星河の覇皇
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第八十六部第三章 学園の理事長としてその四十六
「しかし可能性としてだ」
「どうしても存在しますね」
「そういうことだ」
「あらゆる可能性が存在する」
「それでどうなるか、人間がどう動いてもな」
「時代の潮流としてですね」
「そうなってしまうこともあるしな」
そうしたこともあるからだとだ、八条は由良に話した。
「どうしてもだ」
「どうなるかはわかりにくい」
「無限のケースが想定される」
一つや二つではなくというのだ。
「絶対にそうなるとはだ」
「限らないですね」
「タイムトラベラーが出て来てだ」
この時代でも自分こそまさにそれであるという者が出て来ている、そのうえで未来のことを話してくる。
「その言葉通りになることはだ」
「そういえば」
由良は八条の今の言葉にはっとなって答えた。
「時々タイムトラベラーは出ますが」
「それでもだな」
「はい」
まさにというのだ。
「その言う通りにはです」
「まずなっていないな」
「未来はこうなると言っても」
「その様にはな」
「ならないことが常ですね」
「タイムトラベラーが本当なのか」
八条はその目を鋭くさせて言った。
「それはわからないがな」
「騙りである可能性もありますね」
「ネットの書き込みは正体がわかりにくい」
書き込んでいる者のそれがだ。
「現実としてな」
「左様ですね」
「だから自作自演も出来れば」
これは十九世紀でも似た様なことが出来た、ロシアの女帝エカテリーナ二世は雑誌に匿名で詩を公開してロシア文学の発展に貢献していたしワーグナーは自分を隠して自作の擁護や批判者への攻撃を行ってもいた。
「創作もだ」
「出来ますね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そういうものだ」
「だからですね」
「タイムトラベラーの正体はだ」
「わからないですね」
「ただ。タイムマシンというものは」
八条は彼等が使うSFのその装置のことも話した。
「二十一世紀中頃から存在しているというが」
「中央政府も各国政府もですね」
「使用していない」
「義統様の知る限りでは」
「私は中央政府国防長官の地位にある」
「かなりの情報を知り得ますね」
「ここでは決して言えないことも知っている」
国家機密それも重要なものである。
「誰にもな。しかし」
「それでもですか」
「ないから言える」
「その重要機密の中に」
「少なくとも私の知る限りではな」
「政府にはですね」
「中央政府にも各国のどの政府にもな」
それこそというのだ。
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