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イベリス

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第七十九話 アイスティーその九

「もうそれこそよ」
「その権力使って」
「茶器を集めて」
「それで凄い集めてたんですよね」
「その多くが本能寺の変でなくなったけれどね」
「何か無常ですよね」
「世の中ってね」
 先輩もこう返した。
「そうよね」
「本当にそうですね」
「ええ、けれど本当に茶器ってね」
「凄いのは凄いですね」
「滅茶苦茶高くて」
 それでというのだ。
「私達なんかだとね」
「とても買えないですね」
「そこまで凄いのよ」
「そうですよね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「そうしたものもある世界なのよ」
「それが茶道ですね」
「そうよ、けれど別に凄い茶器じゃなくても」
 それこそ庶民では想像も出来ないまでに高価なものでもというのだ。
「茶道自体は出来るでしょ」
「そうですよね」
「というか凄い茶器なんか使って壊したら」
「その時が怖いですね」
「そうでしょ、だからね」
 それでというのだ。
「私達みたいな庶民はね」
「使わないことですね」
「そういうのはお金持ちの世界よ」
「本当にそうですね」
「だからそうした茶器のお話は置いておいて」
 そうしてというのだ。
「普通にね」
「茶道を楽しむといいですね」
「そうよ、お茶を飲んで」 
 まさに茶道の本来の目的であるそれをというのだ。
「味を楽しんで目もね」
「覚ますことですね」
「そうよ」
 そうすればいいというのだ。
「私達はね」
「そうしたらいいですね」
「飲んでお茶菓子にも合うし」
「お抹茶やお抹茶で美味しいですよね」
 咲も飲んだことがあるのでこう言えた。
「そうですよね」
「ええ、ただ最初飲んで苦くなかった?」
「凄く」
 咲は少し苦笑いになってそれはと答えた。
「それでこれは駄目だと思いました」
「飲めないってね」
「コーヒーの時も思いましたけれど」 
 それでもというのだ。
「お抹茶の時もでした」
「苦くてね」
「これは飲めないって」
 その様にというのだ。
「子供の頃思いました」
「子供の頃はね」
「はい、本当に」
「それでもですよね」
「飲める様になるでしょ」
「はい」
 咲はまさにと答えた。
「そうなんですよね」
「最初はそう思ってもね」
「飲める様になりますね」
「あれよ、コーラだってね」
 この飲みものもというのだ。
「最初はね」
「変な味って思いますね」
「そうでしょ、けれどそれがね」
「飲める様になりますね」
「不思議なことにね」
「そうですよね」
「あれがね」
 どうにもというのだ。 
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