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偽マフティーとなってしまった。

作者:連邦士官
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18話

 寝ていた護送中の片道25分は何もなかったようで安心をした。

 何よりツヴァイが大臣達にマフティーダンスを踊らせてなかった様だし、厄介なケネスが逃げようとする事もギギが他の人達にニュータイプ的な煽りをする事も無く、平和も平和だ。全く、こうやって何もなく時間が過ぎて行ってくれれば最初から良かったのにとため息が出てしまう。

 「殊更、俺にはマフティーとやらは向いてないのかもしれないな。」
いろんな事があったが本当にそう思う。マフティーのマフティー性とかマフティーの清廉さとかマフティーのマフティズムとか理解できないし、宇宙世紀の世紀末を理解できないもの。マフティーが起こす、マフティーの為のマフティー活動によるマフティズムの伝播により、マフティーとなりマフティーはマフティーのもとに召されマフティーとなる。理解できるやつが居たら正に頭マフティーだよ。

 「だとしてもだ。今は立派なマフティーとなってしまったんだ。なら、やってみせろよ。マフティー。」 
ドライは簡単にそれを言う。マフティーとは何たるかを未だにまるでわからない男には、そのマフティーという存在は難しすぎるよ。

 「なんとかなるはずだ。今までだってマフティー性に逆らわなかったお前ならな。俺は違う。」
だから何度も思うがツヴァイ、マフティー性ってなんだよ。お前らインテリが中身が無いマフティー性、マフティー性と訳わからない概念を押し付けるからこんな事態になってるんだろう。

 「‥‥。人が運転中に待たせて、走らせてマフティー、マフティー恥ずかしくないんですか?ッ‥‥。」
フィーアがそう言うと衝撃が走る。急に急なブレーキをかけるんじゃないよ。まさかと思うが…もしかしてマフティーとか言って待たせたので今ブチギレたの?

 確認をするためにフィーアに「なんでブレーキをかけたんだ?」と言うところで、後ろの座席からケネスが叫ぶように大声を上げている。
「ガンダムだとぉ!」
確かにこの基地はガンダムとかガンダムぽいのはいる。

 陸ガンにヘイズルとかガンダムフェイスギャプランとか量産型百式改や陸戦型百式にエゥーゴやカラバがゼータのフェイスを大量に作ってしまっていた為に、そのゼータフェイスを修理に使ったゼータ顔ネモとか、ジェガンの残骸をリペアしてゼータ顔をつけたゼータジェガンとか、水中型ガンダム‥‥はガンダムかどうかが微妙なラインだな。

 ゼータヘッドだけ大量に作るところが頭アナハイムだ。ゼータヘッドはセンサー類が良いので、カラバが持ち込んだ在庫をオエンベリの整備士たちが近代化改修として、その数十個あるゼータ系ヘッド(リゼルやゼータプラス、デルタ、FAZZのヘッドもあるらしい。)を戦力になりそうな機体に載せ換える換装案があるぐらいだから。まずデータを取るのにヘイズルにゼータヘッドを載せているらしい。

 「ガンダムぐらいならいるさ‥‥待て、ガンダムだと!」
窓を見て外を確認すると見まごうことなきZZガンダムからEx-sガンダム、GP03からディープストライカーを混ぜて、そこにナイチンゲールとハイニューガンダムを入れたようなシルエットは‥‥クスィーガンダムだ!?なんで!?クスィーガンダム!?

 「あれが噂のガンダム!?悪魔の力よ!」
どこかの上流階級がポツリと漏らす。確かに力といえば悪魔の力でもあるがアナハイムの悪さでもある。そして、やっと車が再び動き出した。

 「マフティー!ガンダムとはどういうことだ!?本当にサナリィが‥。」
興奮しているケネスを手で黙れとジェスチャーをする。それっぽいことを言ってやるほど、今はそんな余裕がない。本当にクスィーガンダムは何故来たんだ?俺を殺しに来たハサウェイか?後ろにはメッサーとあれは‥‥ゼク・アインとギラ・ドーガが並んでいる!?なんで!?おかしいよ。ゼク・アインが何故だ。

 「あれが‥‥。なるほど。確かに教授が言うようにニューディサイズだ。」
内宇宙監視大臣がなるほどと言うが、俺はゼク・アインとか知らないから。まだジェガンなら良かったのに何故ゼク・アイン。ゼク・アイン第一から第三兵装でもない。あれが‥‥ゼク・ドライ?よく見れば足元はスカートのようなものと背中は巨大なスラスターにサブアームのようなのが4対ある。それに若干巨大な気もする。

 「我々マフティー軍とニューディサイズに関係性はない。それにマフティーはいかなる組織とも関係はない。彼らにテレビでもつけてやれ。」
ザワつく車内を落ち着かせるためにテレビをつける。おハゲの頭が映る。あの頭に髭はデ、デラーズ!?

 『我々、ネオ・マフティーの理念を伝えます。地球は人類の生まれし永久のゆりかごとして機能してきました。しかし人類は地球を汚染し、地球の重力で地球圏を覆い滅ぼしかねない。それゆえの地球連邦政府の抹殺。ネオ・マフティーの理念は地球の浄化。紛争の根絶であります。絶えず地球連邦は争いの種を生み出し続けました。』
コスモ・バビロニア風の制服を着たデラーズのCGの口が動いてギレンの声で喋りだしている。気味の悪い映像だ。

 そしてバックが地球に変わり、一年戦争の風景が流れる。

 『我々、宇宙に根ざすネオ・マフティーはマフティーとは違い、地球連邦政府、彼らを一切受け入れません。人類の即時の地球からの離脱と環境管理のために、1億人程度を地球へと残し、宇宙へと上がり、その力を持って外宇宙開発へと人間は乗り出して変わるべきであり、また人間は進化するべきなのです。人類の進化を仮にこう名付けてみましょうか。この大義がある神聖な行為は地球圏の親離れ、つまり、アナザーチルドレンです。今こそサイドやニュータイプ、オールドタイプ、アースノイド、スペースノイドからの離脱をして新たなる局面を迎えた人々。アナザーチルドレンが生まれるべきなのです。これよりネオ・マフティーはアナザーとしての力を見せます。』
映りだすのは木星!?木星を背景にクスィーガンダムのようなものが映り込む。そして、時折緑に輝く。あれはサイコフレームの光だ!フルサイコフレームのクスィーガンダム!?アナハイム・エレクトロニクス、お前嘘だろ!?やりやがったのか!?

 『我々ネオ・マフティーは象徴的なガンダムという強大な力を手に入れ、人類の革新に進みます。アナザーガンダム‥‥。新たな時代の組織としてネオ・マフティーを捨てて、アナザージェネレーションエフェクトとして正しき人類の発展を促します。』
呆然と全員でテレビが映し出したモノを見ているとフィーアがクスィーガンダムなどがある格納庫近くに車を止めた。

 「着きましたけど。」
どうしますか?って顔をしている。俺どうすればいいかわからん。それにフィーアに行き先を伝えたのはツヴァイだ。何故ツヴァイは格納庫に行けといった?さっきの放送を流したやつの正体のほうがまだわかる。トンチキだがあれの中身はわかる。本当の名前は知らないがジャックだ。

 「‥‥。」
いきなりツヴァイがドアを開けて立ち上がり、重苦しい護送車の扉を開けてゆっくりと外に出る。空気を変えるために動いてくれたのか?しかし、何かが引っかかる。
 
 「あっ!?」
ギギが何かを言いかける。いや、もう余計なことを言うのはやめて欲しいが。そしてギギが注目を集めた瞬間にツヴァイはかぼちゃを脱いで、踊るような軽やかなステップを踏むかのように走り出した。かなりの速さだ。何だあいつ!?

 「なにをそこまで!?」
あまりの事態に俺は驚いて見るが、ツヴァイはその刹那、黒いパイロットスーツを着ている‥‥おそらくはハサウェイにステップを踏んだままに殴りかかるとハサウェイが避けた。

 そして避けたのをいいことにワイヤーが降りていたクスィーガンダムのそれにつま先を入れて乗り込むと、コックピットを開けたままに発進させた。

 「君たちは良い同志だったが、平和裏にやり過ぎる。宇宙世紀の歴史は血と血の歴史だろうになぁ!?コイツはもらっていくぞ!マフティー・ナビーユ・エリン!革命には旗印が必要なのだとさ。いい座り心地だ!ガンダムの王者のMSの座り心地っていうのはな!」
一気に飛び上がるクスィーガンダム、コックピットハッチは閉まった。その先の空を見ると黒い点がある。よく見ると‥‥アレはラー・カイラム級!?まさか連邦政府が関わっているのか!?

 空中にとどまるクスィー。ミノフスキー粒子の干渉は置いといて。

 「たしかに諸君らは巨大だろうとも。しかし諸君らマフティーよりも力を持って使う、我々、A.G.Eに賛成するものも多いのだ!マフティーの頑張り過ぎだよ!」
いきなりなんだって言うんだ!?頑張ってなんかないよ、一切な!あの最近ツヴァイに苛ついていたのは敵意を感じていたからか!?ハサウェイを刺激するなよ!

 「ツヴァイ、どうしてこんな!」
ドライが叫ぶ。本当にだよ、お前なんなんだよ、ふざけるんじゃないよツヴァイ、この馬鹿野郎!

 「人はこの正しい力の正しい使い方とやらを教えてやらねば力を持ってつけあがる!!誰だってそうやってつけあがる!それは俺もお前もだ!ならばつけあがったマフティー、お前に正しい力の使い方を教えてやろうものさ!これこそが!」
格納庫を目掛けてクスィーのファンネルミサイルが放たれた瞬間にフィーアが急なバックをした為に被害はなかった。俺は倒れ込み頭を打ったが、かぼちゃのマスクがあったから助かった。

 「おい大丈夫か、マフティー?」
ふらつくがケネスの声が聞こえ再び外を見る。空中に留まっていたクスィーガンダムが一直線にラー・カイラム級に向かって、吸い込まれ、一直線に煙を吐き出していた。それをただ見つめるより他に手立てが無かった。

 クスィーガンダムが去った後に車から降りて周りを見回し、消えたほうの空を見ると碧い。格納庫を見ると煙があがっている。ここの格納庫はあまり使われてない引火するようなものは大してないのが幸いだったと思い、車に頭を入れて伝える。

 「先に捕虜を新たな場所に連れて行ってくれ。俺は被害を確認する。彼らはお客様だから気を付けろよ。」
ドライとフィーアに任せる。彼らも呆気にとられていたからツヴァイの仲間ではないだろう。

 車を見送ると黒のパイロットスーツを着ている恐らくはハサウェイに話しかける。とんでもない空気を纏っている。

 「大丈夫か?ハサウェイ‥‥。」
やってしまった。名前を呼んだが勢いで乗り切ろう。今までのマフティー生活は伊達ではない。

 「ハサウェイ‥?誰だそれは。」
ハサウェイは誤魔化そうとしてるからそのままにしておいてやろう。触ったら不味い。

 「そうだな、雰囲気が似ていたから間違えたのさ。マフティー、怪我はないか?勝手にMSを奪うなどオーストラリアでは2度しか起きてない大事件だな。」
ハサウェイはこちらを見つめている。怖いからやめてくれ。雰囲気に飲まれる。ピンクの紫がかったオーラ出てない?気圧される。汗が出てきた。

 「俺も昔は良くやったんです。親父には迷惑をかけた。カツみたいだなって言われたりもしたんです。でもカツっていう人よりは活躍しているつもりなんです。」
カツって‥‥それでもあいつはそこそこ活躍してるからな。スパロボやジージェネなら貴重なNTで使えるぞ。

 「だが飛行機のようなあんなもので良くやってたさ。」
あいつ、とんでもないからな。乗ってる機体がリックディアスなら生き残っていたかもしれん。とんでもおもしろGディフェンサーとかであれだけ戦っているからな。

 「昔はジェガンに俺も乗ったりして、無断出撃をして整備のケーラさんに怒られました。」
いや、アストナージだろ?サラダおじさんだ。スパロボとジージェネで輝くアストナージ。モスク・ハンの弟子らしいぞ。

 「ケーラはパイロットで、整備はアストナージだろ?」
ハサウェイはクスィーガンダムを盗まれた割には怒ってなさそうで良かった。

 「そうでした。僕はクラップ級からパイロットとして出てシャアの反乱に‥‥。」
いやお前、密航者だろ。違和感を感じるが正体がわからない。ツヴァイの反乱とデラーズ・ジャックのせいで疲れているからだろうか?ハサウェイから出ている、妙な圧迫感のせいか?

 「いや、それはわからん。」
パイロットスーツを着ているから真意がわからん。息を吸って落ち着こうとするが肺に酸素が入らない。凄まじいプレッシャーだ。じっとりと背中がする。

 「僕のスコアは0でした。急いで出ていったのに恥ずかしい限りです。」
いや、なんかサラッとギラ・ドーガを撃墜していたような?

 「スコアは0ではないだろ?シャアと戦っただけ自慢できることさ。ギラ・ドーガ相手にそれだけできたんだから誇ったらいい。」
ここまで言った時にプレッシャーが一気になくなる。頭を整理する。しまった!ハサウェイにプレッシャーをかけられて話してしまった!

 「貴方は一体、誰なんですか?」
拳銃を向けるハサウェイをしっかりと俺は見つめ返していた。

 
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