金木犀の許嫁
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第二十三話 里帰りその八
「認め合う」
「そんな関係だったんですね」
「そうでした」
こう夜空に話した。
「お二人は」
「そうでしたか」
このことは事実である、野村は南海の選手そして監督として西本と戦い続けお互いを理解し合っていたのだ。
「いい間柄でしたね」
「その様な人は」
「もうですね」
「出ないかもと」
その様にというのだ。
「私は思います」
「そうですか」
「ですがまた出られるなら」
「それならですね」
「嬉しいですし私もです」
幸雄もというのだ。
「今もです」
「西本さんみたいにですね」
「なりたいと思って」
そうしてというのだ。
「日々です」
「努力されていますね」
「はい」 106
そうだというのだ。
「心掛けています」
「そうですか」
「至らずとも」
それでもというのだ。
「近づけます」
「そうですよね」
「努力すれば」
「それだけよくなりますね」
「そしてです」
幸雄はさらに言った、
「若しかして」
「その人みたいになれますか」
「そうなれます」
「そうなんですね」
「藍は青より出てですね」
ここで真昼はこの言葉を出した。
「青より青し」
「よりよくなる、ですね」
「目標よりも」
「そうですね、ですが」
「それは、ですか」
「私は目標とされる方々が偉大過ぎます」
こう真昼に返した。
「幸村公も西本さんも」
「だからですか」
「青より青しとはです」
その様にはというのだ。
「どうしてもです」
「考えられないですか」
「はい」
そうだというのだ。
「どうも。ですが」
「それでもですね」
「その様にして」
そうしてというのだ。
「あの方々より素晴らしくなれれば」
「いいですか」
「最高です、人はです」
幸雄はさらに言った。
「その様にしてです」
「よくなりますね」
「人間自体もです」
「目標になる人よりも立派になって」
「それを繰り返していき」
そうしてというのだ。
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