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レーヴァティン

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第二百六十六話 東に来てその十

「本当にな」
「しないことだな」
「そんなことをするとな」
 英雄はさらに言った。
「長生きはな」
「どうかってなるな」
「煙草はそうしたものだ」
 身体に悪いものだというのだ。
「それはもうだ」
「言うまでもなくてな」
「健康を考えるとな」
 すき焼きの中の茸を食べつつ話した。
「吸わない方がいい」
「その通りだな」
 久志も茸を食べつつ応えた。
「この世界でも言われているしな」
「煙草が健康に悪いことはな」
「いつもな、しかしな」
「そでも吸う奴はいるな」
「だから栽培もされていて」
 煙草がだ。
「幕府も帝国もだよな」
「売っている、実は収入源としてはな」
 その面から考えると、というのだ。幕府も帝国も煙草は政権の専売としていてそこから収益を得ているのだ。そうした意味で塩や鉄と同じである。
「無視出来ない」
「そっちで考えるとな」
「だが俺達はな」
「皆吸わないな」
「それぞれの嗜好とだ」
 それにというのだ。
「健康等のことを考えてな」
「そうだよな、それはこの世界でもわかっているけれどな」
「スウ奴は吸う」
 そうしたものだというのだ。
「煙草というものはな」
「そうなんだよな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「吸いたい奴はだ」
「吸えばいいな」
「俺はそう考えている」
「身体に悪くても吸いたいならな」
「そうだ、男も女もな」
 身体に悪いことがわかってのうえならというのだ。
「吸えばいい」
「そうなるな」
「誰でもな、それでだが」
 英雄は酒を飲みつつこうも言った。
「俺としては気になることがある」
「なんだよ、それは」
「俺は女が好きでだ」
 このことをここで言うのだった。
「よく抱くが」
「毎晩何人もだな」
「娼婦だの花魁はな」
 即ち春を売る女達はというのだ。
「吸う者が多いな」
「そうなんだな」
「どうも起きた世界でもな」
 そちらでもというのだ。
「ある人がそちらに長けていてな」
「風俗だな」
「そうだ、そちらに詳しいが」
「そちらで煙草が関係あるのか」
「どうも吸う女が多いらしい」
 そうだというのだ。
「俺が相手をした女達だけでなくな」
「その人が遊んだ人達もか」
「どうもな」
 こう久志に話した。
「そうらしい」
「へえ、そうなのか」
「ああした世界の女はな」
「煙草吸う人多いのか」
「それで口を吸うとだ」
 接吻ともキスとも言う、そうした行為を楽しむのならば必ず行う行為の一つであり英雄もまた然りであるのだ。
「そうするとな」
「煙草の味がするか?」
「匂いもな」
「口からそうなるか」
「それが独特の雰囲気を醸し出している」
「煙草味のキスか」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「それがする」
「それ美味いのか?」
「味の問題ではない」
 英雄はそこは断った。
「雰囲気だ」
「それの話か」
「そうだ、煙草を吸う女の口はな」
「独特の雰囲気があってか」
「それが娼館や遊郭の中だとな」
 そうしたことを生業としている女達と遊んでというのだ。 
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