FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
バトルダンジョン
前書き
まだ100年クエスト始めて2ヶ月経ってないのにここまで来ました。本当にノリに乗るとこんなにかけるのに、書けなくなると一切書かなくなるのは何なのか、自分でも非常に気になる・・・
「「「「「六頭目!?」」」」」
エレフセリアの放った言葉に驚愕する俺たち。その言葉は矛盾しており、頭の中の整理が追い付かない。
「どーゆーことだ!?」
「五神竜なのに六頭目だと?」
「意味がわかりません」
「いいか、ウェンディ。5+1はな、6なんだ」
「そんなことわかりますよ!!」
「ナツ・・・そーゆーこと言ってるんじゃなくてね」
全員が混乱しており収集がつかない。その中でもナツさんが真顔で当たり前のことを言ってくるのが何よりも腹が立つけど。
「五神竜は6人いたってこと?」
「六頭ね~」
「それじゃ六神竜じゃない」
ハッピーたちの問いかけにも答えられないほどに焦っているエレフセリアさん。その顔からあふれでる汗は留まることを知らない。
「エレフセリア様」
「こうしてはおれん。急いで大迷宮に向かわねば!!」
「待てよ!!」
ようやく正気を取り戻したエレフセリアさんはドラゴンの姿になりその場から飛び立とうとする。ただ、それを黙って見送ることはできない。
「俺たちも乗せてけ!!」
「ディアボロスも絡んでいるんだろう?なら俺たちの力も必要なんじゃねーのか?」
ディアボロスとは因縁がある。そんな奴らが何か仕掛けてきているなら、黙って見過ごせない。そのことを伝え、俺たちはエレフセリアさんの背中に飛び乗りその大迷宮とやらを目指す。
「五神竜は元々六頭だった。そう・・・六神竜だったのだよ」
その道中、エレフセリアさんは先ほどの矛盾点についての説明をしてくれた。
「だが、そのうちの一頭が死んだことによって五神竜となったー
「死んだ?」
「あれ?でもさっきは~」
「あんた、眠ってるって言わなかった?」
「亡骸が眠っておるのじゃ」
一頭が減ったことで五神竜と呼ばれるようになったのか。ということは今は三神竜になるのかな?とかおかしなことを考えているのは内緒です。
「じゃあその大迷宮ってのは、六頭目の墓ってことか」
「その墓ぎ荒らされることに何の問題があるのか」
「一般的には普通に問題だけどね・・・」
墓が荒らされるなんて普通に考えて罰当たり以外の何物でもない。ただ、焦っている理由はそんなものじゃないらしい。
「六頭目の神竜・土神竜ドグラマグ。奴は六神竜の中でも一番弱かったと言えよう。弱いといっても他の五神竜と比べてにすぎん。数いるドラゴンと比べればその強さは脅威」
アクノロギアと同格と言われるドラゴン。その中で弱いと言われても、あいつが強すぎたせいでイマイチイメージがつかない。だが、エレフセリアさんは驚くべきことを言ってのけた。
「ワシは100年前、ドグラマグを倒すことに成功した」
「えぇ!?」
「エレフセリアさんが倒したんですか!?」
「すげーな!!じいちゃん!!」
彼がそんなに強い存在だとは思っていなかったためこれには驚かざるを得ない。だが、それだけの偉業を達成したのに彼の表情は暗かった。
「だが・・・その代償にワシの心臓は奴に喰われた」
その内容は彼の偉大な功績のことを忘れさせるほどに衝撃的だった。
「心臓!?」
「いやいやいや!?」
「それって・・・」
「すげーな、じいちゃん・・・って!!じゃあなんで生きてんだよ!!フツー死ぬだろ!!」
心臓を喰われたにも関わらず彼は今ここに顕在している。思念体ってわけでも無さそうだし、説明を聞かなきゃ納得できないよ。
「"竜化"の影響じゃな・・・人間が滅竜魔法を使えばやがて身体が竜化していく。その時、外観の変化だけでなく臓器すら変化してしまうのじゃ」
「まさかそれで心臓がもう一個できたのか!?」
「そんなことが起きるんですか!?」
竜の心臓と人間の心臓があるってことなのかと思い、想像したグレイさんは顔を青くしていたが、どうやらそう言うわけではないらしい。
「いや・・・少し違う。心臓がいらない身体になったのじゃ」
「すげーなじいちゃん!!」
「いやいやいや!!おかしいって!!」
心臓は身体に血液を循環させるために必要になる臓器。それが止まれば身体に栄養が行き渡らなくなりやがて死に至るはずなのに・・・それすら覆してしまったということなのか?
「厳密に言えば心臓の代わりとなる臓器が作られた。おかげでこうして生き長らえておる」
「そんなこともあるんですね!!」
「すげーな、竜の身体ってのは」
「まさに神秘ですね」
「あたし・・・まだ納得できないけど・・・」
ルーシィさんの気持ちもわかるが、俺はこれ以上突っ込もうとは思わない。だってたぶん聞いても分からないじゃん?
「だが・・・ドグラマグの真の恐ろしさは死んだ後じゃった。奴の死体から溢れた魔力が大地に根付き、巨大な地下迷宮を作り出した。それが"ドグラ大迷宮"」
さっきから話していた大迷宮ってのはそのことだったのか。死体がそんなものを作り出すなんてにわかには信じがたいけど、そんな俺たちの考えを聞くこともなくエレフセリアさんは話を続ける。
「それこそが奴の真の力だったのじゃ。死してなお輝き続ける、神の竜の名にふさわしい力。迷宮は多くの冒険者や魔導士たちによって探索された。1000人以上が迷宮に入り、帰ってきた者は数名だけ。その者たちの報告によれば大迷宮内は複雑に入り組んでおり、年々広がっているらしい」
その迷宮はもしかしたらいまだに大きくなり続けているということなのだろうか?ただ、その迷宮を作り出したドグラマグはすでに死んでいるため倒すこともできない。だからエレフセリアさんはその迷宮の入口を塞ぐことにしたらしい。
「ねぇ・・・100年かけて身体を再生してるなんてことないわよね?」
「それもわからぬ。奴が死後、なぜあのような迷宮を作ったのかも不明じゃ」
「そこにディアボロスが近付くと何がマズイのだ?」
ここでようやく本題に入る。話を聞く限りは確かに危険な迷宮だが、ディアボロスが侵入したところで道に迷って今までの探検家たちのようになる未来しか見えない。しかし、エレフセリアさんはそうは思っていないらしい。
「奴らはドラゴンを喰らい、力としている」
「ま・・・まさか・・・」
「死んだドラゴンを食べるのか?」
「生きたまま食うつもりかよ!!」
「そう言う問題じゃないでしょ!?」
食べる時は確かに死んでないと食べれないけど、ドグラマグは100年も前に死んでるんでしょ?それって・・・
「100年前の死体・・・もう骨だけになってるかもしれませんね」
「やっぱりそう思うよね!!」
以前ドラゴンの墓場を見た時、そこには骨しか残されていなかった。あれは400年前のものだとしても、100年も経ってたらさすがにあれと同じように骨しか残っていないはず。その骨を喰らっている姿を想像すると、背筋が凍る。
「土神竜の力は不明な点が多い。しかし死後にまで及ぶ力ということだけは確か。こんな力を人間が手にいれてしまったら・・・だが・・・」
何やらまだ彼の中では心配ごとがあるらしい。それが何なのか、耳を傾ける。
「ワシがもっとも恐れていることは、ワシの心臓じゃ」
「食われちまったんだろ?」
「それが・・・迷宮内に残っておるのだよ」
「何!?」
「ドグラマグが消化できぬ何かの魔法がかかっていたのかもしれん」
「そんなバカな!?」
そもそも仮に消化できていなかったのだとしても、100年経っていたらドグラマグの肉体同様に腐敗してなくなっているはず。だが、あくまで彼は心臓が今もあるというのだ。
「もしくはドグラマグの迷宮の力で再生されたのかもしれん。ワシには感じるのじゃ、かつての我の心臓の鼓動が」
「そんなこと・・・」
「あるわけない・・・か」
いくらドラゴンの身体がすごくてもこればかりは信じることはできない。そのことはエレフセリアさんもわかっているようだった。
「無論、我が身体の一部、未練がないと言えばウソになるが・・・もしそんなものが存在しないならそれでよし。だが・・・もし、我が心臓が存在するならば、"法竜"の力までもディアボロスに渡ってしまう」
「法竜?」
「法律のドラゴン~?」
聞いたことがない種類のドラゴン。それは知識を極めたドラゴンらしく、魔法界全ての情報が入手できるらしい。それは冥府の門にいた元議長よりも強大らしく、それによりディアボロスがエーテリオンやフェイスに並ぶ魔法界の負の遺産を見つけ出すことを恐れているらしい。
「とにかく、心臓がディアボロスに渡るとマズイってことね」
「奴らとはそろそろ決着つけてーしな」
「いや、あいつらなら楽勝でしょ」
「おう!!燃えてきたぞ!!」
ディアボロスは何度も戦ってはいるが、あのスザクさん以外はハッキリ言って弱い。何ならギルド総出で出てきても返り討ちにできちゃうんじゃないかな?なんて、この時の俺はなめてかかっていた。まさか一人、予想を上回る相手がいるとも知らずに。
「みなさん!!そろそろ大迷宮に着くでがす!!」
「あれが大迷宮・・・」
「いや・・・ちょっと待て!!」
見えてきたドグラ大迷宮。しかし、それの上にいる存在を見た瞬間、俺たちの身体は震えた。
「月神竜セレーネ!?侵入者はディアボロスじゃなかったのか!?」
なぜか大迷宮の上で、まるで俺たちが来るのを待ち構えていたような態度を見せるのは竜の姿になっているセレーネ。彼女は俺たちを地上へと下ろしたエレフセリアを見下ろし、口角を上げる。
「久しいな、エレフセリア。竜の姿が板についてきたではないか」
「なぜお前がここに・・・」
ヒカゲが言うには迷宮に入っていったのはディアボロスのはず。そのディアボロスにいるスザクとセレーネは戦っていたことから、何か関係があるのかと考えることができる。
「ここは元の墓であるぞ。さぁ・・・準備は整った」
セレーネがそう言った途端、空が月夜へと変化する。それは彼女が本気になった時に起きるもののようだ。
「ゲームを始めよう、妖精の尻尾の諸君」
「ゲームだぁ?」
あくまで自分が楽しむためと言わんばかりの彼女の態度にイラッとする。だが、エレフセリアさんはいまだに状況を飲み込めずに困惑していると、セレーネがそれについて口を開く。
「ディアボロスは私のものとなった」
得意気な表情でそう言うセレーネ。その言葉に俺たちは驚かずにはいられなかった。
「何!?」
「ウソだろ!?」
「なんで竜が竜を食べるギルドを」
「利害が一致したのだ」
どのようにして利害が一致したのかはわからない。ただ、もしそれが本当ならこれは彼女たちにとって一時的な同盟のようなものか。そう考えていると、彼女は自身の目的を話し始めた。
「この迷宮の奥にエレフセリアの心臓がある。私はそれがほしい」
「何のために・・・」
「察しがついておるくせに」
セレーネは敵対意識を隠そうとしないエレフセリアさんの警戒心を解くためなのか、人間の姿へと変身する。
「欲しいのはその知識。本人さえも知らぬ人間どもの兵器の場所よ」
「さっき言ってた負の遺産ってやつ?」
「そうだろうね~」
「本人も知らないってどうゆうこと?」
本人と言うのはエレフセリアさんのことなのだろう。ただ、法竜の力は彼のものなのだから、その知識は全て彼が持っているはずなのでは・・・
「心臓は迷宮の力でエレフセリア本体の力をも超えてしまったのよ」
ドグラマグに喰われたという心臓はいまだに残っているどころかさらに力をつけていると言うのか、にわかには信じがたいけど、彼女は何かしらの方法でそのことを調べたのだろうし、ここは信じるべきなのか。
「ただし・・・本体が死んでしまえばその力は失われてしまう」
「く・・・」
本来の人間の姿へと戻ったエレフセリアさん。それを確認するや否や、セレーネは彼を指差す。
「・・・というわけで、安全なところにいて頂戴」
「うあああああ!!」
「エレフセリア様!!」
その直後、煙に包まれて姿を消すエレフセリアさん。彼の姿はおろか、匂いすら感知できなくなってしまう。
「おい!!じいちゃんをどこにやった!?」
「自害させるわけにいかないから。大丈夫よ、心臓を手に入れるまでは安全だから」
どうやらエレフセリアさんは別空間に隔離されているらしい。彼女の口ぶりからするにその空間では彼は身動きも取れなくなっているのだろうか。
「さぁ、ゲームを始めましょう」
「ゲーム?」
彼を隔離したことで安心したのか、そんなことを言い出すセレーネ。彼は俺の問いに笑みを浮かべながら頷く。
「さっきも言ったでしょ?これはゲームなの。ディアボロスのメンバーは6人。あなたたち妖精の尻尾も6人」
「私たちは頭数に入ってないようね」
しれっと戦力外通告をされたことにシャルルが不満げだったけど、それは仕方ないと思う。特にハッピーなんか戦いには向いてないわけだし。
「6対6のバトルダンジョン。先に心臓を見つけた方の勝ちってわけ」
「お!!なんか面白そうだな!!」
バトルと言われたからか目がキラキラしているナツさん。ただ、気になる点が一つ。
「6人って言いますけど・・・」
「あなたは参加しないんですか?」
セレーネ自身は動こうとしていないのが気になる。すると、彼女はウェンディの問いに頷いた。
「私、主催者だもの。ここで見物させてもらうわ」
「ふざけおって!!今ここで斬り捨ててやる!!」
ディアボロスの魔導士だけで戦うようだが、彼女の態度に苛立ちを募らせていたエルザさんが剣を振るい、彼女を斬ろうとした。だが、セレーネはそれを軽い身のこなしで回避する。
「あなたたちが心臓を持ってきたら相手してあげる」
そう言った彼女の目からはこれまでとは異なり、圧力を感じる。背筋が凍るほどのその雰囲気に、一瞬息を飲んだ。
「やるしかねぇか」
「悪いけど、あいつらはすぐに倒してやりますよ」
彼女がディアボロスと結託しているのは理解した。ただ、恐らく何人かは戦ったことがあるメンバーが入っているはず。あいつらはそんなに強くもないし、彼女の目論みは外れそうだ。
「私は楽しめればそれでよい。どちらが勝っても双方ともに死しても・・・心臓は私の手に入る。それまでの余興にすぎぬ」
まるで一人勝ちを確信しているかのような発言にエルザさんが奥歯を噛み締めている。ただ、今はエレフセリアさんを人質に取られているようなものだし、従うしかないか。
「ルールは簡単!!"心臓"を持って脱出せよ!!
おっと、追加ルールが二つある。一つ、どちらかが全滅するまで入口を閉ざす。つまりどちらかが6人倒すまで脱出不可能。二つ、心臓を破壊してはならない。私はここで見ているぞ、そのような行為をすれば・・・わかるよな?」
先ほど別空間へと飛ばされたエレフセリアさんを殺すと言うわけか。つまり彼の身体からは心臓は離れているが、二つは繋がっているということ。彼女の目的のためにその心臓は絶対に必要ってことか。
「このルールはディアボロスにも伝えてある。奴らはもう迷宮の探索を始めている」
彼女はそう言って空中に円を描く。すると、俺たちの身体が光り出した。
「!!」
「なんだ!?」
「これは・・・」
「空間を移動させる魔法!?」
「次はどこに・・・」
「これで迷宮まで運ぶってことか」
そのまま俺たちはセレーネの魔法により飛ばされる。恐らくこれがディアボロスとの最後の戦いになるはず。俺たちは各々が覚悟を決め、バトルダンジョンへと挑んだ。
光が収まったことでようやく目を開けられるようになった俺は周囲を見渡すと、そこはまるで古代の遺跡のような空間が広がっていた。
「ここが大迷宮・・・」
「不気味なところね」
「気持ち悪~」
「なんだか、妙な魔力がするね」
この場にいるのは俺、ウェンディ、シャルル、セシリーの四人。他の人たちの姿が見えないってことは、ランダムで配置されたってことか。
「これからどうしよう?」
「みんなを探した方がいいかも」
心臓を探そうにもどこにあるのかもわからないし、ディアボロスがどこにいてこちらを狙っているかもわからない。できるだけ固まって行動した方がいいと思いみんなの匂いを追おうとしたところ・・・
「またあったな、妖精の尻尾」
「!!」
後ろから聞き覚えのある声がしてそちらを振り向く。そこにはエルミナの町であった仮面の男と変な語尾の大男がいた。
「ディアボロス!?」
「またこいつらなの!?」
「しつこいな~!!」
やはりというべきかこの二人がいるということは、恐らくあの女剣士とスザクと名乗っていた人もいるはず。この三人は問題ないけど、スザクのことを考えると時間も手間もかけたくない。
「ウェンディ、やろう」
「うん、わかってる」
すぐさま臨戦態勢に入る俺とウェンディ。それを見てディアボロスの二人もすぐに魔力を高めていく。
「マッドモール、わかっているな」
「もちろんっちゃ。二人とも竜の匂いがするっちゃ」
ディアボロスはドラゴンを食べて力を手に入れるが、それは俺たち滅竜魔導士にも適応されるらしい。匂いで俺たちが自分たちと同じ力の持ち主だと理解した彼らは、間髪置かずに襲い掛かってきた。
「天竜の咆哮!!」
「水竜の鉄拳!!」
ウェンディは灰の男を、俺は鎧の男へと攻撃を繰り出す。しかし、灰の男は自らの身体も灰へと変換できるため魔法が効かず、俺の攻撃の方は・・・
「いっ!!」
肉体部分を突いたはずなのに、あまりの堅さに全くダメージを与えられない。
「鎧竜に物理攻撃は効かないっちゃ!!」
「うわっ!!」
よろけた俺にカウンターを喰らわせてくる鎧の竜。その一撃は彼の体重も相まってとてつもなく重い。
「シリル!!」
「よそ見かね」
「きゃっ!!」
地面に叩きつけられた俺に意識が向いてしまったことで隙が生まれたウェンディも灰の男から一撃を受ける。彼らは双方に追撃の一打を放ってきたが、俺たちはすぐに立ち上がりそれを交わす。
「大丈夫~?シリル~?」
「手伝う?ウェンディ」
「大丈夫だよ、セシリー」
「心配しないで、シャルル」
駆け寄ってくる二人を制止して俺とウェンディは相手の声が聞こえるギリギリの距離まで身体を寄せる。
「灰の魔法、私の魔法で吹き飛ばせそう」
「だと問題はあの大男だけか」
灰になって攻撃を交わしてはいるけど、核となるものがどこかにあるはず。それを見つけられればうまく攻められるか。
「シリル」
「ん?」
「あの男の人、打ち上げられる?」
想定していなかった少女の問いに困惑するが、うまく魔法を組み合わせれば俺のパワーでもそれくらいはできるかもしれない。
「何するの?」
「実はね・・・」
コソコソと耳打ちしてくるウェンディ。俺は相手に不意打ちをされないように視線をそちらに向けたまま話を聞き、笑みを浮かべる。
「それでいこう!!ウェンディ」
「うん!!お願いね!!」
「任せて!!」
彼女の名案を受けてすぐさま走り出す。その向かう相手はもちろん鎧の男。
「何度来ても同じっちゃ」
「どうかな?」
滅悪魔法も解放して足に水と風を纏う。それをそのまま男の土手っ腹目掛けて放つ。
「無駄だっちゃ」
「そうかな?」
「!!」
俺の蹴りが腹に入る瞬間、俺はそれを止めて地面へと叩きつける。その反動を生かして鎧の男の顎へとアッパーパンチを喰らわせる。
「天竜の波颪!!」
その間にウェンディは灰の男へ竜巻を起こして攻撃を試みる。
「それは私には効かない」
「そうでしょうか?」
「!!」
灰になった男の身体が竜巻へと巻き込まれて散っていく。それは後程集めることはできるのだろうが、問題は彼の下から迫ってくるもの。
「ちゃー!?」
俺が打ち上げた鎧の男は竜巻に巻き込まれながら灰の男へと舞い上がっていき、彼の残されていた頭部と激突する。
「ぐあっ!!」
「ちゃ!?」
鎧の男の固い身体が身体の核となる部分に直撃したことで両者はバランスを建て直すことができずに地面へと落ちる。そしてすぐには魔法が放てないようになったところを見計らい、俺たちは手を握り合わせた。
「俺たちの魔力を・・・」
「融合させて・・・」
かつて天使を倒した時に修得した合体魔法。今回はそれをさらに進化させ、目の前の敵の真下に魔法陣を出現させる。
「「凱風寒泉!!」」
風と水を泉から吹き出る噴水のように発射する。それによりクジラの潮吹きのようになっているそれに飲み込まれながら打ち上げられた二人は天井へと激突し、白目を向きながら地面へと叩きつけられていた。
「やった~!!」
「すごいわ!!ウェンディ!!シリル!!」
終わってみれば圧勝だった俺たちはハイタッチで勝利に湧いていた。すぐ近くに敵が近づいていることも知らないで。
第三者side
「次の獲物はっけーん!!」
歓喜に湧く小さな妖精たち。そんな彼らの元に、これまた小さな少年が歩み寄ってきていた。無垢な笑顔を見せながら。
後書き
いかがだったでしょうか。
ついにvsハクまでこぎ着けました。ここはまだ未確定な所もあるので少し時間をもらうかもしれませんので悪しからずm(_ _)m
ページ上へ戻る