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仮面ライダーBLACK RX〜ネオゴルゴムの陰謀〜

作者:紡ぐ風
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最終回『LONG LONG AGO 20TH CENTURY』

 シャドームーンのキングストーンの残骸から発生した光を追ってRXはアクロバッターを走らせる。町中を離れ、森林を抜けた先に西洋風の神殿が見えてくる。光は、その神殿へ吸い寄せられるように入っていく。
 「あれは、ネオゴルゴムの神殿か?」
 光を追いかけるためにRXも神殿へと突入し、アクロバッターから降りる。光はRXがバイクから降りたことを感知したのか、移動する速度を徒歩に合わせる。
 「内部はゴルゴム神殿と同じ作りになっている…」
 RXはかつての激戦を思い返しながら歩みを進めてゆく。光は破壊されたリシュナルの研究室を通る。床にはリシュナルが調べていたであろう研究資料が散乱していた。その中でRXは気になる書類をいくつか見つける。
 「これは、ゲドンの獣人改造に人造ネイティブの研究資料。ネオゴルゴムの怪人は、この資料を参考にしていたのか…」
 RXは資料を投げ捨てて光を追う。光は奥へ、更に地下へ向かって進んでいき、やがて行き止まりとなる巨大な空間で立ち止まった。
 「この場所に、一体何があるんだ…」
 RXが辺りを見渡していると、
 “よく来たな、南光太郎。いや、仮面ライダーBLACK RXよ!”
 何者かがRXの脳内に直接語りかける。
 「この声、まさか!」
 RXが振り向くと、そこには巨大な心臓だけの怪物、RXがかつて仮面ライダーBLACKとして戦っていた時に倒したはずの創世王がいたのだ。
 「創世王!何故お前がここにいる!」
 “言ったはずだ!この世に悪がある限り、私は必ず蘇ると。さあRXよ、今度こそ創世王を継ぐのだ!”
 創世王は月のキングストーンを見せ、RXを誘う。
 「何度言われようと俺の意思は変わらない!」
 RXは毅然とした態度で創世王の誘いを断る。
 “あくまでも断るというのならば仕方あるまい。力づくで納得させるまで!変身!”
 創世王の心臓部に月のキングストーンが取り込まれると、創世王は巨大な仮面ライダーBLACKの姿をした怪物、亡霊創世王へと変貌する。
 「創世王、その姿は一体どういうことだ!」
 突然の事態にRXは驚く。
 “何を驚く?私はかつて、五万年前にシャドームーンを討ち取り、創世王を継承した先代の世紀王ブラックサンなのだから。さあ、諦めろ。諦めて創世王になる道を選べ。誰しもが初めは拒む。だが、やがて選ばれたことを光栄に思える日が来るのだ。”
 亡霊創世王は無抵抗でRXを向かい入れようとする。
 「俺は決して創世王にはならない!リボルケイン!」
 RXは亡霊創世王の誘いを受け容れることなくリボルケインを引き抜き、亡霊創世王に必殺のリボルクラッシュを腹部めがけて放つが、刺し貫く感覚はなく、リボルケインの光は闇の中によってかき消されてしまう。
 「光が!?」
 その光景にRXは驚く。
 “この身は人間達の悪意、闇や負の感情によって作られている。どうだ、お前が命をかけて守り抜いていた人間の本質の力は?”
 「闇が、人間の本質だと!?」
 “如何にも。散々見てきたのではないか?一時の快楽のために他者に危害を加える人間、己の得のために他者を騙し、善意を踏みにじる人間、そして争いの絶えない人間の歴史を!”
 亡霊創世王はRXを掴もうとするが、RXはなんとか回避する。
 「それだけが人間の全てではない!」
 RXはパンチやキックで応戦しようとするが、闇で実体化しているだけの霊体である亡霊創世王に攻撃が通ることはなかった。
 “綺麗事を言うのは結構だ。だが、こうして私が蘇っていることこそが、今のこの世界に人間の悪の心が蔓延っている証拠。そう、お前が創世王を継ぎ、怪人達の世界を作ることで、私が蘇ることも、私と戦う必要もなくなるのだ。”
 「だがそれは、人々が自由に暮らせる、平和な世界ではない!」
 “いい加減目を覚ませ。平和な世界など、実現ができぬことだから人間は求めるのだ。怪人達は種族が違っていても争い合うことはない。お前の求めている平和そのものではないか。”
 「それは俺達の求めている平和ではない!キングストーンフラッシュ!」
 RXは亡霊創世王の言葉に屈することなく立ち上がり、キングストーンフラッシュを放つが、亡霊創世王の膨大な闇の前ではいともたやすくかき消されてしまう。
 「あれは!?」
 光がかき消される中、RXの視界にはあるものが映り、突破の一手を考え始める。
 “諦めろ。そして創世王となる運命を受け容れるのだ。”
 亡霊創世王は何事もないかのようにRXを誘い続ける。
 「創世王、今度こそお前を倒してみせる!キングストーンよ、お前のエネルギーをもう一度リボルケインに!」
 RXはリボルケインに全身全霊のエネルギーを込める。
 “何度やろうと同じこと。すぐに諦めさせてやろう。”
 亡霊創世王は防御する素振りすら見せないでいる。それを見たRXは力強くジャンプし、リボルケインを突き出す。そして、
 「そこだ!」
 リボルケインは亡霊創世王の胸部に突き刺さる。今度は手応えもあり、火花が散る。
 “何故だ、何が起こっているというのだ!”
 その光景に亡霊創世王は驚く。
 「キングストーンフラッシュがかき消されるまでの一瞬で、お前の心臓にかつてサタンサーベルを突き刺した傷が残っているのが見えた。俺はそこを弱点だと見抜き、この一撃にすべてを賭けた!」
 亡霊創世王の疑問に、RXは答える。
 “良いのか?たとえ今私を倒したとて、人間が生きていれば悪意は無尽蔵に生まれ、私はすぐにでも蘇るのだぞ?”
 「何度復活しても、俺がお前を倒し続けてみせる!確かに、人々の心の中に悪意はあるかもしれない。だがそれ以上に、人の心には互いを支え合い、慈しみ合う優しさがあることを俺は知っている!そんな人々の平和を守るために、俺はこの力を使うと決めたんだ!」
 RXは自身の信念を貫く。
 “何度でも倒すか。面白い、次に会うときを楽しみにしておこうではないか。次に蘇るのは、案外早いかもしれないぞ?”
 「それでも、俺が仮面ライダーBLACK RXとして生きている間は、お前の好きにはさせない!」
 “面白い。今は敗れてやろうではないか。そして、創世王にならなかったことを後悔するがいい!さらばだ!”
 亡霊創世王は最後の言葉を残し、大爆発を起こす。RXはすぐに広間から脱出し、アクロバッターに乗って崩壊するネオゴルゴム神殿から脱出する。かくして、仮面ライダーBLACK RXとネオゴルゴムとの戦いに決着が着いたのだった。

 それから半年の時間が経過した。霞のジョーと響子、茂とひとみ、克美はそれまでと変わらない日常へ戻り、恭子も新しい部屋を見つけ引っ越しを済ませ、玲子はすぐに新たな就職先を見つけてキャピトラから離れ、ネオゴルゴムが活動前にすっかり戻っていた。日々新たな情報が更新されるこの現代社会、既に半年経過したネオゴルゴムの事など、人々の記憶から薄れかけていた。しかし、光太郎は今でもついこの間の出来事のように忘れることはできなかった。これまでの戦いを思い返しながら掃除をしていると、意外な人物が来店してくる。
 「やあ光太郎君、調子はどうだい?」
 「本郷先輩!お久しぶりですね。」
 現れたのは仮面ライダー1号に変身する男性、本郷猛であった。
 「ノバショッカーの残党との戦いも1段落ついて、コーヒーでも飲もうと思ってな。光太郎君もネオゴルゴムの壊滅に尽力していたのだろう。頑張ったな。」
 本郷は笑顔を見せる。
 「ありがとうございます。それじゃあ、カウンターの方へどうぞ。」
 光太郎は本郷をカウンター席へ案内し、座らせるとまた一人来店してくる。
 「神先輩、あれからどうでした?」
 来店してきたのは敬介であり、光太郎は敬介に近況を尋ねる。
 「ああ、なんとか研究施設は潰せたが、肝心な資料はなかった。既に持ち出されていたんだろう。」
 敬介はカウンター席に座り、コーヒーを注文する。
 「先輩達も来ていたんですね。」
 そこに仮面ライダースーパー1に変身する沖一也が来店する。
 「一也か。そっちはどうだ?」
 「国際宇宙サミットで本格的にスペースデブリの撤去に力を入れることが決まりましたけど、実現には時間がかかりそうです。」
 「上も下もゴミだらけってことか。」
 「下もということは、先輩の方も?」
 「ああ、カイゾーグとして、海底資源の調査協力の依頼を受けたが、沈没船を始め、いろんなものが海の底にあった。」
 敬介と一也が話していると、
 「なにも、その両端だけの話じゃない。」
 今度は仮面ライダーアマゾンに変身する山本大介が来店してくる。
 「アマゾン、どうしたんだ。」
 「ガガの腕輪を、二度と悪用されないようにバゴーの眠る場所に収めて、封印を施したんだ。それで、帰りに故郷の跡地を見て驚いた。観光スポットになって、観光客のポイ捨てが当たり前になっていた。」
 「そうか、大変だったな。」
 その後も敬介、大介、一也の三人はそれぞれの課題について話し合っていた。そこにまた一人、来店してくる。
 「漸くこれで落ち着ける。」
 来店してきたのは、ライダーマンに変身する結城丈二だった。
 「結城君、どうしたんだ?」
 本郷は結城に話しかける。
 「はい、俺がデストロンの科学者として所属していた頃に開発していた兵器の資料を漸く廃棄しきれたので、一杯飲みに来たんです。」
 結城は自身の研究に疲れたように話す。すると、
 「本郷がここに来ているのを知っていたから来てみれば、仲良くお集まりでしたか。」
 仮面ライダー2号、一文字隼人が入ってくる。
 「隼人、そんなに慌てて何があった?」
 「SNSに情報が出ていたが、なんでも、虹の蛇とかいう悪の忍者集団が暴れまわっているらしい。村雨に話したらすぐに向かってくれた。」
 一文字の話を聞くと、本郷はすぐに立ち上がった。
 「隼人、行くぞ。」
 本郷と一文字は会計を済ませ、すぐにキャピトラから出ていく。
 「さて、俺達もそろそろ行くか。」
 敬介達もそれぞれの使命のためにキャピトラを出て進み始める。
 「先輩達、頑張っているなぁ。俺も負けていられないや。」
 光太郎は気持ちを切り替え、今日も来店してくる客を迎えるのだった。
 終わり

 予告
 我らの仮面ライダーが帰ってくる。呪博士によって蘇った大首領と再生怪人軍団を相手に、11人の仮面ライダーが立ち上がる。『仮面ライダースペシャル 11ライダー対大首領』ご期待ください! 
 

 
後書き
 怪人図鑑
 亡霊創世王
 身長:387.4cm
 体重:─
 能力:闇で構成されている巨大な霊体、光をかき消す闇、様々な超能力
 人々の悪意をエネルギーに変えて復活した創世王が、月のキングストーンのエネルギーを吸収して変貌した姿。霊体であるため、一切の攻撃を寄せ付けず、膨大な闇と人智を超えた超能力で世界を滅ぼせるほどの力を発揮できるが、35年前にBLACKによってサタンサーベルを突き刺された部分は唯一攻撃が通るようになっている。その真の目的は35年前と変わらず世紀王であるRXに創世王の座を継承させることである。 
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