ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
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ALO編ーフェアリィ・ダンス編ー
15.再び
前書き
第15話投稿!!!
エギルから送られてきた写真に映るアスナのような人物。
その真相を知るため、再び2人は仮想世界へ!!!
台東区御徒町の裏通りの喫茶店。
二つのサイコロの看板に刻まれる店名........《Dicey Cafe》
カラン、という音が響きドアを開けると、見知った顔が二つこちらを見てくる。
「よぉ、これで揃ったな」
「........相変わらずガラガラだな」
「うるせぇ、お前もキリトと同じこというんじゃねぇよ」
こんなふざけたやり取りも久しぶりに感じるな。
カウンターの向こうには、エギルがガラスを吹いている。キリトの隣に座り、話を始める。
「で、例の写真は一体どういうことだ?」
「ちょっと長い話になるが......」
エギルがカウンターの下から何かを取り出し、俺とキリトの前に滑らせる。
「これは......」
「ゲーム......?」
パッケージには、妖精が描かれている。
「《アミュスフィア》、ナーヴギアの後継機対応のMMOだ」
「それじゃあ、SAOと同じVRMMOか」
パッケージには、《ALfheilm Online》と......
「......アルフ.....ヘイム・オンライン?」
「アルヴヘイム、と発音するらしい。妖精の国、って意味らしい」
「妖精..........妖精の国か......まったり系か?」
エギルがコーヒーを俺たちに出す。
「どスキル制、プレーヤースキル重視、PK推奨」
「「どスキル制?」」
「いわゆる、レベルは存在しないらしい。各種スキルが反復使用で上昇するだけで、戦闘はプレーヤーの運動能力に依存するらしい」
「そりゃハードだな」
「まったくだ」
「ソードスキルなし、魔法ありのSAOってとこだな。こいつが今、大人気なんだと。理由は.....《飛べる》からだそうだ」
「「飛べる?」」
「妖精だから羽がある。フライト・エンジンとやらを搭載してて、慣れると自由に飛び回れるそうだ」
「どうやって制御するんだ?」
キリトが興味心身に聞く。
俺も興味をそそられる。
「さぁな、だが相当難しいらしい」
「そりゃそうさ、人間には存在しない羽を操るんだ。背中の筋肉を動かすのかな?」
「いや、コントローラーみたいなので操縦するんじゃねぇか?」
「んっ!!」
エギルの咳払いで俺とキリトは、元の話に戻す。
「で、大人気ゲームがアスナとどう関係があるんだ?」
エギルが二枚の写真を取り出し、カウンターにのせる。
「どう思う?」
「似ている.......アスナに」
「あぁ、似てるよな」
「やっぱり、そう思うか」
「早く教えてくれ!これはどこなんだ!」
キリトが少し、大きな声を出す。
「ゲームの中だよ。アルヴヘイム・オンラインのな」
なぜ、アスナがまだゲームの中に?
エギルがゲームのパッケージを裏返す。そこには、アルヴヘイム・オンラインのマップの全体図が描かれている。
「《世界樹》.....というそうだ」
地図に描かれる中央の木を指差す。
「この木の上の方に伝説の城があって、プレーヤーは九つの種族に別れ、どの種族が先に城に辿り着けるかを競ってるんだと」
「飛んで行けばいいじゃんか」
「何でも、滞空時間ってのがあって、無限には飛べないらしい。でだ、体格順に五人のプレーヤーが肩車してロケット式に飛んでみた」
「お........なるほどね。バカだけど頭いいな」
「確かにな」
「それでも、世界樹の一番下の枝にさえ届かなかったが、何枚かの写真を撮った。その一枚に奇妙なものが写っていた」
エギルは、再び写真を取り出す。
「鳥籠......?」
「その鳥籠を解像度ギリギリまで引き伸ばしたのが、これってわけだ」
それが、アスナらしき人物が写る写真だ。
「でも、何でアスナがこんなこところに?」
キリトがパッケージの後ろを見て何かに気づく。
「《レクト・プログレス》......?」
キリトは怖い顔をしたのち、エギルの方を見る。
「エギル......このソフト、貰っていっていいか?」
「構わんが......行く気なのか?」
キリトがソフトをバックに入れると帰る準備をし始める。
「この眼で確かめる」
キリトは少し、ニッと笑って言う。
「死んでもいいゲームなんてヌルすぎるぜ」
エギルは、呆れた様な顔をする。
だが、キリトはもう覚悟を決めている。コーヒーを一気に飲み干すと、ガシャン!、と音を立ててコーヒーを置く。
「.......ハードを買わなくちゃな」
「ナーヴギアで動くぞ。アミュスフィアはナーヴギアのセキュリティ強化版にすぎない」
「そりゃありがたい」
「助け出せよ、アスナを」
エギルが拳を突き出す。
「そうしなきゃ、俺たちの戦いは終わらねぇ」
「いつかここでオフをやろう」
キリトとエギルは拳を合わせる。
そして、キリトは店から走るように出て行く。キリトが消えた店内に沈黙が少し起きる。
「お前は、行かないのか?」
「.........行くさ。今度こそ、キリトの背中を守るって決めたんだからな」
エギルは何も言わず俺に拳をを突き出す。俺もそれに答えるように拳を突き出し、合わせる。
(今度こそ、守ってみせるからな!!)
急いで俺は、家へと帰る。
そして自分の部屋に入るや否や棚の上に置かれている少し傷がつくヘルメット状の機械........ナーヴギアに手をかける。
二年間、俺たちを閉じ込め、何千人もの命を奪った忌まわしい機械.........。だが、今回は親友を助けるため、親友の大事な人を守るために。
「もう一度俺に力を貸せよ!!!」
ナーヴギアを被り、先ほどエギルからもらったアルヴヘイム・オンラインのソフトを入れ、LANケーブルを繋ぎ、ベットに寝転ぶ。
あの世界に俺は、もう一度向かう。
眼をゆっくりと閉じ、あの言葉を.........
「リンクスタート!!」
眼の前にアルヴヘイム・オンラインという文字が浮かぶ。
『アルヴヘイム・オンラインへようこそ。最初に性別とプレーヤーの名前を入力してください』
機械の声が響き、俺の前にキーボードが出現する。俺は、SAOのキャラネーム、【Siu】と打ち込み、男を選択。
『それでは、種族を決めましょう。九つの種族から選択してください』
九つの種族の中から見た目が気に入った黒ベースの種族をチョイスする。
「これにするか」
『《インプ》ですね?キャラクターの容姿はランダムで生成されます、よろしいですか?』
OKボタンを押す。
『それでは、インプ領のホームタウンに転送します。幸運を祈ります』
辺りが光に包まれ、次いで落下する感覚が俺を襲う。二ヶ月ぶりのこの感覚刺激が、蘇る。
そして、落下し、町にインプのホームタウンにどんどん近づく。
すると急に映像がフリーズする。そして、ポリゴンが欠け、雷光のノイズがかける。
「な......なんだ!?」
そして、ポリゴンの欠けた暗闇の中に俺は落下して行く。
「どうなってるんだぁぁぁ!!!」
アルヴヘイム・中立域・古森 二〇二五年一月二十日
「あがっぁぁ!!」
顔面から地面に着地した。あたりを見渡すと森しか見えない。
「痛っ!!ここどこだよ......確かホームタウンに転送とか言ってなかったか?」
とりあえず位置情報を見るためにメニューウインドウを開くため、右の人差し指を振る。だが、何も起きない。何回振っても何も起きない。
「って.......まさか!?」
(落ち着け、落ち着くんだ。とりあえず、左を振ってみよう)
左の人差し指を振るとメニューウインドウが出てくる。それだけでものすごく安心した。が、もう一つ俺は心配な点を確認する。設定の画面を開き、ログアウトボタンを確認する。
「........あった」
ログアウトボタンがあるだけでここまでホッとするとはな。ついでにステータスを確認するする。
「何だこれ......バグってんのか?」
ステータス
種族:インプ
生命力:800
魔力:80
スキル
片手用直剣:1000
両手用突撃槍:967
片手用槍:1000
???????????????
投剣:923
武器防御:1000
戦闘時回復:985
索敵:1000
装飾増加:1000
限界重量拡張:994
応急回復:846
疾走:1000
どこかで見覚えのあるステータス。
「まさか、SAOのステータスと同じ!?どうなってるんだ。ここは、SAOじゃない」
アイテムを確認するとそこは、??????というバグアイテムばっかりだ。
その中に一つだけちゃんとした名前のアイテムがあった。
両手突撃槍《月音の槍》
体に電流が走る。
「........ミサキ」
この武器は、ミサキが最後に持っていた武器だ。
(この世界でも俺のことを支えてくれるのか.......)
目にじわっと温かいものがこみ上げてくるが必死にそれをこらえる。数滴が頬を伝いそれを拭き取り、ミサキの武器を取り出し背負う。
「よしっ!!......とりあえず、これ以外のアイテムは捨てないとバグ検出に引っかかるかもしれないからな」
アイテムを一つを除き、全て削除する。
「ふぅ〜、とりあえず、キリトを捜すか」
背中に意識を集中させるとそこに、漆黒の翅が出現する。
「これが翅か........」
背中に意識を集中させると、浮上し始める。
「うおぉ!浮いた!」
少しづつ、前進し始める。
「なるほどね。何となく操縦法はわかった気がす......るっ!!?」
調子に乗ったのが間違いだった。俺はわけもわからず、高速で前進して行く。もちろん俺は、止まり方を知らない。
「誰か止めてくれぇぇぇ!!!」
「はぁ、はぁ、はぁ」
後ろに逃げ道はない。
前には、サラマンダーが三人。
「悪いがこっちも任務だからな。金とアイテムを置いていけば見逃す」
「何、紳士ぶってんだよカゲムネ」
「女、相手なんてチョー久しぶりじゃん!殺しちゃおうぜ」
一人を除いては、あたしを殺す気のようだ。
チッ!
舌打ちを鳴らす。
「あと一人は絶対に道連れにするわ。デスペナルティの惜しくない人からかかってきなさい!!」
「気の強い子だな。......仕方ない」
三人が一斉にこちらに巨大な槍を向ける。
私は長剣を大上段の構える。長剣でどこまでいけるかはわからないけど、最後まで諦めない。
いつ攻撃されてもおかしくない。
そんな沈黙と緊張感がこの場を支配する。だが、沈黙を破ったのは、サラマンダーでも、あたしでもない。
「うわぁぁぁ!!ちょっとそこの赤いの退いてぇぇ!!!」
急に黒い影が飛んできて、サラマンダーの一人を巻き込みながら木に激突する。
「うっ.......あっ.....!やっと止まれた」
黒い影は、プレーヤーだ。黒髪の短髪、背中に初期装備の片手剣と見たこともない長い槍を背負い、黒いコートを身に纏う少年。背中の漆黒の翅それが彼をインプだと教える。どことなくお兄ちゃんに似てるような気がした。
「なにしてるの早く逃げて!!」
「重戦士三人で......って、あれ一人減った?」
少年はキョロキョロあたりを見渡す。
「痛ぇじゃねぇか!!」
少年の後方から吹き飛ばされたサラマンダーが少年に向かい突進。
「あぶない!!」
ランスが少年を貫く........のではなく、少年は姿を消す。
「不意打ちとは、卑怯だな。まぁ、女の子相手に三人で襲うような連中だしな」
「何だと!!」
二人のサラマンダーが少年の方に向かう。
「一人でノコノコ出てきやがってバカじゃねぇのか。望みどおり狩ってやるよ!」
少年に飛ばされたサラマンダーがランスを突き出した。
(やられる!!)
そう思い眼を逸らそうとした........その寸前に信じられない光景が眼の前に広がる。
少年はサラマンダーの突撃で威力の増すランスを素手でガードもなしで止めているのだ。
「こんなもんか.....?」
そのサラマンダーをまるでボールでも投げるように軽く投げ飛ばし、もう一人のサラマンダーと激突させ、地上に落とす。
「ねぇ、その人たち斬ってもいいのかな?」
「えっ!そりゃいいんじゃないかしら?少なくとも先方はそのつもりだと思うけど」
「じゃあ、失礼するよ」
少年は少し笑みを浮かべると背負われる片手剣を鞘から抜きとる。そして、一歩足を出した瞬間、少年が姿を消す。
「き、消えた。うわぁぁぁ!!」
少年は、消えたと思ったらサラマンダーの後ろに現れ、そしてサラマンダーの一人が赤い炎に変わる。炎に変わる。つまり、HPが0になったことを現す。
「次は、どっちだ!」
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