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星河の覇皇

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第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その六十二

「結局は構わない」
「それよりも遥かに賢明になる者が出る」
「それだけで充分ですね」
「百人のうち九十九人がそうならですね」
「それでいいですね」
「政治の世界は百人のうち九十九人が助かれば文句はない」
 その政治家としての言葉だ。
「百人のうち百人を救うなぞだ」
「出来ないですね」
「それは」
「現実として出来ない」
「左様ですね」
「それは宗教の話だ」 
 政治ではなく、というのだ。
「むしろな」
「左様ですね」
「そうしたものですね」
「だからですね」
「百人のうち九十九人なら充分ですね」
「そうだ、充分過ぎる」
 まさにというのだ。
「それでな」
「左様ですね」
「それまで至れば」
「それで、ですね」
「充分過ぎますね」
「満足すべきだ、その残る一人のどうしようもない愚か者はだ」
 その全く成長しない様な輩はというのだ。
「やがていなくなる」
「そうなるのが筋ですね」
「左様ですね」
「低俗な、ヘドロの中にいてがです」
「成長なぞしませんから」
「ヘドロは腐っているがさらに腐る」
 そうなるというのだ。
「そして腐敗が極まれば微生物すらいなくなる」
「あまりにも腐敗が進めば」
「もう何もいなくなりますね」
「それこそ蠅や蚊ですら寄らなくなります」
「そこまで至りますね」
「そうだ、連中はその中でいなくなる」
 腐敗しきった低俗な世界の中でというのだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「放っておきますね」
「そうした輩は」
「どうにもならない輩は」
「政治としてはな、そんな輩も救われる可能性はあるがな」
 それはというのだ。
「どんな哲学や思想でも救われそうにない輩でもだ」
「救われる可能性はゼロではない」
「左様ですね」
「僅かでもありますね」
「どういった輩でも」
「そうだ、ゼロではない」
 僅かでも可能性はあるというのだ。
「世の中は絶対というものはないからな」
「だからですね」
「そうした輩でも救われますね」
「その可能性はありますね」
「どうあっても」
「そうだ、だからだ」 
 それでというのだ。 
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