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シェークスピア劇を原語で

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第一章

                シェークスピア劇を原語で
 所属している英会話クラブの文化祭の催しはシェークスピアの劇になると言われてだ、高校一年生の前田紗那黒髪をロングにしていて形のいい顎と切れ長の細い目に眼鏡をかけた小柄ですらりとしたスタイルの彼女はすぐに言った。
「英語でやりますね」
「その通りですぞ」 
 部長の山本乱歩バタ臭い顔で黒髪は短く長身の彼は生えていない口髭をさすりつつポワロの様に答えた。
「察しがいいですな」
「あの、うちの部活で劇で」 
 前田はその山本にさらに言った。
「シェークスピアとなりますと」
「わかりますか」
「物凄くわかりやすいです」
「どうやら前田君は探偵の才能がありますな」
「それ以前ですよ、しかしシェークスピアっていいましても」
 前田はさらに言った。
「作品多いですよ」
「どの作品を上演するかですな」
「はい、何をしますか?」
「ウィンザーの陽気な女房達を」
 山本は座って足を組みやはり口髭をさする仕草をしつつ答えた。
「します、しかもです」
「原語で、ですね」
「やはり探偵に向いています」
「あの、ですからわかりやすいですから」
 またこう返す前田だった。
「英会話クラブでシェークスピアの舞台なら」
「そうですか」
「誰でもわかりますよ、しかし」
 それでもとだ、前田はあらためて言った。
「原語、英語なら英会話クラブらしいですし」
「我等の部に」
「文化祭の催しでもです」
「いいですな」
「演じる方も観る方も英語それにシェークスピアの勉強にもなりますし」
 このこともあってというのだ。
「いいと思います」
「そうですな、ではです」
「原語でウィンザーの陽気な女房達ですね」
「やりましょうぞ」
「わかりました」
 前田だけでなく他の部員達も頷いてだった。
 部はその劇の上演の準備をすることになった、早速原語が出されたが。
 その文章を読んでだ、前田は目を丸くさせた。
「これ英語ですか」
「そうですぞ」
 山本はその通りだと答えた。
「それがシェークスピアが書いたと言われるです」
「原語ですか」
「左様です」
「あの」
 アルファベッドの人命や台詞を目にしつつだ、前田は言った。
「文章はそのままでも単語が」
「はい、今の英語とは違いますぞ」
「そうなんですね」
「古文がありますな」
 山本はこう前田に話した。
「日本語で」
「江戸時代までの文章ですね」
「明治でも樋口一葉等はです」
「古文って言っていいですね」
「日本語は時代によって違います」
「候文なんかもありますね、私全然わかりません」
 前田はこの前読んだ芥川龍之介の作品でその文章のものがあったがほぼ読み飛ばしたことを思い出しつつ山本に話した。 
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