魔法少女リリカルなのは〜転生者の誓い〜
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第三話・気づく魔法少女
平凡な小学三年生だったはずの私、高町なのはに訪れた突然の事態。
渡されたのは赤い宝石、手に入れたのは魔法の力。
色々ありましたが最近はちゃんと魔法少女やれていると自負しています。
ですが、
「なのは、朝だよ起きて!!」
耳元でユーノ君が叫んでいる。
「今日は日曜だし、もう少しお寝坊させて〜」
そう今日は日曜なのです。
もう少し布団の温もりを感じていたいのです。
いくら魔法少女だからと言って、お布団が恋しくない訳ではないのです。
むしろ最近は疲れが溜まって前より恋しいくらいです。
「おーいなのは、なのはってば!」
ユーノ君がうるさいので、
私はお布団さんを嫌々手放します。
・・・途中、ユーノ君がお布団に埋もれてしまいましたが見なかった事にします。
そして私は胸にかけている赤い宝石、レイジングハートを取り出しました。
そこには今までの努力の成果、5個のジュエルシードが封印されています。
「はぁ〜」
ため息が出ます。
ユーノ君の話ではジュエルシードは21個。
つまり私は後16個探さなければいけません。
ユーノ君のためにも海鳴のためにも大事な事です。
とはいえ、5個集めるのでこんなに苦労するのですから、
後の事を考えると、やはりため息の一つや二つ出てしまいます。
「なのは、今日はゆっくり休んだ方が良いよ」
私のため息を聞いていたのか、ユーノ君が心配してくれます。
「でも…」
「もう五つも集めてもらったんだから、それに少しは休まないと体が持たないよ。」
私の言葉を遮ってユーノ君が気遣ってくれます。
「それに今日は約束があるんでしょ?」
「う〜ん、そうだね…」
ここまで言って貰って断る訳には行きません。
実際、私も疲れているのでここは素直に休む事にします。
「じゃあ、今日はジュエルシード探しちょっとだけ休憩ってことで…」
「うん」
ユーノ君にもう一度確認をとって、今日は魔法少女はお休みです。
ユーノ君が言っていたように今日はすずかちゃんとアリサちゃんとの約束の日です。
「遅れないようにしなきゃ………って、もうこんな時間!?」
「だから言ったのに…」
ユーノ君が何か言っていますが、それどころではありません。
私は慌ただしく準備をするのでした。
「間に合った〜…!」
「もう、遅いわよ!なのは」
「アリサちゃん、落ち着いて」
約束にはなんとか間に合ったようです。
「まぁいいわ、なのは、とりあえずあそこの席空いてるからあそこで見ましょ」
「うん、そうだね」
とりあえずアリサちゃんの言った席に腰掛けます。
「私、試合を生で見るのって初めてだから楽しみだな〜」
すずかちゃんがそう呟きます。
そう、今日は私のお父さんがオーナ兼コーチをやっているサッカーチームの応援に行こうと皆で約束していたのでした。
「なのは、ところでみずなさんは?」
アリサちゃんが私に聞きますが
「うーん、分かんないな〜、レギュラーなのは間違いないんだけど…」
「もう、お兄さんの背番号くらい覚えときないよ」
わたしはみずなお兄ちゃんの番号を知りません。
なんと言うかお兄ちゃんは私を避けているいる気がします。
話しかければちゃんと話してくれるし、優しいのですが・・・
「にゃはは…、ごめんねぇ」
「いいわよ、別に怒ってないから」
「ふふ、ありがとう……あっ、そうだ!お父さんに聞いてくるね」
「そうね、お願いするわ」
みずなお兄ちゃんは私を嫌っている訳では無いと思うのです。
でもなにか、遠慮というか恐れている感じもします。
しかし、家で私が怒られているときはお姉ちゃんと一緒に私を庇ってくれる。
私はそんなお兄ちゃん(もちろん恭也お兄ちゃんやお姉ちゃんも)大好きなので、
もうすこし仲良くしたいな〜、と思っていますが中々上手く行きません。
とりあえず、今はお父さんにお兄ちゃんの背番号を聞く事にします。
「お父さ〜ん!」
「ん?どうしたなのは?」
「えっとね………」
その後私たちは試合観戦を楽しみました。
試合が終わり、現在、私とすずかちゃんとアリサちゃんはお父さんの経営するお店
翠屋でお食事をしています。
「最初のロングパス、アレ格好良かったわね」
「そうだね、あの後もみずなさん、何度も長いパス成功させてたし」
すずかちゃんとアリサちゃんは、先ほどのサッカーの話をしています。
二人ともみずなお兄ちゃんには会った事あるようで話題はみずなお兄ちゃんの事ばかりです。
あるようで、というのはこれも私は最近知った事だからです。
すずかちゃんは校内で迷っていたところを
アリサちゃんは上級生の男の子と喧嘩になりそうなところ治めてくれたらしいです。
「よう、何話してんの?」
そんな事を考えている内に、どうやらお兄ちゃんがやって来たようです。
「みずなさんこんにちは、今日の試合、格好良かったです」
「うん、ありがとう」
照れくさそうにすずかちゃんに返事をするお兄ちゃん。
あまり私の前では見せない顔です。
そう思うと胸の奥が少し、ズキンと痛みます
私も何か話しかけよう、そう思った時
「なのはも応援ありがとな」
「ふぇ?」
突然、お兄ちゃんの方から話しかけて来てくれました。
しかもお兄ちゃんはそのまま手を伸ばして、
「嬉しかったぞ」
頭を撫でてくれました。
「ふぇ、ふぇええええ!?」
あまりにも唐突すぎて頭がフリーズしそうになります。
「それじゃ、俺は少しやる事あるから」
そう言ってお兄ちゃんは私たちから離れていきました。
もう何がなんだか分からなくなって来ました。
ただ、一つ分かるのは
ズキンとした痛みはもう無いという事でした。
「………よしっ!」
私は決めました、ジュエルシード集めを頑張ろう。
今までは何処か、結局は他人事だったのかもしれません。
しかし、今ははっきりと分かります。
お兄ちゃん、いや、お兄ちゃんだけじゃない、
すずかちゃんにアリサちゃん、それに恭也お兄ちゃんやお姉ちゃんも
「ユーノ君のお手伝いじゃなくて、皆の為に私は頑張るんだ」
私は改めて決意したのでした。
「………あの、なのはちゃん?」
「ふぇ?」
・・・・・・あ、すっかりすずかちゃんとアリサちゃんの事忘れてました。
「ズルい…」
前を見るとなぜかジト目のアリサちゃん
「ズルいわ!なのはだけ頭撫でてもらうなんて!!」
「おちついてアリサちゃん、なのはちゃんはみずなさんの妹だからしょうがないよ」
「え、ちょ、すずかちゃん?ありさちゃん?」
なんだかずいぶんご立腹なようです
分けもわからずオロオロしていると、すずかちゃんがこっそり教えてくれました。
「あのね、昔アリサちゃんがみずなさんに助けられたって話したよね」
「うん」
「アリサちゃん、その時のみずなさんが格好良くてその…」
「うんうん」
「好きなみたいなんだ、みずなさんのこと」
「ふむふむ、アリサちゃんがお兄ちゃんのことを………って、ふえぇぇぇぇえええ!?」
「!?なのはちゃん声が大きいよ」
衝撃の事態です!
なのは的には魔法のことを知ったときより衝撃です。
「アリサちゃん!?お兄ちゃんの事が……」
それ以上は言えませんでした。
風を切る音と共になのはの髪が僅かに斬れます。
「な・の・は?なに言おうとしたの?」
目の前に修羅がいました。
「ひぃ!?アリサちゃんごめんなの〜!?」
「いいから、言って見なさい?」
急いでこの場から逃走します。
ジュエルシードなんかよりよっぽど怖いの!?
そう思ったのもつかの間、
時既に遅し、腕をアリサちゃんに捕まえられていました。
「さあ、なのは言って見なさい?」
「にゃ!?すずかちゃん助けて!!」
「私お稽古あるから先帰るね」
「すずかちゃん!?」
「いってらっしゃいすずか、私も後からいくわ」
どうやら私の逃げ場は無いようです。
願わくは早く終わる事を・・・
「さあ、私たちも行きましょなのは」
アリサちゃん、満面の笑み。
私は悟った。
ああ、もう無理だ・・・と
その後行われた事は、私の精神の為に伏せさせてもらうの。
でも、これでまたひとつ
私が皆を守りたい理由が増えたのだった。
後書き
今回はなのは視点です。
因みにすずかは優しいお兄さん程度にしか思ってないので今後発展はありません。
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