犬の反抗期
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第一章
犬の反抗期
ふわりを見てだ、彼女の家族にである国崎家の息子でありラーメン屋で働いている洋介はこんなことを言った。
「俺高校の頃やんちゃだったよな」
「髪の毛茶色にして五十CC乗ってただけでしょ」
母の百合子が言って来た。
「それだけでしょ」
「それだけだとか」
「別にね」
これといってというのだ。
「校則違反じゃなかったし」
「やんちゃじゃなかったか」
「あんた結構いい加減だけれど」
それでもというのだ。
「高校の時から真面目にアルバイトしてたし」
「今もか」
「これといってね」
「やんちゃじゃないか」
「遊ぶだけで」
本当にそれだけでというのだ。
「反抗期もね」
「なかったんだな」
「そうだったわ」
「そうなんだな、それで今思ったけれどな」
今もふわりを見つつ言うのだった。
「犬って反抗期あるのか?」
「大人になる中で?」
「ああ、それでふわりもな」
今はケージの中で気持ちよさそうに寝ている彼女を見つつ言った。
「反抗期あったのかよ」
「犬でそれは聞かないわね」
母はこう返した。
「反抗期なんて」
「ないか」
「だから聞いたことがないわ」
こう息子に言うのだった。
「そんなことはね」
「そうなんだな」
「ええ、ないでしょ」
またこう言うのだった。
「犬はね、大体一年で大人になるし」
「人間で言うと二十歳になるんだよな」
「そうだからね、ふわりも身体は小さくても」
トイプードルでも小さい方だ、ティーカップかというとそこまではいかずともやはり小さいことは事実である。
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