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俺のヴィジランテ合衆国

作者:連邦士官
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1


 俺は今、荒野を歩いている。マイサンとも言える雷電に敗れ今何故かデス・バレーにいる。場所は見たらわかる。俺はそこそこ大学を行っていたからな。

 アメリカらしいアメリカの自然は全て覚えている。同時にそれらはアメリカンがもつ、フロンティアスピリットがあるマニュフェストディスティニーでこれらは膺懲すべき土地だ。

 俺は雷電に負けたがこうやって生きている。ならばだ。雷電がいった、雷電が見せた弱者からの強者は極めてアメリカンだ。アメリカン・ドリームそのものだ。アメリカとはその意志そのものだ。

 アメリカはネィティブアメリカンいやインディアンを押しのけて作られて、次にコモン・センスで有名なあれにより皆が奮い立ち出来た国家だ。なら、古き良きアメリカとはフロンティアスピリットを持ち、マニュフェストディスティニーにより世界をアメリカにして、世界から飢餓から何もかも消し飛ばせるほどのパワーを持ち、アメリカと聞いただけで人々が頭を垂れ羨ましがるようでなければならない。

 俺は正しいアメリカを示したはずだ。アメリカはわかりやすい理念とシェリフとしての役割を渡すために俺が提示したのはわかりやすい世界、サンズ・オブ・リバティだったはずだが。

 「だったら簡単じゃねぇか。雷電。お前の意見も入れてやるよ。」
 アメリカとは自由意志、それは太古ギリシャのプラトンが語ったイデアにまで遡れる。ならば、雷電の意図までも飲み込み、すべてを合わせた社会、混沌の中の秩序とアメリカン・ドリームを叶えれる教育社会基盤を全員に施せる社会、これにより雷電のような人材が増えれば社会は自ずと努力をするはずだ。

 努力は報われないといけない。俺はだからこそ、相撲・レスリング・ボクシング・バーリトゥード・サバット・いけ好かないコマンドサンボ国家などを問わずにほぼすべての格闘技を俺は習った。

 「今更、またやり直すのも悪かぁねぇな。破壊と再生こそがアメリカだ。」
 それより先にこのクソ暑い砂の山を抜けねばならない。いけ好かないカルフォルニアなんてエリート主義の拝金主義州だ。許せるわけがねぇ。あぁ、身体をほぐすか。

 「待ってろよ!お前にアメリカを見せてやるぜ!」
 デス・バレーの砂漠は俺の前では単なる猫のトイレ程度のものだ。一気に走り抜ける。砂漠では俺のスーツが役に立つ。日差しに置いてもスーツは役立つ。何より、夜は冷え込むことを考えればスーツは砂漠の戦闘服と言えるだろう。

 「くそ。」
 俺のスポーツマン精神で一気に砂漠を走り抜けたのは簡単なことだったが問題がある。俺の社会番号は使えねぇ。社会番号の調達から始めるか。一から始めるのもいいかも知れねぇ。持たざる者の実地調査だ。悪くはないな。

 上り詰めるのも鍛錬だ。それを忘れて自己の努力の足り無さを社会のせいにして、ルサンチマンを抱き、常に文句をいうだけでは人間ではなく衆愚だ。そんなのはアメリカじゃねぇ。それはイギリスやフランスなどの茄子が腐ったようなエリート主義者の発言だ。生まれは選べないが鍛錬は選べる。

 強大な意志と精神力がある思想これがアメリカだ!決してそんな酒を飲んで負けを嘆いて何もしない敗北主義者の皮肉屋がアメリカなわけがねぇ!

 「まずはクリップがあったか?」
 マネークリップや財布はどうなってるのか確認はしてなかった。そもそもこのスーツは破れたはずだが何故、着てるんだ?誰の仕業だ?もしや、愛国者達か?

 「まぁ、どうだっていいことだ。気に食わなかったらぶん殴る。」
 スーツを探るとマネークリップには600ドル、財布にはカードが入っていたがカードを使うと俺の居場所がバレるかも知れねぇ。道路を走ると前からタクシーがやってくる。今の場所にやってくるのは観光客を乗せてるか、そのふりをして死体を片付けに来たマフィアぐらいだろう。

 後者なら楽に殴って金と情報を聞ける。怠惰なだけの市民は殴るわけにはいかないからな。

 すれ違いざまに目を見る。やつは人を殺したことがあると瞬時に理解をする。それは上院議員ならわかる。

 車が後ろで止まった。瞬時に俺は振り返りざまに走って、降りてきてショットガンを構える奴を無視して殴り飛ばした。

 「てめぇ!何者だ!喋りやがれ!」
 一発、二発殴ると体が固まった。何だこいつは?催眠術やそのような怪しいことをやったのか!

 「痛いぞこの筋肉だるまが!お前なんで殴りやがって俺の正体を見破ったのか?そうだよ俺が連続爆弾魔・ティンダー様だ!」
 テロリストかじゃあ、生かしておく意味はねぇな。テロリストと戦士は違う。こいつは戦士ではない。テロリストは社会を変革させる気がなく単なるルサンチマンで社会を破壊しようとする異常者だ。

 「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
 立ち上がろうとするが深海にいるようにまとわり付きやがる。何だこいつは?資料にあったサイコ・マンティスの仲間か?

 「無理だぜ。俺の個性は爆弾じゃない。奴らコメンテーターは馬鹿だからわかりやしないんだよ。冥土の土産に教えてやる。俺の個性は俺自身を含めた密度変化だ。お前の筋繊維の密度を変化させて立てなくしてるんだ。俺自体の筋繊維を強化すればお前のパンチなんか効きやしない。わかったか?マッチョマン。筋肉なんか個性社会では見せかけなんだよ!」
 個性?なんのことだ?まて、よく見ればこいつが喋るアメリカンには訛がねぇもしかしてだが。タクシーのナンバーの桁数も違いやがる。そうか、ここは別次元なのかもしれねぇ。

 ディーテ世界。眉唾と思っていたが存在したのだろう。ならば別の展開を迎えて発展したアメリカに俺がやってきたのかもれないな。だからってやることは常に同じだ。アメリカはアメリカだ!星条旗は星条旗だ!

 「個性だかなんだか知らねぇがな‥‥アメリカを舐めるんじゃねぇ!」
 立ち上がろうとする意志があれば誰でも立ち上がれるのがアメリカだ。お前は俺のアメリカをバカにした。

 「なんで!?馬鹿な!ふざけんなよ!」
 とっさにやつはショットガンを撃とうとするがもう遅え、一気にタックルを決めるとそのまま、十発殴った。手を見ると血が出ている。ナノマシンまでは着いてきてないのか。まぁ、ナノマシンも小手先に過ぎない。必要なのはアメリカンスピリットだ。それ以外は付属品に過ぎない。

 完全に伸びたのを見て、縛り上げるとやつのタクシーの中身を見る。トランクには工具、ダッシュボードには札束、クスリの売人も兼ねていたようだ。なら、手始めにヤクをばらまくゴロツキをぶん殴るか。

 「楽しめそうだな。ドライブの開始だぜ。」
 タクシーを飛ばすとそのまま、市街に入るが驚愕した。

 「人間じゃねぇシャークヘッドのやつまでいるのか。」
 ティンダーの携帯からSNSを見て、この社会の成り立ちも調べたがはっきり言って亜種のルッキズムにあふれていやがる。

 個性という努力を堕落させ、言い訳にもなるふざけた力。これが癌に間違いねぇ。それに個性がなくてもヴィランなんてのはぶん殴れば倒せる。個性は個性でしかない。しかし、個性にアメリカンスピリットは犯され捻じ曲げられてしまった。

 努力すれば誰だって俺ぐらいにはなれるはずなのに。コイツらにアメリカを叩き込んでやる。

 




 「あれから8年か。オールマイトオタク、お前とこうして話すようになるとはな。」
 俺は眼鏡とネクタイを外した。オールマイトに憧れてるだけのムキムキマッチョの変態野郎に向き直る。
 
 「‥‥本当に止まらないのか?」
止まれる訳がねぇそれがアメリカだ。オールマイトのやり方もアメリカだろうが俺のやり方もアメリカだ。

 「わかってるだろう?考えがかち合う時にやるべきことが。それに今のヒーローはヒーローじゃねぇ。あれはハリウッドの俳優やモデルと一緒だ。金で雇われてるだけの奴らだ。現にアメリカはヒーローは山のようにいるがお前と今向かってるらしいスターアンドストライプぐらいだ。既にアメリカは死んだんだよ。だが、アメリカは蘇る!」
 俺は拳を天に上げた。

 「なんでお前はそんなに力を持っている?個性か?」
 なにを馬鹿なことを言ってやがる。個性で得た力なんてものじゃあアメリカは動かねぇ。努力と鍛錬と研鑽、そして筋肉だ。わかりやすくシンプルだ。個性は努力ではなく、堕落させる。

 「これが俺の個性かだと?個性や無個性にこだわるようじゃ、ヴィランでもヒーローでもねぇ。俺は常に俺自身がアメリカだって思っている。儚いものが好きなお前らと違ってな。オールマイト。今の拝金主義、権威主義、エリート主義、自由を勝ち取ろうとも、自由であろうとも開拓の闘いも忘れて、個性という異能のゆりかごで安寧を得ようとする。努力を忘れた個性過激社会で優生学に基づいた個性婚が跋扈する世の中にどこにヒーローがいやがる?俺に対する支持は偉大なるアメリカと共に個性が生み出した社会の歪みに対する怒りなんだよ。だが‥‥。」
 俺は再びやつの前に歩く。コロラド州知事としての答えは言ったがまだ俺個人の答えは言ってねぇ。

 「そんな馬鹿な話が!じゃなければどうやってそんなことを。」
 個性に頼りすぎた結果なんだろうお前らの。

 「そんなことを知ったこっちゃねぇ!オレが気に入らねぇものをぶん殴る!それが支持者だろうと俺自身だろうと気に入らねぇから殴る!それが!俺の!アメリカだ!星条旗舐めんじゃねぇ!」
 殴る前にある声が俺にかかった。

 「心配するな!私が来た!ヴィジランテアメリカ連合国、初代大統領アームストロングと名乗ってるらしいが大統領として‥‥。」
 こいつがオールマイトか。アメリカをこいつに叩き込んでやる。アメリカにはアメリカの意志がある。そのヒーロー精神とアメリカンスピリット。どっちが強いかやるしかないよな。

 「だからどうした!」
 俺は走り出した。オールマイトに向かって、いや、アメリカのアメリカンとして、これが本当のアメリカなのだから!





 
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