詰まってしまったのか、咳き込んでしまい、更にはうっかりコーヒーカップを離してしまう。

 重力に従い床へと落下し、パリンっと音を立ててコーヒーカップは無残に割れ、中身の黒い液体をぶち撒けた。

 ……訂正する。平和が、終わった。

 あぁ、コーヒーが…!?……ではなく、あぁっ、遂にこの時が!?

 「第二種戦闘配置!繰り返す、第二種戦闘配置!」

 「ラジャラジャ」

 慌てふためく彼女であったが、直ぐに凛とした佇まいへと変貌した。
 ……床を這う円盤型お掃除ロボットに、トントンっとリズミカルに突かれながらであるが。

 「場所は?」

 「ハイ、ギルド長。場所ハ太陽系ノ外縁部、スリナム星宙域デス」

 「…ふむ」

 ギルド長と呼ばれた女性は思考する。

 この警報は”探知”ではなく、”確認”。
 重力波ならびに空間歪曲反応…ワープアウト反応は、観測ステーションに探知されていなかったことになる。
 それは【太陽系外】であったからか…。
 
 「ギルド長、観測ステーションヨリ観測ドローンノ射出準備完了ト報告ガ。許可シマスカ?」

 背もたれ付き椅子に座り、通信回線を受け取ったB1バトルドロイドの一体がギルド長へ報告すると、彼女は即座に指示を出す。

 「許可する。観測データを共有し、スクリーンに映せ、静止画でもいい」

 「ラジャラジャ。観測ドローンノ射出ヲ確認、データリンク開始」

 観測ドローンが2機、観測ステーションより射出される。

 射出された観測ドローンはそれ単体で全長5メートル。
 内蔵されているのは各種センサーと高高度望遠装置、そして円盤ノズルが特徴的な一つの主機スラスターのみだ。
 形状はRQ-1 プレデターと酷似しており、その姿は宇宙を駆けるRQ-1 プレデター、…この機体、私は好きなのだ、LOVEなのだよ。

 「観測ドローンヨリ映像ガ来マシタ、スクリーンに映シマス」

 映画館スクリーンの倍はあるスクリーンに、映像は映し出される。

 ”それ”は、彼女に衝撃を与えるには十分過ぎるものだった。

 「なんだ、これは……」

 思わず息と共に、唾もゴクリっと飲み込んだ。

 スクリーンに映るのは……白一色の艦。

 円盤の上面に長方形の箱がくっつくようにあり、砲塔らしきものが多数存在しているのが分かる。
 素人から見ても、何処からどう見ても戦闘艦にしか見えない。
 
 艦橋らしきものは前方を見下ろすように高く、その艦橋は船体上面の後方にあることが確認出来た。
 あの不明艦、わざと被弾面積を向上しているのだろうか?

 「データベースに該当アリマセン。分析ノ結果、全長ハ600mクラス。艦種ハ駆逐艦カト思ワレマス」

 データベースに該当しないのは当然だ、あのような艦は見たことが無い。
 しかし600m級のこの武装数、…これは駆逐艦というより巡洋戦艦が正しいのではないか?

 なんであれ、だ。一つ言わせて欲しい。
 ……宇宙人って、マジ?。
 現実に存在していた事に、口元を手で覆い驚きを出来なくしたい想いでいっぱいだったが、指示を出さねばならない。
 オラ、ワクワクすっぞ!……ゴホンっ、生き残る為に!

 「これより、不明艦を〈クロイン〉と呼称し敵と識別。同時に第一種戦闘配置へ」

 「ラジャラジャ、第一種戦闘配置」

 「不明艦ヲ〈クロイン〉ト呼称シ、敵ト識別シマス」

 〈クロイン〉。
 この名称に、特に深い意味は無い。
 ただパッと頭の中で出てきたから、そう呼称したに過ぎない。

 「〈クロイン〉、観測ステーションへト移動ヲ開始」

 〈クロイン〉と呼称された不明艦は移動を始めた。

 「スリナム星宙域に艦隊は?」

 「二つ有リマス。観測ステーション周辺、常に警戒態勢デアル戦隊規模ノブラボー艦隊ガ一つ、モウ一つハ現在〈クロイン〉へアルファ艦隊ガ接敵行動ヲ取ロウトシテオリマス」

 スクリーンが二分され片方が〈クロイン〉の映像、もう片方が太陽系と呼称したこの星系の地図が映し出される。

 今もスクリーンに映る〈クロイン〉は敵であるマーキング、赤い点と識別されている。
 一方で、青い点が20個ほど太陽系中にあるのは、味方であることを示している。
 その内の二つはスリナム星宙域にいる友軍艦隊であり、一つは観測ステーション周辺に警戒態勢のまま待機するブラボー艦隊、そしてもう一つが現在接敵行動を行っているアルファ艦隊だ。

 「相手の出方をよく見てみたい、接敵行動するアルファ艦隊には〈クロイン〉へ通信を。無い場合は交戦を許可する」

 まぁ無理だろうな、と自笑気味で思う。
 その証拠に、だ。

 「応答、アリマセン」

 同じ地球人類であれば話は通じるだろうが、相手が宇宙人だとそうは行かない。

 「〈クロイン〉ヨリ、エネルギー反応ヲ検知」

 「ふむ…」

 エネルギー反応、という事は光学兵装か。
 粒子砲、もしくはパルス砲かイオン砲か。なんであれ、砲撃の前兆であることは間違いない。

 「アルファ艦隊、交戦可能距離に入リマシタ」

 接敵行動を行っていたアルファ艦隊は物理距離を保ちつつ、主砲・ミサイルを〈クロイン〉に照準を合わせる。
 
 「〈クロイン〉、発砲」

 だが先に、〈クロイン〉が攻撃を仕掛けてきた。

 〈クロイン〉がアルファ艦隊の前列に居るフリゲート艦へと、白いビーム砲を発砲。
 1隻のみを攻撃、ではなく、4隻同時。
 発砲というよりかは、斉射が正しいだろう。
 
 アルファ艦隊の前列に居る艦は、2種類ある。
 
 一つは、装甲型の【FG300型フリゲート】。
 量産性に優れ、生存能力も傑出している。

 一つは、【ルビー級 重量級防御フリゲート】
 生産コストは比較的高いが、極めて強い生存能力を有している。
 
 防御のグレードを例えるならば、だ。 
 装甲型の【FG300型フリゲート】はAクラスで、【ルビー級 重量級防御フリゲート】はSクラス。

 その防御に優れた2つの艦種が艦隊の盾となっており、FG300型フリゲートやルビー級に限らず全ての艦艇に対ビームコーティングが施されている。

 艦隊の盾は敵〈クロイン〉から放たれた光学兵装をも、難なく一発は防御することは出来る!

 ………筈だった。

 「ルビー級 重量級防御フリゲート1隻ガ小破、FG300型装甲フリゲート2隻ガ中破、FG300型装甲フリゲート1隻ノ大破ヲ確認」

 「大破シタFG300型装甲フリゲート、戦列ヲ離レマス」
 
 「…WOW」

 …思わず目が点となってしまった。
 FG300型装甲フリゲートはよいとして、まさかルビー級が小破となってしまうとは…。

 「アルファ艦隊、砲撃ヲ開始シマシタ」

 「アルファ艦隊、ミサイルヲ発射」

 今度は此方の番だ、〈クロイン〉。

 ターゲットロックオンが完了したアルファ艦隊は〈クロイン〉へ150mm砲にて実弾砲撃し、ミサイル艦からはミサイルを投射した。

 150mmから放たれた砲弾そしてミサイル艦から発射されたミサイルは、絶対に撃沈させる一心のその勢いを保ちながら〈クロイン〉に向かっていく。

 そして…、

 「全弾、命中ヲ確認。直撃デス」

 「ミサイル、全テ命中シマシタ」

 ドドドドドドォォォォォォ!!

 凄まじい爆発、爆炎が発生した。
 宇宙ではなく惑星の上空での戦いであれば、このような爆音が聞こえていてもおかしくはないだろう。

 だが、これで〈クロイン〉が撃沈したとは微塵も思っていない。
 きっとSFでよく聞く防御兵装、シールドやらで防御している筈。

 「間モナク爆炎ガ晴レマス。現在、撃沈判定ヲ確認中」

 そう、無傷の状態のまま現れ、『お返しやで〜』っと再びそのビーム砲でアルファ艦隊を攻撃する、彼女は確信している。 
 さぁ、その姿を見せてみろ!

 「爆炎ガ晴レマシタ」

 「判定ハ撃沈デハナク、中破」

 爆炎が晴れると、そこには中破状態と化している〈クロイン〉の姿があった。
 それはもう穴という穴を形成している程で、大破となってもおかしくはない程に。

 ………え?

 「〈クロイン〉ヨリ発砲、弾着予測コースハアルファ艦隊ノ中破状態ト化シテイルFG300型装甲フリゲート」

 〈クロイン〉は生きている2つの主砲をアルファ艦隊へと向けた直後、二連装砲口から白いビームが発砲される。
 やがてその白いビームは中破状態と化しているFG300型装甲フリゲートに命中した。
 
 「中破状態ノFG300型装甲フリゲート、ソノ2隻ガ轟沈サレマシタ」
 
 報告の通り、FG300型装甲フリゲート2隻は轟沈してしまう。

 「アルファ艦隊、攻撃ヲ継続」

 そんな中破状態と化している敵〈クロイン〉へとどめを刺そうと、攻撃を再開させたアルファ艦隊。

 「〈クロイン〉、大破」

 攻撃が繰り返される中〈クロイン〉は見るに堪えないとなった。
 一つの砲弾が艦橋に直撃した次の瞬間、〈クロイン〉の船体各所よりリズミカルな爆発を発しながら、…撃沈した。

 「撃沈ヲ確認」

 ………おかしいな、私の目には〈クロイン〉が撃沈したように見えるのだが。
 目を閉じ手の額で目を擦り、目をカっと見開いたが、〈クロイン〉が撃沈したその光景は一切変わっていない。
 
 ……えぇ?
 彼女は呆気に取られた。

 あれ?こういうのって初めは劣勢状態で、後から優勢となって敵を撃破……きっとそうだ!
 直ぐに増援がやって来てアルファ艦隊を全滅させ、ブラボー艦隊も全滅させること間違いなし!
 さぁ、来るがいい!

 そうして1時間2時間と時は経過し、半日どころか一日が経過するまでに至った。
 ……あれぇ?

 こうして初の宇宙人とのファーストコンタクトは交戦に至り、やがて〈クロイン〉に勝利したのだった。 
 

 
後書き
現状公開可能な情報:不明艦〈クロイン〉
推定全長:600m
艦色:白
推定艦種:駆逐艦or巡洋戦艦
装甲:不明
防御:不明
武装
・二連装砲塔x多数
・対空砲x不明

概要
 円盤の上面に長方形の箱がくっつくようにあり、砲塔らしきものが多数存在しているが、対空砲の有無は不明だ。
 艦橋らしきものは前方を見下ろすように高く、その艦橋は船体上面の後方にあることが確認出来た。

 宇宙人が座乗する有人艦であるのか、それとも無人であるのか、現時点では判明されていない。

 ただ分かるのは、人類ではないという事のみだ。

ーーーー

さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!  
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧