ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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129話 絶品バーガーを食べに行こう!まさかの出会いに遭遇します!?
前書き
メリアが店を開いた理由はオリジナルなのでお願いします。
side:小猫
二学期が始まって体育祭も近づく中、夕食中にイッセー先輩がある話をいいました。
「えっ、ハンバーガーを食べに危険地帯に?」
「ああ、美味いハンバーガーを出してくれるバーがあるんだ」
私の言葉にイッセー先輩はそう言って笑みを浮かべました。
「なんで危険地帯にお店があるの?」
「その店が他人に知られたくないことを話し合ったり取引を使う場として使われているからだ。だから危険地帯にある」
「ええ……そんな場所に行って大丈夫なの?」
「今更だろう?俺達がどれだけ危険な場所に行ってると思ってるんだ?」
「そりゃそうだけど……」
リアス部長の言葉にイッセー先輩は今更?……と言いたそうな顔でそう呟くと部長はバツが悪そうにします。
イッセー先輩とリアス部長は前にルネアスさんの試練を共に突破したからか前より仲良くなっていました。さん付けは変わりませんがため口になってます。
「祐斗くん、あ~ん」
「あーん……ふふっ、美味しいです」
「今度はウチにあーんして、祐斗くん♡」
「はいどうぞ、あーん」
「あーん♡」
祐斗先輩がティナさんとリンさんとイチャついています。夏休みが終わってこの二人もD×Dのイッセー先輩の家に住むようになりました。
3人共滅茶苦茶ラブラブで基本的に一緒に行動していますしよく物陰で抱き合ったりキスしています。
あの祐斗先輩がこんなにも青春を謳歌してると思うと眷属として、そして家族として嬉しくなりますね。
まあそれはそれとして私達もイッセー先輩ともーっとラブラブするようになったのでリアス部長とギャー君がげんなりしていました。
因みにアザゼル先生はこの家の近くに新しく建設された高級マンションに住んでいます。流石に一緒に暮らそうとはしませんでしたね。
「にゃあ、イッセー私もあーんしてあげるね♡」
「おうっ、頼むぜ」
「んっ……♡」
「待て、なんで口に含んで……んんっ!?」
「えへへ、口移しだよ♡」
結界が張られているので安心してこの家にいられる姉さまはイッセー先輩の隣で口移しをしていました。
「ずるいですわ、黒歌さん。わたくしも……んっ♡」
「あ、朱乃。ちょっとまって……んんっ!?」
同じくイッセー先輩の隣に座っていた朱乃先輩が口移しをしていました。基本的にイッセー先輩の隣はローテーションになっていて今日は姉さまと朱乃先輩ですね。
「はぁ……祐斗達もあんなことしだしちゃうし私とギャスパーだけ別室で食べさせてもらいたいわ……」
「あはは……」
それを見ていたリアス部長は溜息を吐いてギャー君が愛想笑いをしていました。
ごめんなさい、部長。でも止められないんです、私達悪魔ですので欲望を抑えられないんです♡
そんなわけで私達は美味しいハンバーガーを出してくれる店に向かう事になりました。
―――――――――
――――――
―――
そして次の日、放課後になってG×Gに来た私達はそのお店を目指して危険地帯を進んでいました。
「イッセーとデート♪ラッブラブデート♪にゃははのは~♪」
「姉さま、ご機嫌ですね」
「そりゃそうだよ。じゃんけんに勝ってイッセーの隣をゲットできたからね~。白音だってべったりじゃない」
「そりゃそうですよ、大好きな先輩ですので」
「あはは、幸せだな!」
私と姉さまはイッセー先輩の両腕に抱き着いて歩いています。私達にとってこの程度の危険地帯は散歩道と変わらないのでこうして余裕をもってデートも出来ちゃうんですよ。
イッセー先輩は嬉しそうに笑って私達の肩を抱いて引き寄せました。あん、幸せです♡
「うう、あの時パーを出しておけば……」
「あれだけ師匠とイチャコラしてるのにまだ足りないんですか?もう少し節操を覚えた方が良いですよ」
「ルフェイ、正論は止めてあげなさい。気持ちは分かるけど」
「はーい」
落ち込むイリナさんとそれに同調するイッセーラバーズにルフェイさんが正論で突っ込むと皆落ち込んでしまいました。
そしてリアス部長が頷きつつちょっと抑えてと声をかけます。
「まあ確かにここ最近僕達ハメを外しているしちょっとは自重した方が良いのかもしれないね」
「確かにな、少しはしっかりとした方がよさそうだ」
「じゃあお前ら両方の腕に女抱き着かせてないで離れろよ」
『……』
「いやスルーするなぁ!』
自身をスルーする二人にアザゼル先生はツッコミを入れました。
祐斗先輩もティナさんとリンさんとべったりしてるので説得力がありませんね。まあ私は離れませんけど。
「まったく……あら?」
部長が何かを見つけたようで物陰に視線を向けます。するとそこから牛と鳥をミックスしたような猛獣が現れました。
「あいつは『オックスチキン』か、捕獲レベル49の鳥獣類だ。丁度いい、あいつの肉はハンバーガーに合うからな。捕獲していくか」
「なら私がやらせてもらうわね。たまには力を発散しないと気分が良くないのよね」
「分かった、リアスさんに任せるよ」
そう言ってリアス部長が前に出てSDモードを発動させました。
「さあ、来なさい」
「ブモォォォォォッ!!」
部長は籠手を装備してオックスチキンを挑発します。するとオックスチキンは雄たけびを上げて部長に向かっていきます。
部長はオックスチキンの突進を籠手でいなしました、そして右手の指先に魔力を溜めていきます。何度も突っ込んでいくオックスチキンですが部長はそれらを完璧にいなし続けていきます。
「リアスちゃん、まるで闘牛士みたいだし」
「髪が赤いから旗みたいね」
「因みに牛は色を見る能力が弱いから実際はモノクロでしか見えていないらしい、だから赤い物に興奮していないみたいだぞ。どちらかというと動くモノに反応するらしい」
「じゃあリアスの長い髪が揺れているのを見て興奮しているのかもしれませんわね」
「いや、案外揺れてるおっぱいに反応してるんじゃない?」
「バルンバルンしてますからね」
リンさんが部長を闘牛士みたいだと言いティナさんは部長の長い髪が赤いから旗みたいだと話します。
イッセー先輩は牛は色を見れないと言い動く物体に興奮してるというと朱乃先輩が色ではなく長い髪の揺れに反応しているんじゃないかと推測しました。
すると姉さまが髪ではなく部長の大きな胸に反応しているんじゃないかと言ってルフェイさんも同意しました。
「そっちで好き勝手に失礼なこと言わないで頂戴!……もう、とっとと決めるわよ!」
「ブモォォォッ!」
指先の魔力が十分に溜まったのか部長は攻撃をいなすのを止めてオックスチキンの突進を片手で受け止めました。
「はあっ!」
「ブモッ!?」
そのまま膝蹴りをオックスチキンの顎に放ち奴を空中に浮かせます。
「トドメよ!『魔貫光殺砲』!!」
そして指先から放った赤い光線がオックスチキンの心臓を貫きました。
「ふう、いっちょ上がりね。貴方の命はありがたくいただくわね」
「お疲れさん、リアスさん」
部長が手を合わせて合掌してイッセー先輩が労いの言葉をかけます。
「けっこうSDモードを使いこなせるようになってきたな、日常生活でも使って力を慣らしている効果が早くも出てきてきたんじゃないか?」
「そうね、実際に戦いで使うよりも日常生活で使いこなす方が大変なのよね、うっかりしたら机とか壊しちゃいそうだし」
「なるほど、良いトレーニングだな……」
そんな会話をしながら無事にオックスチキンを捕獲した私達は更に危険地帯を進んでいきます。すると目の前に真っ黒な湖が見えました。
「見えたぞ、ここが目的地のバーがある『黒の湖』だ」
「わぁー……真っ黒な水だね~、まるで炭みたい」
「この湖の水は青色の強い火山岩や赤土、あと黄砂などが大量に溶け込んでいるんだ。それが混ざって黒く見えるって訳だ」
「へぇ、そうなんだ」
イリナさんは黒い湖を不思議そうに見てイッセー先輩が黒い理由を話します。
「あそこの大きな蓮の葉の上にあるのが目的のバー、名前は『メリア』だ」
「メリア!?まさかあそこってランキング91位のメリアさんが経営してるお店ですか!?」
「流石小猫ちゃん、よく知ってるな。そのメリアだ」
先輩の出したメリアという名前を聞いて私はテンションが上がってしまいました!だってランキング100位内の人物に会えるんですよ!サイン書いてもらわないと……!
「早く!早く行きましょう!」
「あっ、おい小猫ちゃん!この湖には猛獣が……」
私は悪魔の羽を出してお店に向かいました。すると水中から海坊主みたいな猛獣が出て来て私に襲い掛かりました。
「邪魔です!」
私はその猛獣をぶん殴って吹っ飛ばしました。メリアさんに会うのを邪魔しないでください!
「……本当に料理人が絡むと小猫ちゃんって人が変わるよな」
「ふふっ、白音らしいね。さあ、私達も行こう」
私は一番に店に入りました。
『イラッシャイ……アラ?オ嬢サン一人カシラ?』
「わああ……!貴方がメリアさんですか!私小猫と言います!サインください!」
『ファンノ子ダッタノ?ソノクライオ安イ御用ヨ』
私はメリアさんにサインを書いてもらいました!やったぁ……!
「小猫ちゃん、飛ばしすぎだっての……よおメリア、久しぶりだな」
『イッセージャナイ、貴方ノオ友達ダッタノネ』
すると先輩達も来ました。イッセー先輩はメリアさんと知り合いだったようで挨拶をかわしています。
「皆、彼女がメリアだ。メリア、この子達は俺の仲間だ。今日はハンバーガーを食べに来たんだ」
『初メマシテ、私ハメリア。コノBarヲ経営シテル亭主デス。イッセーハハンバーガーヲ食ベニ来テクレル常連サンナノ。貴方達モ楽シンデイッテネ』
「はい、是非お願いします」
メリアさんに代表してあいさつをしたリアス部長、私達はその後メリアさんにオックスチキンの肉を渡してハンバーガーを注文しました。
「ねえイッセー君、メリアさんのあの姿ってもしかして……」
「ああ、GTロボだ」
祐斗先輩の質問にイッセー先輩がGTロボだと答えました。
「この辺りは危険地帯だからな、生身では危険だ。だから彼女はGTロボで店を経営している」
「私達にとってGTロボって美食會の奴しか関わっていないからあまり良い印象が無かったけど、本来はああいう使い方が正しいのよね」
「ああ、そうだ。美食會が悪用してるだけで実際は素晴らしい技術なんだ」
イッセー先輩がこの辺りは危険地帯だからGTロボを使ってると話すとリアス部長はああいった使い方こそがGTロボの正しい姿だと言い先輩も頷きました。
『オ待チドウサマ、ハンバーガーヨ』
「おお、待っていました!」
するとメリアさんがハンバーガーを持ってきてくれました。様々な種類のハンバーガーに舌が喜びで踊ってしまいそうです。
「それじゃ皆、全ての食材に感謝を込めて……」
『いただきます!』
そして私達はそれぞれハンバーガーを取ってかぶりつきました。私はシンプルな肉、野菜、パンズのハンバーガーを食べてみます……ッ!?
「美味しい!肉の旨味と脂がパンズに染み込んでいてしっとりしてふわふわのパンの触感にマッチしています!そこにトマトやレタスの瑞々しいフレッシュな味わいが口を洗い流して二口目も夢中になってしまう……最高のハンバーガーです!」
前にイッセー先輩が作ってくれたデビルオロチのイッセーバーガーも美味しかったですが、このハンバーガーも最高です!
「このたっぷりのミネラルチーズに二重のハンバーガーの肉汁が相まってたまんねぇな!」
「んっ♡この照り焼き、濃厚な甘いタレがハンバによく絡んで美味しいですぅ♡」
イッセー先輩とアーシアさんも夢中でハンバーガーを食べていますね。
「美味い!このベーコンを挟んだバーガーは最高だな!肉厚な触感を二つも楽しめるぞ!」
「このセットについてきたポテトも最高ね!ホクホクしていて甘い芋に良い感じの塩気が合わさって美味しいわ!」
『コノポテトハ『ポテネズミ』ノフライドポテトヨ。今シーズンハネズミノストレスガ少ナカッタカラ良イポテトガ取レタノ』
ゼノヴィアさんは肉厚なベーコンとハンバーガーが挟まったハンバーガーに齧りつき満足げに頷いています。
イリナさんはセットで付いてきたポテトに感動していてメリアさんがポテネズミを見せてくれました。
このネズミは背中にポテトを生やしていてそれが絶品のフライドポテトになるのですが非常にストレスに弱いので無理に抜くと味が劣化してしまうんです。なので自然に抜け落ちるのを待つのが良いのですがその間も上手く管理しないといけません。
こんな美味しいポテトが取れるなんて流石はメリアさんですね。
『ドウカシラ?オ味ノ方ハ?』
「最高です!こんな美味しいハンバーガーを作れるなんてメリアさんは素敵な人ですよ!」
『フフッアリガトウ』
私は興奮気味にメリアさんにそう言いました。
「あのメリアさん、どうしてこんな危険地帯にお店を開いたんですか?」
「確かにそうね、こんな美味しいハンバーガーがあるなら都内の方がもっとハヤると思うのに……」
リアス部長とティナさんがメリアさんにそんな質問をしました。
メリアさんは初めて危険地帯に飲食店を開いた人なのですが理由は私も知りません。イッセー先輩はここが秘密の話し合いにも使われると言ってたのですが、それだけでこんな場所に態々お店を開くものなのでしょうか?
だって話し合いが目的の店なら食事に力を入れる必要はないじゃないですか、でもメリアさんの作る料理は食べた人に美味しいと思ってほしいという心を感じました。
だからこそ私は気になります。
『ソウネ、私ハ美食屋ノ人達ニモ美味シイ食事ヲシテホシイト思ッタカラコウイッタ場所ニオ店ヲ開イタノ』
「美食屋の人たちに?」
『エエソウヨ。美食屋ッテ意外ト下ニ見ラレル職業ナノヨ、華ノアル料理人ト違ッテ肉体労働ガメインダシ中ニハ美食屋ナンテイナクテモ料理人サエイレバイイト言ウ人モイルノ」
「酷いですね……美食屋の人たちがいるから食材が運ばれて料理人が調理できるのに……」
『私モソウ思ウワ』
メリアさんの話を聞いて私は何だか悲しくなってしまいます。美食屋の人たちがいるから食材が届けられるのにそれを軽視するなんて間違っていますよ。
そもそもどんな仕事にも意味があるんです、職業で人を差別するなんて最低です。
そういう事を簡単に言う人達は人の苦労も知らないで口だけが達者のろくでなしに違いありません。何度も危険な思いをして食材をゲットしてきた私達からすれば到底許せませんね。
『私ハ美食屋ノ人達ニ感謝ノ気持チモ込メテ店ヲ危険地帯ニ開イタノ。何処デモ美味シイ食事ヲ楽シンデホシイカラ』
「メリアさんは素晴らしい人ですわ、利益よりも人の為にお店を開けるなんて……尊敬しますわ」
朱乃先輩の言葉に全員が頷きました。食材に感謝するのも当然ですが誰かに感謝する気持ちも忘れないでおきたいですね。
その後は他のメニューも色々注文して食事を楽しみました。アザゼル先生はお酒ばかり飲んでいたので部長に怒られていましたが。
「そういえばイッセー、どうしてこのタイミングで私達を誘ったの?体育祭も近いからそれが終わった後に打ち上げで来てもよかったのに」
「ん?ああ、そうだな……確かにそのタイミングで誘っても良かったんだが皆と少し話もしたかったからな」
「話ですか?」
リアス部長の質問にイッセー先輩は話がしたかったと答え、私は首を傾げました。
「俺達はGODを目指してグルメ界に入るための修行をしてきたが、少しだけペースを落とそうと思うんだ」
「ええっ!?」
「あっ、勘違いしないでくれ。GODのゲットを諦めたわけじゃない、ただ修行を焦ってやるのも違うんじゃないかって思ったんだよ」
驚く私達にイッセー先輩が慌てて訂正をしました。
「前のグルメピラミッドの旅、あの旅で俺達はゼブラ兄に随分と助けられた。アーシアと小猫ちゃんに至っては命の恩人だ。悔しいけどゼブラ兄がいなかったらここにいるメンバーの誰かは絶対に死んでいた」
「それは……」
「俺は焦り過ぎていた……GODをゲットして世界を救う事も大事だけどまずは目の前の仲間を助けれる位には強くならないとなって思ったんだ。それに皆と美味い飯を食ったりもしたいからな」
イッセー先輩の言葉に私達は確かにと思いました。強くなることも大事ですが一番大切な食を楽しむ事を忘れたら意味は無いですよね。
「だから今日は色々リストを持ってきたんだ、この中から気になるモノを皆で選んでいこうか」
「そういうことなら大賛成よ」
リアス部長の言葉に全員が頷きました。そして皆でどの食材を食べに行くか選んでいきます。
「ははっ、なんか盛り上がってるねぃ。楽しそうだけどグルメ学校の学生さんかい?こんな危険地帯まで来るとは物好きな子達だ」
「えっ?」
急に誰かに声をかけられたので振り返ってみると窓際の席にいた黒髪の男性がこちらを見ていました。隣には銀髪の男性が座っていて何かを黙々と食べていました。
「もしかして五月蠅かったですか?すみません」
「いやいや、そんなことないから気にしないでって。俺っちは相棒と一緒にハンバーガーを食いに来てたんだけどさ、なんか楽しそうにしてたからつい気になって声をかけちゃったって訳よ」
「ああ、そういうことですか。ここのハンバーガーは美味しいですよね」
「めっちゃ美味いよな。なのに相棒はハンバーガーを食わないでラーメン食ってんだぜ?どう思うよ」
「ラーメンが好きなんですか?」
「……」
「すまねぇ、相棒はラーメン食い出すと完食するまで一言もしゃべらないんだ。気を悪くしたなら俺っちが代わりに謝るぜ」
「いえいえ、見ていて気持ちのいい食べっぷりですね」
黒髪の男性とイッセー先輩が楽しそうに談笑しています。先輩は話の流れで銀髪の男性に声をかけましたが男性はラーメンを食べていて反応しませんでした。
ごくり……私もなんだかラーメンが食べたくなってきましたね。
「お兄さんたちは休日なんですか?」
「まぁね、俺っち達久しぶりに休みを取れたんだ」
「どんなお仕事をしているんですか?」
「飲食系の仕事をしてるんだけどもう大変なんよ。上司が食材を山のように持って来いって命令されてさ。持ってっても上が直ぐに食っちまうからうんざりだぜぃ」
「大変なんですね……」
社会人って自由が無いんですね、学生の内に出来ることはしておきたいです。
私は将来的にはイッセー先輩のお嫁さんになりますが飲食店を開いてみたいとも思っています。イッセー先輩に食材を調達してもらって私が作る……ふふっ、良いですね。
「……」
すると男性がラーメンのスープを一気に飲み始めました。体に悪いとは分かっていてもついつい飲んでしまうんですよね、ラーメンのスープって。
スープを飲み終えた銀髪の男性は器を置いて一息つきました。良い食べっぷりですね。
「ふぅ……」
ううっ、とても美味しそうに完食しましたね……ラーメンが食べたくて仕方なくなります。
「先輩、私達もラーメンが食べたくなりませんか……って先輩?」
私はイッセー先輩の方に視線を向けてラーメンを食べないかと話題を振りました、でも先輩は何故かこの場では絶対にしないような表情を浮かべていたんです。
「……」
目を見開き脂汗を流し最大級の警戒をしています、まるで天敵を前にした動物のようでした。
「イッセー先輩、一体どう……」
「アーシア!?どうしたんだ!?」
「リンさん!?大丈夫ですか!?」
私は何事かと思い先輩に声をかけようとしましたがゼノヴィアさんと祐斗先輩の叫び声を聴いてそちらに視線を向けました。
すると床に座り込むアーシアさんとリンさんが目に映りました。二人とも呼吸が荒くなり顔は真っ青になっていました、リンさんは何故かお腹を押さえています。
「イッセー、何が起こった!?そいつはなんなんだ!?」
アザゼル先生が状況を把握しようとイッセー先輩にそう言いますが、先輩はそれに答えずに立ち上がり銀髪の男性のほうに歩いていきます。
「まさかこんな所で会うなんて思っていなかった。情報を得たのか?俺達がここに来ると……」
「いや、まったくの偶然だ。俺も最初は驚いた」
銀髪の男性はこちらに振り返りました。その顔はまるで精巧な人形のように美しくまさに美男子という言葉が似合う青年です。
ただそれ以上に目立つのが顔にある大きな痣でした。頭から頬、そして首に火傷のような痣があるんです。
「今日は相棒と一緒に飯を食いに来ただけさ、好物のラーメンがあったので頼んでみたが美味かったよ」
「意外だな、ラーメンが好物なのか?」
「まあな。ラーメンは良い、様々な具材から出された旨味の出たスープに程よく絡みつく麺……触感や色どりの具材と共に口の中で描かれる複雑な味はまさに神業と言うべきものだ」
その男性はラーメンが好きなようでベタ褒めしていました。
「だがこんな美味い料理でも俺の求める食材ではない。この体が……本能が欲している食材は未だ見つからない」
「GODの事か?」
「さあな、食べてみればわかるかもしれんが……」
普通に会話をしていますが先輩の放つ殺気は更に強くなっています。でもそれを受けても銀髪の男性は平然としているんです、只者ではありません……!!
「あ、あの人は……リーガルマンモスのお腹の中で出会ったGTロボの声の人です……ッ!!」
「えっ、それって……」
呼吸を少し整えたアーシアさんが言った言葉に私は銀髪の男性の正体に気が付きました。
「美食會副料理長、ヴァーリ……!」
私の言葉に全員が目を見開いて驚きました。まさかこんなところで会うなんて思ってもいなかったからです。
「えっ、本当なの!?」
「ええ、間違いないです……あの声を忘れる訳がありません……!」
「ウチも忘れないし。危うく死にかけたんだから……!」
「この男がリンさんを……!」
リアス部長の問いにアーシアさんとリンさんが震えながら頷きました。祐斗先輩はリンさんを殺しかけたヴァーリに怒りの視線を向けます。
「お前の事は覚えているぞ、アーシア・アルジェント。俺の殺気を真面に受けながらも睨み返してきたその心の強さは称賛に値する」
「えっ……あ、ありがとうございます……」
まさか褒められるとは思っていなかったのかアーシアさんが戸惑いの表情を浮かべました。
「そして俺が魅了された包丁の持ち主がお前か、塔城小猫。良い包丁だった、そしてこうして実際に会ってみて確信したよ。あの包丁に相応しい主だとな。あの包丁は今も使っているのか?」
「あいにくあの包丁は折れてしまいました。その魂はこの子が引き継ぎましたが……」
「ほう、新しい包丁を得たのか……ふむ、デロウスの牙を素材にした包丁か。今はまだそうじゃないが近い内にそれに見合う料理人になるだろう」
私の事も褒めてきました。私の評価が意外と評価が高くて驚きです。
「随分と小猫ちゃんを褒めてくれるな。まあ当然だが」
「お前を含めて俺が一番気にしているコンビだからな。美食會の料理長などはランキング上位ばかりを狙うように言っているが俺としてはお前の料理をぜひ三虎様に食してほしいと思っている」
「えっ……」
「渡すわけねぇだろうが。白音は俺のコンビで最愛の人だ!」
私を庇って前に出るイッセー先輩、興奮してるのか白音と呼んでいました。もう既に戦闘態勢に入れる状態でいつでも禁手で斬るでしょう。
しかしその瞬間イッセー先輩を軽く凌駕する殺気が私達を襲いました。
「コイツ……!?」
「ヤバイね……!」
アザゼル先生と姉さまは既に武器を出していましたが私達は反応できませんでした。
「遅いな、戦闘態勢になるまで0.8秒はかかっている。俺はお前を14回は殺せたという事だ。そちら側にいる堕天使総督と節乃の弟子は流石に早いな、これも経験の差か」
「ぐっ……!」
冷たい眼差しでそう言うヴァーリにイッセー先輩は何も言い返せませんでした。だってイッセー先輩も含めたこのメンバーの大半を一瞬で殺せたんですよ、この男は。
それが分かっているから何も言い返せないんです。
「心配するな、イッセー。俺はお前と戦う気はない、本当に偶然なんだ。こんなところで楽しみを潰すなんてもったいないだろう?」
「……」
「フフッ、お前も感じているだろう?GODは遠くない未来に必ず現れる、その時に決着を付ければいい」
ヴァーリは殺気を消してそう言いました。今の私達では勝負にすらならない……恐ろしい男です!
「そうだ、イッセー。お前に紹介しておきたい人物がいるんだ?」
「誰をだ?そっちの男の事か?」
「おっ、俺っちに興味を持ってくれて嬉しいねぇ。ヴァーリばかりが注目されてて疎外感を感じてたんだよな」
イッセー先輩は黒髪の男性の方に視線を向けると彼は嬉しそうに笑いました。
「俺っちは美猴、かの闘戦勝仏の末裔でヴァーリの右腕の猿妖怪だ。よろしくな、赤龍帝」
「孫悟空の……そう、ヴァーリの仲間なのね」
「おりょ?かなりのビックネームのはずなんだけどリアクション薄いなぁ。まあジジイの名もG×Gじゃ小さくなっちまうかぁ」
「なんでその呼び名を貴方達が使ってるのよ」
「アーサーから聞いたんだよ。もしかしてお姉さんが名付け人?良いセンスしてるねぇ」
「貴方に褒められても嬉しくないわよ」
部長は嫌そうにそう言いました。美猴という男とはあまり相性が良くないのでしょうか?
「美猴、そのくらいにしておけ。アイツも出たがっていてウズウズしている」
「ありゃりゃ、珍しいねぇ。まあ宿敵を前にしたらそうもなるか」
「出ろ、アルビオン」
ヴァーリの言葉と共に背中に輝く羽根が出てきました。
「その翼は……まさかお前は!?」
「『白龍皇の光翼』……白龍皇なのか!?」
イッセー先輩とアザゼル先生が目を見開いて驚きました。白龍皇って赤龍帝の因縁の敵のはず……まさかヴァーリがその相手だなんて想像もしていませんでしたよ。
「お前はD×Dの人間だったのか……!」
「そうだ、俺も元はD×Dの人間だ。縁があってこの世界に来て今は三虎様の配下となった」
「お前が俺に対してやたら興味を持っているのは俺が赤龍帝だったからか?」
「多少は其れもあるだろう、だがお前も感じているはずだ。龍同士の因縁ではなく本能が互いを知りたがっている奇妙な縁を……」
「……」
「こうして対面して更にハッキリと自覚した。俺達は赤龍帝と白龍皇など関係なくこうして出会い戦う運命にあるとな……」
イッセー先輩とヴァーリは睨み合いました。二人の背後には赤い竜と赤い鬼、白い竜と一つ目の鬼人が浮かび上がります。
『久しぶりだな、ドライグ』
『そうだな、アルビオン。お前とこうして話すのは先代の赤龍帝と白龍皇が差し違えた時以来だ』
すると光翼から声が聞こえて先輩の籠手からもドライグの声が聞こえます。
『あれから随分と月日がたったものだ、お互いに今の生活を楽しんでいるみたいだな。お前の変わりようには内心驚いているぞ?こうして出会っても殺気を感じない』
『それはお互い様だろう、お前とこうして落ち着いた会話をしたこと自体が初めてだからな。宿主に釣られて丸くなったようだ』
『俺も最早互いの決着よりもヴァーリの行く末が気になるほどだ』
思ってたより二人の会話は和やかな物でした、話では出会ったら狂った獣のように殺し合っていたと聞いていたので何だか意外です。
『最早俺達自身は互いの決着に興味はないが当人同士は戦う気でいるようだ、これも俺達の気質が呼び込んだモノだろうか?』
『龍の因縁など関係ない。イッセーが戦うというのなら俺も戦うまでだ』
『面白い戦いになりそうだな』
『同感だ。だがイッセーが勝つさ、なにせ俺が認めた最高の赤龍帝なのだからな』
『その言葉、そっくりそのまま返しておこう。ヴァーリに勝てる者などいない』
二人は互いに自信を持ってそう言い切りました。
『ではな、アルビオン』
『また会おう、ドライグ』
二人はそう言って会話を終えました。
「アルビオンも久しい声が聞けて嬉しそうだ、会話が弾んでいたな」
「ドライグはそう変わってないがな……」
ヴァーリは意外そうに言いますがイッセー先輩はそんなに驚いていませんでした。ドライグは私達にアドバイスしてくれたり結構面倒見が良い場面も見てきましたからね。
「あの……」
「ん?」
するとリアス部長がいつの間にかヴァーリの側に来ていて声をかけました。そういえばヴァーリが白龍皇の光翼を出してからずっと黙っていましたね。
「貴方、私に覚えはないかしら?もしかすると貴方が私を助けてくれた人なのかもしれないの」
「リアスさん?」
「ずっと頭の中に刻まれていた、その美しい翼が……」
リアス部長はヴァーリにそう言いますが本人は首を傾げていました。
「俺は覚えがないな。アルビオン、お前は何か覚えはあるか?」
『確か昔冥界に行った際悪魔の集団と鉢合わせた事があった、その際に隅の方で縛られていたのがその女のはずだ。ドライグと同じ赤だったから覚えがあるぞ』
「ああ、あの時のか。言われてみればいたような気がするな」
「じゃあやっぱり貴方が……!」
部長はその言葉に涙を流してヴァーリに抱き着きました。私たちは突然の事で反応が出来ませんでした。
「会いたかった……会いたかったわ……!」
「美猴、この女は何をしているんだ?攻撃してきたわけではなさそうだが……」
「いやー、ヴァーリも隅に置けないねぇ。こりゃアイツが知ったら面白い事になりそうだ」
「何を言っている、美猴。ここは店の壁側だが隅ではないだろう」
流石に抱き着かれるとは思っていなかったヴァーリは部長の行動に首を傾げていました。美猴はニヤニヤしながら彼をからかいヴァーリは見当違いな事を言います。
「おい、離れろ。何がしたいんだ?」
「あっ、ごめんなさい……つい」
部長は顔を真っ赤にしながらヴァーリから離れました。
「リアスさん、まさかヴァーリが……!?」
「うん、間違いなく彼よ。魂がそう叫んでるわ」
イッセー先輩が恐る恐る確認するとリアス部長はぼーっとしながらヴァーリを見つめてそう言いました。
「リアス、本当ですの!?相手は美食會の幹部なのですよ!?」
「そうだよ!危険だよ!」
「離れろ、リアス!」
朱乃先輩やイリナさん、ゼノヴィアさんがそう叫びました。相手は美食會の幹部です、そりゃそう言いますよ。
「ごめんなさい、皆……頭では分かってるんだけど心が止められないの。例え敵でもこの想いは抑えられないの。もし貴方達がイッセーや祐斗と敵対してたら恋しなかった?」
「そんな事ないです!例え敵として出会っていたとしても私はイッセーさんに恋をしました!」
「ウチも絶対にそうなってたし……リアスちゃんは間違ってないよ!」
「皆……!」
最初は止めていた女性陣でしたがリアス部長の言葉にアーシアさんとリンさんが同意して恋をしてる女の子は全員リアス部長の味方になりました。
ああ言われたら止められません、誰かに恋したり愛するのは理屈や打算などではなく愛したから愛するのです。それが女の子です。
「イッセー君、この空気どうしようか……」
「俺だってどうすればいいか分からねえよ!なんだよ、宿命の敵と出会ったと思ったらそれがリアスさんの恋した奴なんて想像もつかねえよ!」
「お、落ち着いてください。イッセー先輩……気持ちは分かりますが」
「恋はハリケーンって奴だな。誰にも想像できるもんじゃねえのが恋ってもんよ」
「私も女の子なのでリアスさんの気持ちは理解できますよ。こればかりは天然の魔法みたいなものなので言葉じゃ説明できないですね」
祐斗先輩は戸惑いながらイッセー先輩にそう言うと先輩は頭を抱えてそう叫びました。完全に空気を持っていかれましたからね。
ギャー君は先輩をなだめてアザゼル先生は恋について語っています。ルフェイさんも恋は魔法と言って頷いていました。
「あ、あの……私!貴方に言いたいことがあるの!」
「なんだ?」
「わ、私……ずっと貴方にお礼が言いたかったの。助けてくれてありがとうって……」
「礼などいらん、俺のその意図は無かったんだからな」
「それでも言いたいの。本当にありがとう……」
「……そうか、まあそう言うなら受け取っておこう」
部長は顔を真っ赤にしながらお礼を言いました。ああ、イジらしくて可愛いです、部長……!
「そ、それでもし良かったら私とその、つ、つき……つきあ……!!」
「頑張ってください!部長!」
「つきあ……つっ!つきあっ……!!」
ですが部長は言い切る前に頭から湯気を出して止まってしまいました。部長……!!
「なんだったんだ、この女は……?」
ヴァーリは首を傾げながらイッセー先輩の方に視線を向けます。
「とにかくイッセー、俺達は何れ決着をつける事になるだろう。アカシアのフルコース、そしてGODをかけて勝負だ!」
「あ、ああ……望むところだ」
一人だけテンションを上げるヴァーリですが流石に先輩も付いていけずに低い声でそう言いました。
「ふっ、帰るぞ美猴」
「あいよー。そんじゃまた会おうぜ、赤龍帝。俺っちもお前の味見をしたいからな」
ヴァーリと美猴はそう言って支払いのカウンターに向かいます。
「亭主、これは店を壊した詫び代だ。修理に使ってくれ」
『ア、アリガトウ……』
闘気をぶつけあった際にお店にヒビが入ったのでヴァーリはメリアさんに修理代を払っていました。そして店を後にしました。
「……はぁ、メリア取り合えずラーメンを一杯くれ」
部長は倒れて朱乃先輩やアーシアさんに解放されています。空気も変な感じになった中、イッセー先輩は溜息を吐きながら注文しました。
こうして私達は美食會の幹部であるヴァーリ本体と出会う事になりました。この先どうなるのでしょうか?
後書き
俺の名はヴァーリ、美食會副料理長の一人だ。ふふっ、まさかこんなところでイッセー達に会えるとはな。次に会う時が楽しみだ。
俺は原作では人間と悪魔のハーフだがこの作品では人間だ。これがどんな影響を出すのか想像して次の登場を待っていてくれ。
とりあえず次回予告をしておこう。俺と出会った事で修行に力を入れるイッセー達だったがそこにアーシアにプロポーズをする悪魔が現れたようだ。
次回第130話『アーシアにプロポーズ!?ディオドラ・アスタロト登場!!』らしいぞ。
グルメ神社にはその後に向かうようだから楽しみにしているといい。
次回も美味しくいただきます……ふふっ良い言葉だ。
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