仮面ライダーAP
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夜戦編 蒼き女豹と仮面の狙撃手 第4話
凶悪な人造巨大虫、フェイリアγ。その巣窟と化した要塞内部の倉庫に誘導された真凛は、かつてない窮地に陥っていた。
「……来た道から出るのは難しそうね」
真凛がこの倉庫に入る際に通った出入り口の辺りには、すでに無数の虫達が徘徊している。来た道を戻って逃げるのは難しいだろう。別のルートからこの倉庫を脱出しなければならない。
「……っ!?」
――そんな考えを巡らせる真凛の虚を突くように。彼女の背後から1匹のフェイリアγが飛び掛かって来た。その気配を悟った真凛は反射的に振り返り、拳銃を構えようとする。だが、フェイリアγの前脚の方が僅かに速かった。
「あうぅっ!?」
凶悪な巨大虫は4本の前脚で、真凛の身体を真正面から捕えて行く。予測を凌ぐ速さでくびれた腰と細い両腕を掴まれた真凛は瞠目し、そのまま為す術なく仰向けに組み敷かれてしまった。
「あんっ……!」
押し倒された弾みで、張りのある爆乳と爆尻がぶるんっと揺れる。背負っていたサラマンダーのカスタムパーツで背中を押し上げられていた彼女は、仰向けのまま優美な背中を仰け反らせ、豊満な乳房を自ら突き出すような格好になっていた。
(……っ! 不味い、こんな雑魚にこの私がっ……!)
不意を突かれた真凛は必死に身を捩って抵抗するが、フェイリアγの腕力は常人のそれを遥かに超えている。いくら失敗作と言えども、改造人間の実験体には違いない。
「んっ、んんっ……! 離しな、さいっ……!」
真凛がどれほど腰をくねらせ、乳房を左右にぶるんぶるんと揺らしてもがいても、彼女の腰と両腕を押さえ込んでいる虫の前脚はビクともしなかった。そして、ついに捕えた極上の獲物を味わおうとするかのように――フェイリアγはゆっくりと、針状の口を真凛の胸元に向ける。
「あ、ぁあぁっ……!」
これまで、あらゆる窮地を華麗に乗り切って来た真凛の表情にも――焦りと恐怖の感情が滲み出ていた。
そんな彼女を嘲笑うように、フェイリアγは勢いよく真凛の胸元を針で貫こうと、前脚を伸ばして身体を大きく浮き上がらせて行く。これでとどめを刺してやると、言わんばかりに。
「……!」
真凛の胸元目掛けて針状の口を突き入れるべく、大きく身体を浮かせて勢いを付けようとするフェイリアγ。しかしその「予備動作」が、彼にとっての「命取り」となっていた。見開かれていた真凛の双眸が、獲物を見付けた狩人のように鋭く細まって行く。
(脱出するには今しかない……!)
身体を浮かせたことによって、真凛と虫の身体の間に一瞬生まれた大きな隙間。そのスペースに折り曲げた膝を滑り込ませた真凛は、そこから一気に白い美脚をピンと伸ばし、フェイリアγの胴体に強烈な前蹴りを叩き込む。
「……退きなさいッ!」
その衝撃に乳房と桃尻がばるんと弾み、虫の身体が後方に転倒して行く。即座に立ち上がった真凛は怒りのままに拳銃を構え、怒涛の連射でフェイリアγを蜂の巣にしてしまうのだった。しかしその際の銃声で、今度は彼女を見失っていた他の虫達に気付かれた。
「……ああもう。こんな数、いちいち相手にしていられないわね……!」
自分を見付け、一気に押し寄せて来る虫の大群。その光景に冷や汗をかく真凛は弾切れとなった拳銃を投げ捨てながら、即座に踵を返してこの倉庫を後にして行く。フェイリアγの群れを避けなければならない以上、来た道を引き返すことは出来ない。
倉庫を通り抜けた先にある通路を目指し、真凛は必死に走る。細く引き締まった腰を左右にくねらせ、張りのある乳房と桃尻をばるんばるんと上下に揺らしながら、彼女は次の通路へと素早く踏み込んだ。
「……!」
――だが、そこにも斉藤の罠が仕掛けられていた。決して広いとは言えない一本道の通路。その両脇の壁からは、あらゆるものを容易く両断する熱線が照射されていたのである。蜘蛛の巣のように不規則に張り巡らされた熱線の網が、侵入者である真凛を細切れにしようと迫り始めていた。
「あらあら……派手なアトラクションね。いつからこの島はテーマパークになったのかしら?」
それでも、真凛が動じることはない。冷や汗をかきながらも、彼女は余裕の笑みを浮かべながら敢えて真っ直ぐ突き進み――軽やかに地を蹴って熱線の網に飛び込むと、紙一重で潜り抜けて行く。
その流麗な身のこなしは芸術的ですらあり、さながら新体操の演技のようであった。サラマンダーのパーツを袈裟懸けの負い紐で背負っている状態でありながら、彼女の身体は熱線に掠りもしていない。
「……! 速いッ……!」
やがて――最後の罠である横一文字の熱線が、超高速で迫って来る。並の侵入者なら、反応することすら叶わず首を切り落とされているところだが、これしきの罠に敗れる真凛ではない。ノバシェード対策室最強と謳われた彼女の身体能力は、伊達ではないのだ。
「……はぁあッ!」
ベリーロールの要領で熱線を飛び越えて行く彼女は、芳しい足の爪先をピンと伸ばすと、優美な背中を弓なりに仰け反らせ、爆乳と爆尻をぶるんっと淫らに弾ませている。最後の熱線も華麗にかわした真凛は、空中で回転しながら軽やかに着地すると、そのまま滑り込むように罠のエリアを突破してしまうのだった。
だが、彼女を追い掛けているフェイリアγの大群には、熱線をかわせるだけの能力も知性も無い。考え無しに網に向かって飛び込んで行った虫の群れは、そのまま熱線の刃によって細切れにされ、瞬く間に「全滅」してしまうのだった。
「……サイコロステーキの出来上がり。良かったわね、アイアンザック中将。もう『世話』は必要なさそうよ」
肩越しに彼らの最期を見届けた真凛は、皮肉混じりに呟くと――そのまま通路の奥へと進んで行く。やがて辿り着いたのは、要塞の外。マス・ライダー軽装型の強化服を纏うヘレンが、この島の兵士達と激戦を繰り広げていたエリアだ。
(……さすがは私が見込んだ子達だわ。良い仕事振りね)
遥か遠方では、要塞内部に退却して行くアイアンザックと、その後を追うオルバスの様子が窺える。オルバスの後ろには、片膝を着いて息を荒げているヘレンの姿も見えた。
「さぁて……逃がさねぇぞ爺さんッ! 待ちやがれッ!」
「……」
エンジンブレードを手に、真正面から要塞内部へと乗り込んで行くオルバス。そんな彼やヘレンの様子を、真凛は遠方から静かに見つめていた。
青いチャイナドレスのスリットによって露わにされた白い美脚が、月光に照らされ淫靡な輝きを放っている。凹凸の激しいその肉体からは、芳醇な女のフェロモンが隅々から滲み出ていた。
ウェーブが掛かった黒のロングヘアは夜風に靡き、フレグランスな甘い香りを周囲に振り撒いている。ドレスを押し上げる釣鐘型の豊満な爆乳と、くびれた腰つきに反した特大の爆尻も、極上の色香にさらなる彩りを添えていた。汗ばんだその白い柔肌からは、絶えず芳醇な雌の匂いが滲み出ている。
尻肉にきつく食い込んだTバックのパンティも、ドレスの上からでも分かるほどに彼女のヒップラインを浮き立たせていた。妊娠・出産に最適な、広い骨盤。その骨格によって成り立っている彼女の白い爆尻は、子を産むことに適した極上の女体であることを、これでもかと主張している。
「……ふふっ」
月明かりの下で妖しく微笑む真凛。彼女はぴっちりと肢体に張り付いたチャイナドレスを翻し、この場から静かに立ち去ろうとしていた。その途中、彼女は懐から一つの通信機を取り出し、耳元に寄せる。そこから聞こえて来たのは、新世代ライダー達の緊迫したやり取りだった。
『ノバシェードの狙撃か……! しかも、G-verⅥの装甲を一撃で貫通するほどの威力! どうやら彼ら、かなり強力な弾丸を使っているようだね……!』
『う、うぅっ……! あっ、はぁうっ……!』
『水見鳥! すぐ助けにっ……おい、離せ森里ッ!』
『……阿呆、それが奴の狙いだと分からんのか。敢えて急所を外して救助の見込みがあると思わせ、お前のような単細胞を釣り出して始末する。ノバシェードの狙撃兵がよく使う手だ』
「G-verⅥが被弾……か。向こうも大変ね」
ターボ達のマスクに内蔵された通信機能。そのシステムを介した会話内容を傍受していた真凛は、スゥッと鋭く目を細めている。どうやらターボ達は、ホークアイザーにかなり苦戦しているらしい。
(……G-verⅥが初撃で行動不能にされた以上、残るメンバーでこの状況を打破するにはタキオンの超加速能力に頼るしかない。けれど……敵の正確な位置を掴めていないまま闇雲に加速しても、無駄な消耗で終わる可能性がある。負傷者は恐らく、彼女1人では済まないわね)
通信機越しに聞こえて来る、切迫した雰囲気の会話。その内容に聞き耳を立てる真凛は、この後に起きるタキオンの負傷まで「予測」していた。
一通り傍受を終えた彼女は通信機の無線周波数を操作しながら、豊満な爆尻を左右に振って再び歩き出して行く。とある「組織」に通信を飛ばした彼女は、爆乳と爆尻を淫らに揺らしつつ、優雅な足取りで歩み続けていた。
「……特殊救命部隊、聞こえるかしら? 喜びなさい、とびっきりの緊急事態よ」
世界を股に掛ける特殊救命部隊。その指令室と通話している真凛は、引き締まった細い腰を左右にくねらせ、豊穣な乳房と安産型の桃尻をたぷんたぷんと上下に弾ませながら。踵を返して遠方のヘレンに背を向け、そのまま闇の向こうに消えて行く。その白く優美な手で、サラマンダーのカスタムパーツを握り締めたまま――。
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