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金木犀の許嫁

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第十七話 生まれ変わりならその七

「まことにです」
「ないのね」
「はい」
 そうだというのだ。
「そうしたこともお好きでないので」
「だからなのね」
「はい、地味と言えばです」 
 幸雄をそう言うならというのだ。
「そうなります」
「そうなのね」
「ですが」
 それでもとだ、白華は話した。
「今お話した通りの」
「素晴らしい方ね」
「そのことはご安心下さい」
「わかったわ」
 真昼も笑顔で応えた。
「それならね」
「これからもですね」
「あの人と家族として」
 その間柄でというのだ。
「仲よくね」
「されていかれますね」
「そうするわ」 
 笑顔のまま答えた、そしてその夜実際にだった。
 夜空が作った夕食を家族揃って食べつつだ、真昼は自分の席に座って食べている幸雄に顔を向けて尋ねた。
「あの、幸雄さん」
「何でしょうか」
「お好きな食べものは何でしょうか」
「カレーですね」 
 真昼に微笑んで答えた。
「そして今食べている」
「おでんもですか」
「はい、好きです」
 こう答えるのだった。
「こちらも」
「おでんお好きですか」
「それに豚汁に粕汁も」
「大阪ですね」
「そうですね、お好み焼きたたこ焼きも好きで」
 こうした食べものもというのだ。
「お寿司もです」
「お好きですか」
「水餃子に海鮮麺も好きで」
 今度は中華料理の話をした。
「ムニエルもです」
「色々お好きですね、じゃあ嫌いなものは」
「特にないですね」
 少し考えてからだ、幸雄は真昼に答えた。
「子供の頃は納豆やチーズが苦手でしたが」
「そうしたものがですか」
「匂いが強いものは」
「駄目だったんですか」
「ですが少しずつ慣れまして」
 納豆やチーズの匂いにというのだ。
「今はです」
「食べられますか」
「普通に」
 そうだというのだ。
「そうなりました」
「そうなったんですね」
「どちらも今では美味しくです」
 真昼に微笑んで話した。
「食べられます」
「それは何よりですね」
「はい、ただ嫌いなものは特にないと申し上げても」
「やっぱりあります?」
「北欧に行った時に」
 この時にというのだ。 
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