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神々の塔

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第五十五話 食事その十

「あまりな」
「おらんか」
「そうやろな」
「純粋な弥生系も純粋な縄文系もおらんか」
 トウェインも言ってきた。
「起きた世界やと」
「おそらくな、日本人って昔から混血に抵抗なくてな」
 芥川はトウェインにも話した。
「聖徳太子さんもな」
「あの人のお母さん渡来人やったな」
「秦氏もおったしな」 
 秦の始皇帝の末裔と称していたが実は朝鮮半島から来た人達だったという。
「中国からもペルシャからもな」
「来てたか」
「それで鬼がな」
「前に話した通りにやな」
「ペルシャから来た人を間違えてな」
「鬼と言うたな」
「そやった、バケモノみたいにや」
 体格が大きく目や髪の毛の色が違っていたからだ、人は同じ人でも外見が自分達と違うと人とみなさない場合があるのだ。
「思ったんや」
「そやったな、しかしそのペルシャの人も」
「まあ多分やが」
「日本人の中に入っていったんやな」
「山におったらな」
「山の民に入ったか」
「そやろな、この世界にも山の民おるしな」 
 種族は様々で日本の山中で暮らしているのだ。
「今は戸籍もあってな」
「定住してるな」
「それで次日本人になってるが」
「山にはおるな」
「そや、そして」
 そうしてというのだ。
「起きた世界ではペルシャの人もな」
「混血してたか」
「そやったろうな、まあ眠狂四郎さんはおらんかったな」
 柴田連三郎の代表作の主人公である、時代劇でも赤毛となっているがこれは彼の父親がイタリア人の宣教師だからである。
「多分な」
「あのニヒルな剣豪さんか」
 トウェインもそれはと言った。
「そういえば赤毛やな」
「ちゃんとそうなってるな」
「時代劇でもな」
「ああした人はおらんかったと思うけどな」
「それでも日本人は混血していてか」
「弥生人の血が強く出たらな」
 そうであるならというのだ。
「お酒に弱くなるわ」
「そうやねんな」
「そういうことね、しかしね」
 アレンカールは綾乃を見て言った。
「綾乃ちゃんは弥生系と思えるけど」
「外見見たらそうやな」
 中里が応えた。
「綾乃ちゃん弥生系の血が濃いな」
「そうよね、しかし」
 それでもというのだ。
「お酒無茶苦茶強いわね」
「桁外れにな」
「そこは縄文系なのね」
「そうなるな、ちなみに織田信長さんはほんま下戸で」
 彼はというのだ。
「一口飲んでな」
「酔い潰れてたのね」
「大酒のみで酒乱に描かれることが多いけれどな」
 創作ではというのだ。
「何度か話してる通りな」
「実際はお酒が駄目だったのね」
「甘いもん好きでしかも優しくてな」
「色々気遣いが出来ていて」
「しかも最低限の血しか求めんかった」
「そうした人だったのよね」
「それで善政敷いてたしな」
 そうでもあってというのだ。 
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