イベリス
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第百三十一話 吹っ切れてその二
「そうした性格にな」
「なる人もいますね」
「そうなる位ならな」
「気にしないことですね」
「そうだよ」
本当にというのだ。
「言われてもな、ただこの店元々嬢ちゃんの学校の子は今年はな」
「来ないんですね」
「嬢ちゃん以外はな」
そうだというのだ。
「来ないな」
「そうですか」
「ああ、嬢ちゃんの学校制服の種類多いよな」
「相当に」
「男子もそうでな」
「女の子になると」
「かなりだよな」
こう咲に言った。
「あるよな」
「はい」
「けれど俺あそこの制服全部知ってるんだよ」
「そうですか」
「家にたまたま嬢ちゃんの学校のパンフレットがあってな」
それでというのだ。
「それでな」
「制服のこともですか」
「知っててな」
それでというのだ。
「言うんだよ」
「そうですか」
「けれどどの制服の子もな」
「いなくて」
「男の子も女の子もな」
両方というのだ。
「そうでな」
「知られていないんですね」
「よかったと思うぜ」
「最初から言われないだけですね」
「それでこの話はもう吹っ切れただろ」
「はい」
実際にそうした顔で答えた。
「もう」
「なら尚更な」
「言われないですか」
「そうだよ」
咲に微笑んで話した。
「もうな」
「気にしていないならですか」
「言ってもそれならな」
「その後言われないですか」
「気にしているから言うんだよ」
マスターは話した。
「何でもな」
「相手がですね」
「意地の悪い奴だってな」
「そうですか」
「まあ言う奴は下らない奴でもな」
人間としての器が大したことはないというのだ、世の中こうした輩もいたりするものでそれこそ何処にでもいる。
「気にしていない相手にはな」
「言わないですか」
「一度行ってな」
それでというのだ。
「相手が気にしていないならな」
「言わないですか」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「嬢ちゃんには例えこの話を知ってもな」
「下らない人が一度言うだけですか」
「そうさ、それで今はな」
マスターはさらに話した。
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