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星河の覇皇

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第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その六十三

「何処かでそうなる可能性がある、だがな」
「可能性は僅かですね」
「そのことは否定出来ないですね」
「どうしてもそうなりますね」
「零点の人間は十点の人間の考えすらわからない」
 百点満点でだ。
「そして十点、一点でもあればそこから上がれるが」
「零点ではですね」
「どうしてもですね」
「そこから上がるには」
「相当なものが必要ですね」
「その相当なものが滅多にないからだ」
 だからだというのだ。
「そうした輩が救われることはな」
「滅多にないですね」
「それが現実ですね」
「あらゆる思想でも宗教でも救えない輩もいますし」
「世の中どうしても人間では救えない輩もいる」
 現実として、というのだ。
「実際な、しかしな」
「神ならどうか」
「人間では無理でも」
「そうなりますね」
「伯爵様はそう言われますね」
「そうだ、神は別だ」
 人間では無理でもというのだ。
「それはな、神次第のこともある」
「世の中には」
「人の力を超えたものもある」
「それは事実ですね」
「所詮人間とも言われますが」
「その言葉は嘘ではないですね」
「そうだ、人間は幾ら努力してもだ」
 それでもというのだ。
「限度がある、人間だけの力ではだ」
「限度があり」
「それで、ですね」
「人間では救えない輩でも」
「神ならどうか」
「そうなりますね」
「私は無神論者は軽蔑している」
 カミュは彼等については冷めた目で述べた。
「神がいない世界は何だ、この世界は科学で全て説明がつくのか」
「それは無理ですね」
「科学だけではです」
「この世は説明しきれません」
「今の科学でも」
「それでもですね」
「今の科学なぞ知れている」
 そう言える程度のものだというだ。
「学問は進歩し続けるものだ、科学も然りだ」
「これからもですね」
「進歩し続けるもので」
「その途中であるものを全て語れるか」
「無理なことですね」
「今の科学技術で未来を描いた作品の科学技術を考証してもだ」
 それでもというのだ。
「滑稽でしかないな」
「その時代の科学技術でないと語れないですね」
「そのことはそうですね」
「どうしても」
「二十世紀の人間が二十二世紀の猫型ロボットの技術を自分の本で得意になって有り得ないと書いたそうだが」
 柳田某という人物のことである。 
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