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金木犀の許嫁

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第十七話 生まれ変わりならその八

「スウェーデンでシュール=ストレミングをいただくことになりまして」
「あの有名な」
「そこにいた皆さんでそうなることになりましたが」
「駄目でしたか」
「あまりにも強烈な匂いで」
 そうであるからだというのだ。
「噂以上の」
「それで、ですか」
「はい」
 それ故にというのだ。
「無理でした」
「じゃあの缶詰はですか」
「食べられませんでした」
 そうだったというのだ。
「とても」
「そうでしたか」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「嫌いな食べものは何かといいますと」
「シュール=ストレミングですか」
「そうなります」
「そうですか、ただあの缶詰食べる機会ないですよね」 
 真昼はおでんのちくわを食べつつ応えた。
「そうは」
「スウェーデンでもです」
 この缶詰の本場のというのだ。
「実は」
「やっぱりそうですね」
「はい、やはりです」
 どうしてもというのだ。
「そうはです」
「食べられるものじゃないですね」
「そして日本に輸入するにしても」
「危険物扱いですね」
「そうなっています」
「それじゃあ」
 真昼はここまで聞いて言った。
「滅多にです」
「食べられるものではないですね」
「そうですね」 
「ですが敢えて嫌いなものは何かといいますと」
 そうした食べものはとだ、幸雄は揚げを食べつつ答えた。
「そちらになります」
「そうですか」
「匂いがきついものは」
「苦手ですか」
「どうも今も。ですが納豆もチーズも」
 今はというのだ。
「大丈夫です」
「食べられるんですね」
「はい、特にです」
 幸雄はさらに話した。
「納豆をご飯にかけて食べるものは」
「お好きですか」
「そうなりました」
「そうなんですね」
「そして昔から大蒜や韮は」
 こうした匂いのきつい野菜はというのだ。
「特にです」
「抵抗がないですか」
「むしろ好きで。特に大蒜が」
 こちらがというのだ。
「大好きです」
「それはいいですね」
 夜空は蒟蒻を食べながら幸雄の今の言葉に笑顔で応えた。
「大蒜身体にいいですからね」
「左様ですね」
「それならです」
 幸雄に笑顔で話した。
「ニンニクを使ったお料理も」
「造ってくれますか」
「イタリア料理にスペイン料理に」
 こうした料理にというのだ。 
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