綾小路くんがハーレムを構築する話
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あたしたちが『ママ』で清隆が『パパ』で。
AM8:15
俺は廊下の窓から遠い目をして景色を眺める。今日は快晴。雲が全く無い為、空一面に青空が広がっていた。
この時間いつもだったら教室の机で頬杖をついて、朝のホームルームが始まるまでのんびりと景色を眺めていたに違いない。
ただそれは……『いつも』の日常だったらの話しだ…。
ゆい「パパみてみて~♪ママとわたしのかみがたいっしょだよー?うれしいー♪」
まき「パパとママがいっしょだとあんしんするねー♪」
ちなつ「ほんとほんとー♪」
あおい「パパー!ママのおかおまっかだよー!」
ななみ「ねーねー♪パパとママはいつからなかよしなのー?」
はるき「きよぽんパパもママもめっちゃおどろいててたのしい~♪」
あかり「おかあさんもおとうさんもいっしょにいるのはこころづよいね!」
ひまり「この頃からお父様はお母様とご一緒なのですか?」
みく「なぁなぁ、かあさんたちうごかないけどだいじょーぶなのかー?」
かすみ「びっくりしてるだけだしだいじょーぶでしょ。」
つくし「ママもパパもおどろくなんてさいこー♪」
ちか「たのしいねーさなちゃん!」
さな「……たのしいのは、ちかたちだけだ。」
みすず「呑気すぎ……楽しんでる場合では全く無いんだから。」
クリス「大丈夫ですよ♪お父様が何とかしてくれますから♪」
綾小路「……」
今の俺の日常は音を立てて崩れ去ってる真っ最中だ。急に現れた『未来』からやってきたと言う『少女』たちによって。
つい、昨日まではいつもの日常だった筈なんだがなぁー……それがどうだ?一気に俺を中心にこの騒ぎだ。俺が普通の感性を持つ人間だったらこの場で頭抱えて狼狽えていたかもな…。
まぁ、現在進行形で頭抱えているのは……恵たちなんだが…。急に現れたゆいたちに『ママ』呼ばわりされて真っ赤な顔で取り乱して固まっている。
最初の方こそ俺に噛みつかんばかりに説明を求めてきた恵たちだったが……ゆいたちが俺に向かって『パパ』宣言したのが止めになったみたいだな…。
柴田「お、おい!今、綾小路のことパパって呼んでなかったか?」
神崎「確かにそう聞こえたが…」
平田「何だか大変な事になってきたね……」
池「くそー!綾小路の奴あんなに可愛い女の子たちとイチャイチャしやがってー!」
須藤「寛治……お前ロリコンかよ。」
橋本「ははは!こいつは良い。俺たちをこんなにも楽しませてくれるなんてキング様は最高だぜ。」
周りの生徒たちの反応の大半は驚いてるようだったが……明らかに面白がってる反応の奴も居る。他人事だと思っていい気なもんだ…全く。
しかし、これどうすればいいんだ?騒ぎが人を呼んで、生徒が続々と廊下に出て来る始末。普通だったらこの場で先生たちが諌めたりするのだろうが……それは期待出来ない。
現に、教師である茶柱と星之宮の両名は恵たち同様固まってしまってる……さて、どうするか。すると…
眞島「お前たち。廊下でこれ以上騒ぐんじゃない。」
坂上「眞島先生の言う通りだ。即刻自分の教室に戻るんだ。」
茶柱「……眞島先生。」
星之宮「坂上先生も!」
俺がどう動くべきか悩んでいたところでタイミング良く、Aクラスの担任の眞島先生とBクラスの坂上先生が現れた。
ここで先生方の登場は有り難い。
二人の先生は周りの生徒たちを制して俺たちの元にやって来た。
眞島「本当に小さな子供が忍び込んでいるとはな…」
坂上「監視カメラで一度確認したとは言え……驚きですね。」
眞島先生たちは、一通りゆいたちを確認してそう言った。
そして、一呼吸置いてからこう告げてきた。
眞島「茶柱先生と星之宮先生のお二方にはここに居る子供たちと共に視聴覚室で待機していて下さい。これは理事長のご指示ですのでお願いします。お二方の受け持つクラスのホームルームは私と坂上先生で対処しておくので安心して下さい。」
茶柱「……承知しました。よろしくお願いします、眞島先生、坂上先生。では、行きましょう星之宮先生。」
星之宮「了解♪それじゃあ~子供たちは私が先導するね~サエちゃん♪皆~私についてきてくれるー?」
理事長……月城の指示か。この場合、理事長として無難な対応だと俺は思う。子供のお守りをするなら男より女性の方が安心すると考えるのも納得がいく。
眞島先生の指示を仰いだ茶柱は頷き星之宮は、ゆいたちに優しく問い掛けた。
しかし……
クリス「それはお母様たちもご一緒なのですか?」
星之宮「んーと……坂柳さんたちは今から授業始まっちゃうし…ここで一旦、お別れかな?」
ちか「えー!それじゃ、ほかのみんながかわいそうだよーママ!ねーさなちゃん?」
さな「ちか、いまはいうとおりにしないとダメだ。そうじゃないと、おとうさんたちにめいわくがかかるんだぞ?」
ゆい「でも、わたしはママとパパがいっしょじゃなきゃヤダ~!」
あおい「ママとパパがいっしょじゃないといみないもんねー?」
まき「ママたちのそばをはなれたくなーい!」
はるき「わたしもきよぽんパパといっしょがいいな~♪」
あかり「わ、わたしもおとうさんたちとはなれたくないです…」
みく「とうさんとかあさんがいっしょじゃなきゃ、あたしはうごかないぞー!」
恵たちの脚にぴったりと密着して離れたくないとごねるゆいたち……そんな事言ってる場合じゃないんだがな…。
ゆいたちは今、目の前に置かれてる状況を理解して無いだけかもしれないが。
星之宮「えー!?うぅ……どうしよう、サエちゃん?」
茶柱「困ったな……」
坂柳「先生方。私たちはこの子たちと一緒に居ても構いませんよ?」
神室「はぁ?……あんた本気?」
坂柳「ええ♪小さなお子さんたちにこんな事言われたら断れませんわ♪」
一之瀬「それもそうだね!それなら私たちもついて行っても大丈夫ですよ、星之宮先生!」
櫛田「私もー!」
朝比奈「ま、乗りかかった船って奴?私も大丈夫ですよ~」
椎名「私もついて行きます。今は押し問答を繰り返していても話しが進まないでしょうし。」
ごねるゆいたちを見て、有栖たちは茶柱にゆいたちと一緒に居ても良いと言ってくれた。
有栖は、何処か楽しそうに微笑んでいたのは気になったが……
これは本当に助かる。今は一刻も早く、この場から脱したいからな…。
堀北「そうね。それに……そこでずっと黙りを決め込んでる彼に聞くことが山程あるもの。」
長谷部「確かに。ここじゃ、色々聞きにくいしね~」
佐倉「う、うん…」
鈴音が俺を睨みながら言った後、他の女性陣も俺を見てきた。
それはもう食い入るように。
別に黙りを決め込んでた訳じゃなかったんだが……
茶柱「……やむを得ない。堀北たちにもついて来て貰おう。綾小路は言わずもがなだが。」
星之宮「OK♪じゃあ、一之瀬さんたちはこの子たちと手繋いでてね~。はぐれたりすると大変だから♪」
星之宮の一言で帆波たちは、ゆいたちと手を繋いだ。茶柱や鈴音は遠慮がちに繋ぎ、真澄と伊吹は有栖とひよりに繋がされていた。
ゆいたちは帆波たちが自ら手を繋いでくれたことに喜んでる様子だった。その状態で、星之宮を先頭にして並んで視聴覚室に向かう。
俺は一番後ろで星之宮たちを眺めていたら……
眞島「……綾小路。理事長がお前を呼んでいる。後で、理事長室に向かってくれ。」
綾小路「……分かりました。」
すれ違い様に眞島先生にそう言われて、俺は小声で返事をした。
予想はしていたが、やはりこうなるか……俺がこの件の重要参考人なのは一目瞭然。接触を試みようとするのは当然だ。
まぁ、それと同時に俺が騒ぎの中心になってる事に興味を持ってるのかもしれないが。何にせよ……これから面倒な事が沢山あるのは間違いないな…。
そんな気持ちを抱えて、無数の視線を浴びながら俺は視聴覚室に向かった。
視聴覚室。
ガラッ……!
ゆい「おー!けっこうひろーい♪」
かすみ「ま、わるくないかも。」
まき「おにごっこできそー♪」
ちか「おにごっこやろーやろー♪」
つくし「わたしもやるー!」
みく「あたしはぜったいまけないぞー!」
さな「おにごっこはダメだぞー。ちゃんとおとなしくしてないと。」
ひまり「私としては図書室に行ってみたかったです…」
ななみ「にはは♪ひまりちゃんは、ほんよむのだいすきだもんねー?」
視聴覚室に着いた俺たちは、中に入った。最初にゆいたちが入り、その後恵たちが中に入った。
視聴覚室に入った瞬間、ゆいたちは子供らしくはしゃぎ始めた。元気一杯で何よりだ……うん。
そして、最後に俺が扉を閉めて入ると……
「「「「「「「「……」」」」」」」」
恵たちは一斉に俺に視線を向けて来た。全員無言で此方を見ているので、いつもより数倍怖いし……圧力が凄い。
その目からは正に『今すぐ説明しろ』と言わんばかりの強い意思を感じた。
とりあえず、最初は……
綾小路「……色々と捲き込んでしまって本当に申し訳ない。」
一之瀬「……清隆くん。謝らなくても私たちは全然大丈夫だよ!」
椎名「そうですよ。私たちは怒ってなんかいませんよ。」
伊吹「捲き込んでくれた責任として、1発蹴り入れても良いわよね?」
星之宮「あらあら~先生が見てる前で暴力はダメよ~♪やるんなら見てないところでやらないと♪」
俺は捲き込んでしまった事への謝罪をした。それはもう誠心誠意頭を下げて。
帆波たちにとって、登校していきなり、こんな事に捲き込まれた訳だからな……
そんな俺に優しく声を掛けてくれる帆波やひよりは天使なのか…
堀北「清隆くん。今はそんな謝罪は必要ないわ。とにかく、早く説明してくれないかしら?」
朝比奈「それは私も知りたいなぁ~」
軽井沢「そうよ!こっちは何がなんだかさっぱり分かんないだから、どういう事なのかちゃんと説明してよ、清隆!!!」
俺がそんな風に思ってるのも束の間、恵たちが一気に詰め寄っててきた……凄い形相だ。早く説明しないと何されるか分からないな、これ。
さて、問題は……どう説明するか?だ。
ゆいたちは未来から来たらしい……俺が連れて来た訳では無く、突然ここに現れたんだ……って言ったら益々恵たちは混乱するよな?
だが、ここに居る全員にはちゃんと説明しないと駄目だよな?直ぐに信じてくれないだろうが……ここは…
綾小路「それについてなんだが驚かないで聞いてくれ。実は……」
『2年Dクラスの綾小路清隆くん。至急理事長室に来て下さい。』
俺が話そうとしたタイミングで俺を呼び出す校内放送が鳴った。
月城め……俺が未だに理事長室を訪れてないからといってこんな手段を取るとは…嫌な奴だ。
まぁ、今は後回しだ。先に恵たちに説明を…
『繰り返します。2年Dクラスの綾小路清隆くん。至急理事長室に……』
軽井沢「清隆……めっちゃ呼ばれてるけど?」
長谷部「なんか、しつこいくらいきよぽんの名前も連呼してるね~?」
星之宮「綾小路くん、早く行った方が良いんじゃなぁーい?」
綾小路「いえ……先にこうなった経緯を説明しないと…」
椎名「清隆くん。私たちより先に理事長さんにご説明をした方が良いと思います。」
茶柱「綾小路。椎名の言う通りだ。まずは理事長に説明してこい。それにこの子たちについて他に何か指示があるかも知れないからな。」
茶柱の言うことも一理あるが……月城を買い被りすぎだ。これはただの嫌がらせに過ぎないだろう。
流石にこのまま校内放送で呼び掛け続けられるのは少々面倒だ。
今はひよりたちの厚意を素直に受け取ろう。
綾小路「……すみません。では、先に理事長室に向かわせて貰います。」
堀北「大変、遺憾だけど仕方ないわね……でも、帰ってきたらゆっくり話しを聞かせて貰うから。」
鈴音、伊吹、真澄は不満そうな表情だったが渋々承諾してくれた。
俺は鈴音の言葉に頷いて、視聴覚室から出ようとしたら……
ゆい「パパ?ゆいたちをおいてどこいくのー?」
ななみ「もしかして……わたしたちのせいでおこられちゃうの?」
ちか「えぇー?」
あおい「パパなんにもわるいことしてないよー?」
まき「そんなぁ…」
ゆいたちが俺の前に立ち塞がった。ゆいたちの様子はさっきと違って元気が無い。
俺が校内放送で呼び出されてる事で何かを察知したのかもしれない。
ここは俺が言葉を掛けておこう。ゆいたちを心配させないようにしっかりと力強く。
綾小路「心配いらない。ちょっと話しをしてくるだけだ。直ぐに帰って来るからここで待っててくれ。」
ゆい「……うん、わかった!みんなと、まってる!」
ななみ「にはは♪パパがそういうんならわたしちゃんとまってるー!」
あおい「わたしもパパのことまつー!」
はるき「きよぽんパパならしんぱいいらないしね~♪」
あかり「そうだよね!」
ちなつ「パパはやくかえってきてね?」
みく「べ、べつにさみしくないし!」
俺は、ゆいたちの目線に合わせて出来る限りゆっくり丁寧に伝えた。すると、安心したのか泣きそうな雰囲気だった様子が笑顔になったので良かった。
恵がずっと此方を凝視していたので俺は『子供たちの事を頼む』と眼で伝えた。恵は直ぐに視線を逸らしたが、多分伝わっただろう。
綾小路「……じゃあ、行ってくるから良い子にしてるんだぞ?」
『はぁーい♪×9』
ゆいたちの元気な返事と『いってらっしゃい~♪』と言う声を受けてから俺は視聴覚室を出た。
娘が休みの日に仕事に出掛ける父親のような気分だなー……これ。何とも不思議な気分だ。
くいくいっ……
俺がそう考えてると何やら制服のズボンの裾を引っ張られた感触を受けた。目線を下に落とすと……
クリス「お父様抱っこして下さい♪」
ひまり「私もお願いします、お父様♪」
クリスとひまりが可愛く抱っこしてと言いながらアピールしてきた。
いつの間に視聴覚室を出てたんだ?俺は自分だけ出たつもりだったんだが…
油断も隙もないな……。
綾小路「あー……今はゆいたちと視聴覚室で待っててくれないか?抱っこは……その…後で必ずしてやるから。」
ひまり「嫌です、お父様♪」
クリス「私たちもお父様と一緒に理事長先生にご挨拶に行くのですから♪」
俺は、やんわりと否定して視聴覚室に戻るように促したが拒否された。
しかも、俺について来る気満々だ……
綾小路「あのな……これは遊びでは無いんだぞ?」
クリス「それは分かっていますよ、お父様。ですが、ここは当事者である私たちもついて行った方がご説明しやすいと思います。」
ひまり「一緒に行かせて下さい、お父様。お願いです!」
脚に巻き付きながら一生懸命アピールするクリスとひまり。俺がここで冷たく突き放してもこの二人は無理矢理にでもついて来ようとするかも知れない。なら、連れて行くしか選択肢は無さそうだ。
幸いクリスとひまりなら連れて行っても大丈夫だろう(ゆいたちに比べて大人しそうという意味で)
勿論、月城にこの二人を会わせるのは危険かも知れないが……俺が側に居れば何も問題は無い。
綾小路「……分かった。但し、絶対俺の側を離れるんじゃないぞ?」
クリス ひまり「「はい、お父様♪」」
二人は静かに頷いて返事した。恐らく、ゆいたちにバレないように注意したのだろう。
二人は抱っこしてポーズを取り続けたので俺は右腕にクリスを左手にひまりを抱っこして理事長室に向かった。
AM8:40
今のあたしは不機嫌だった。いや、正確には『あたしたち』かな?今頃、朝のHRが始まり茶柱センセが一人一人点呼してる時間。
あたしはHRって好きじゃない。それが終わったらダルくて長い授業が始まるから。でも、今となってはその当たり前の日常が恋しくなってくる。
だって……あたしは……あたしたちは今…
あおい「ねーねー!だるまさんがころんだしよーよ♪」
ちなつ「いいねー♪」
まき「やろーやろー♪」
はるき「きよぽんパパかえってくるまでひまだもんね~あかりもやろ~♪」
あかり「うん!」
ちか「さんせーい♪それならみすずちゃんたちもうるさくいわないし!」
一之瀬「じゃあーお姉さんがして鬼してあげよっか?」
櫛田「じゃあー私も手伝うよ、帆波ちゃん!」
ななみ「わぁーい♪ママもしてくれるのー?うれしい~♪」
一之瀬「ありがとう桔梗ちゃん♪それじゃあ~皆!奥の壁まで下がってね~?」
「「「「「「きゃー♪」」」」」」
あたしたちの前に現れた小さな子供たちと一緒に視聴覚室で待機するという謎の状況に巻き込まれてしまったから。
あたしたちはいつも通り学校に来ただけなのに?急にこの子たちに『ママ』呼ばわりなんてされて?訳も分からないまま一緒に居る羽目になるなんて……どういう状況よー!!!
こんな状況でも小さな子の相手をする一之瀬さんたち優しすぎよね。
この子供たちの事を知ってるであろう清隆は理事長に呼ばれて出てくし……なんなのよ、もうー!
軽井沢「はぁー……なにがどうなってるんだか…」
ゆい「ママー!!!」
あたしがため息をついてると茶髪でポニーテールに纏めた女の子がこちらにやって来た。
あたしの事を『ママ』と大きな声で言いながら。だからそのママってなんなのよ~……ママになった覚えは無いっての!
軽井沢「えっと……どうしたの?」
ゆい「あのね!だるまさんがころんだしてたんだけどね!ゆい、まけちゃったからママのとこにきたの!」
軽井沢「そ、そうなんだ……残念だったね?」
はやっ!始めたばっかでもう負けたんだ……弱いわね。
見た感じこの子たちの中で落ち着き無さそうだもんね。
なんか小さい頃のあたしに似てるなー……てか、この子初めて会った気が全くしないのよねー…気のせいなんだろうけど。
ゆい「でも、いいの!ママといっしょにいれるから!えへへ♪」
軽井沢「……//////」
あたしに笑顔を浮かべながらこの子は言った。ちょっと……可愛すぎるんですけどー//////!
ヤバい……スッゴく抱き締めたい衝動にかられちゃうぅ//////
煩悩を振り払うのよ、あたし!あのバカ(清隆)が帰ってくるまであたしも普通に接しながら待ってないと……ん?
星之宮「それにしても~一体この子たちは何処から入り込んだのかしらね~?」
茶柱「さぁな。今は新しい指示があるまで大人しく待機するのが得策だ。」
星之宮「えー?でも、気になるじゃない?綾小路くんと親しげな子たちも私たちの事を『ママ』って言って来る理由も。」
茶柱「それは…」
あたしが煩悩を必死に振り払っていたら、茶柱センセたちの話しが聞こえた。
まぁ、確かにこの子たちがどうして学校に現れたのかは気になるわよね~……この学校は普通とは異なる造りだし、忍び込むなんて無理よね?
すると…
坂柳「先生方。この子たちに今一度聞いてみるのはいかがでしょう?」
星之宮「それもそうね。聞くだけ聞いてみましょ♪みんなー!ちょっとこっちに来てくれるー?」
ちか「ママがよんでるー!さなちゃんいこ!」
さな「ひっぱらなくてもじぶんであるく。」
ななみ「みんなー!いったんちゅうしー!」
あおい「なんだろねー?」
みく「ちぇっ。せっかくタッチできそーだったのによー!」
ちなつ「またあとでやろ!」
坂柳さんの意見を元に星之宮先生が子供たちを呼び掛けた。だるまさんがころんだをしていた子供たちだったけど、星之宮先生の元にすぐに集まった。
これくらいの子供って素直で可愛いわね……ほんと。
あたしもポニーテールの女の子と一緒に星之宮先生の所に行った。
星之宮「あらあら~みんな偉いわね~♪」
坂柳「ふふ♪とても可愛らしいですね♪」
ちか「ママー!なんでよんだのー?ちかたちに、おはなしがあるの?」
星之宮「そうなのよ~。先生たちね、皆に聞きたいことがあるの!」
ちか「ききたいこと?」
ゆい「あ!わかったー!なんでゆいたちがここにいるのか、しりたいんでしょー?ねぇーママ?」
軽井沢「え?あぁ、うん……そうね。」
急に話しを振られたあたしはとりあえず、相づちを打った。
実際、心情としては物凄ーく知りたいんだけど……出来れば清隆から聞きたいってのが本音。
この子たちの話しだけじゃあまり信憑性なさそうっていうか……
あおい「じゃあ、ママたちにおしえてあげよーよ!」
ななみ「パパいないけどいいのかな?」
かすみ「いいんじゃない?はやくおしえてあげたほうがいいとおもう。」
ちなつ「でも、ママたちまたびっくりするんじゃないかな?」
つくし「そうだね~♪」
ゆい「じゃあ、ゆいがだいひょうしてママたちにつたえるねー?みすずちゃんいーい?」
みすず「はぁ……止めてもどうせ話すんでしょ?但し、お母様たちに詳しく聞かれたら私が説明するからね?」
あたしが知りたいと頷いてしまったせいか、話してくれる方向性で固まったみたい。
まぁ、そっちから話してくれるならそれはそれでいっか。
話してる内にあたしたちの事をママ扱いしてる理由も聞けるかもだし……うん。
ゆい「わかったー♪えっとね!ゆいたちはねー……みらいからきたんだよーー!!!」
『…………!?×13』
ゆいと言われてる女の子が元気良く言った瞬間、一気に視聴覚室が静かになった……
それもその筈……だって……今、ハッキリと『みらい』から来たなんて言ったから。そんなあたしたちを他所に女の子たちは元気良く『うん♪』と大きく返事していた。
みらい……みらいねー……みらいかぁー…ん?
はぁーーーー!?未来ってあの未来よね?いやいやいやいや……有り得ないでしょーが!!!
坂柳「おやおや、そうなんですか。ふふ♪これは凄い事実が発覚しましたね~♪」
椎名「未来から来たとは……凄いですね?」
ゆい「うん!しんじてくれる?」
坂柳「勿論信じますとも、お嬢さん♪では早速清隆くん……いいえ、私の未来の旦那様の話しを詳しく教えて頂けますか//////?」
あたしたちが衝撃のセリフに驚いてる最中、坂柳さんと椎名さんは然程リアクションをせずに普通に信じていた。
笑顔で話しを続ける坂柳さんたちにあたしはたまらず…
軽井沢「ちょっと、ちょっと!!!坂柳さんたちなんでそんなに普通なの!?今の話しちゃんと聞いてた?」
坂柳「勿論です♪この子たちは『未来』からやって来たと言った事ですよね?私は信じますよ♪」
軽井沢「いや、なんで簡単に信じてるのよ!?わかってんの?てか、それともなに?本当は信じてないとか?いや、あたしも良く分かってないんだけど……その…えっと…」
椎名「落ち着いて下さい。この子たちが怖がってしまいますよ?」
軽井沢「う……」
坂柳さんたちに噛みつかんばかりの勢いで問い詰めてしまっていた。
自分でも有り得ないくらいあたしはテンパってしまっていた。今朝この子たちにあたしたちの事を『ママ』を呼ばわりされて固まってしまった時くらい。
坂柳「皆さんが驚く理由も分かりますし、『未来』から来たと言われて簡単に信じられない事も良く理解出来ます。ですが、この状況を考えてみればそれ以外説明がつかないと思いますよ?」
神室「……説明がつかないってどういうことよ?単に学校に迷いこんだだけって線も考えられるでしょ。」
坂柳「いいえ、それは有り得ません。この学校のセキュリティは他の学校とは比べ物になりませんから。小さなお子さんたちだけで学校に侵入は出来ませんよ。それは先生方も良く解ってる筈では?」
茶柱「それはそうだが……」
確かに言われてみたらその通りかも……ここは政府に認められた学校で、学校全体が超ハイテクな上に監視カメラの数も尋常じゃない。
小さな子供だけじゃ、忍び込むなんて芸当到底出来ないとあたしも思っていたけど……
それだけで簡単に信じるのもちょっと無理がある気が…
軽井沢「だ、だからといって未来から来たと断言出来ないんじゃ…」
坂柳「あら?それならこの子たちに証明して貰えばいいではありませんか♪未来から来たと言う根拠を。お嬢さん方、私の方に来て貰えますか?椎名さんも手伝って下さい。」
「「「「「「「「?」」」」」」」」
坂柳さんが何やら自信あり気にそう言うと、子供たちを集めて一人一人に耳打ちし始めた。椎名さんにも手伝って貰っていた。あたしたちには聞こえないように注意していた。
なに話してんだろ?ってかそんな簡単に証明するなんてムリだと思うけど……子供たちが『未来』から証拠になるようなものなんて持ってないっしょ。
坂柳「……と言うわけです。これなら皆さんに貴女方が未来から来たと証明出来ると思います。出来ますか?」
ゆい「わたしたちそういうのとくいだよー!」
まき「やれるー!」
あおい「できるよー!」
かすみ「……まぁ、できるけど?」
みく「よっしゃー!それをかあさんにいえばしんじてもらえるんだなー?」
ちなつ「きっとしんじてもらえるよ!」
つくし「わたしもがんばろっと♪」
ななみ「にはは♪まかせてー♪」
みすず「お母様に信じて貰う為なら…」
ちか「ちかもがんばるー!」
さな「ちか。おかあさんに、ごかいがうまれないようにちゃんとはなすんだぞ?」
あかり「ちゃんとおかあさんに、はなせるかな…」
はるき「だいじょーぶ、だいじょーぶ♪いざとなったらわたしもてつだうから!」
坂柳「ふふ♪頼もしいですね。ではよろしくお願いしますね?」
『はぁーい♪×9』
坂柳さんたちの話しが纏まったのか、子供たちの元気一杯の声と共に一斉に散らばって行った。
子供たちが、それぞれ『ママ』や『お母様』と呼んでいたあたしたちの元に。
無論、あたしも例外ではなく……
ゆい「ママ!こっちきてー♪」
軽井沢「ちょ、ちょっと急にどうしたのよ…」
あたしはグイグイと手を引かれて皆といた場所から離れたところに連れられた。
周りの皆も同様に子供たちに手を引っ張られて連れられていた。
なんなのよ、急に…
ゆい「ここまでくれば、みんなにきかれないよね?えっとね、あのね……わたしのなまえは、あやのこうじゆいっていうのー♪」
軽井沢「綾小路……ゆい?そ、そうなんだ…」
奥の方に移動し終わった瞬間、この子が自己紹介してきた。
急に改まって自己紹介されてもこっちがびっくりするだけで……てか、綾小路ってまぢなの!?
これって……あたしも自己紹介するべきなのかな?そういう流れだし…
軽井沢「あ、えっと……あたしの名前はか…」
ゆい「あーーー!ダメー!」
軽井沢「……へ?ダメ?」
ゆい「ゆいがね、ママのおなまえをあてるの!ぜったいにいわないでね、ママ!あとみみかしてー!」
軽井沢「あ、はい…」
名前を言おうとしたら全力で拒否られたあたしは、この子の勢いに呑まれて敬語で返事していた。
名前を当てるって……この子があたしの名前なんて分かる筈ないでしょ…。あたしたちは今日初めて出会ったのだから。
これがさっき坂柳さんが耳打ちしていたことなの?はぁー……そんなの無理に決まってじゃん。
あたしは軽くそう考えながらこの子に耳を寄せた。すると……
ゆい「ママのおなまえはー……かるいざわけい!あ!いまはあやのこうじけいだ!」
軽井沢「……え゛!?」
ゆい「あとね、ママのおたんじょうびは3がつ8かのうおざ!」
軽井沢「はぁーーー!?」
ゆい「これでしんじてくれたーママ?」
軽井沢「ちょ、ちょちょちょっと待って!一旦、頭の中整理させて!!!」
ゆい「いーよー!」
あたしは一旦、落ち着こうと頭を抱えてしゃがみこんだ。あたしの思いとは裏腹にこの子……ゆいはあたしの名前を言い当てた。
な、名前だけならまだしも……いや、でも今日あたしは誰からも苗字や名前で呼ばれてない。清隆があたしの事を教えた線も薄そう…。
しかも、誕生日まで完璧に当ててくるなんて……えっ!?待って……じゃあ、まさか……ほ、ほほ、本当に……あたしの未来のこ、ここ、こども//////?
軽井沢「そもそも清隆があたしの誕生日わざわざ教える訳ないし……てことは……清隆とあたしは……ゴニョゴニョ//////」
ゆい「ママー?」
軽井沢「……だ、だだだ、だいじょーぶぶぶ…//////!」
ゆい「じゃあ、みんなのとこにもどろ!」
本当は全然、全く大丈夫じゃなかったんだけど(狼狽えすぎて語尾がマシンガンみたくなってる)ゆいは構わずあたしの手を引いて歩いた。
頭の中はぐちゃぐちゃな状態なので、皆のとこ戻るまで絶対に冷静でいられないかも……//////
そうあたしが考えていると、皆とさっき集まっていたスクリーンの場所に着いた。あたしが最後だった。
そして、一之瀬さんたちの様子はと言うと……
一之瀬「にゃはは……まさか私の名前と誕生日当てちゃうなんて…//////」
櫛田「……私なんか好きな食べ物もだよ//////」
松下「私なんて好きな服のブランド当てられたんだけど…」
佐藤「どうして私の名前をピンポイントで当てれちゃうのぉ…」
長谷部「あはは……驚きだよね…」
佐倉「私も名前当てられちゃった(名前は名前でもグラビアアイドルの雫の方だったんだけど……うぅ//////)」
伊吹「あたしは名前の他に……習ってた格闘技当てられた…」
神室「なんでココア好きなの知ってんのよ…」
堀北「どうして兄さんの名前を…」
朝比奈「お姉さんは、ちょっと驚き過ぎて腰抜けたよ。」
星之宮「私は好きなお酒の銘柄当てられちゃった~♪すごくなーい?」
茶柱「なぜ、私の情報を知って…//////」
坂柳さんと椎名さん以外の全員はあたしと同じように狼狽している様子だった。
皆も同様に名前や誕生日、それぞれの好きなものって言うか、特定出来るものを当てられたみたいね……
坂柳「ふふ♪これで皆さんもこのお嬢さん方が未来から来たと言う事信じる気になったでしょう?」
堀北「……あ、あなたはこれが狙いだったの?」
坂柳「そうです♪お嬢さん方に貴女方の情報を話してみては?と私が進言したのですよ♪本当に未来から来たのであれば、母親とお慕いする貴女方の情報なんて直ぐ言えるでしょうから。」
椎名「皆さんのお名前とお誕生日など当てられたとなればこれはもう信じる以外ありませんよね?」
なるほどね……確かにこんなの当てられたら信じるしかない。
だって、フルネーム+誕生日だもんね……会ったばかりの子が普通そんなの知ってる訳がない。
ましてや、こんな小さな子供なら尚更ね…
櫛田「てことは……本当に私たちの未来の子供ってこと//////?」
一之瀬「しかもお父さんは……清隆くん//////」
『……////////////×11』
一之瀬さんたちのその一言であたしたちは……
一気に気恥ずかしさがMAXになって顔を覆った。
ゆい「ママたちかたまっちゃったねー?」
はるき「きよぽんパパみたいにすぐふっかつするのは、むずかしそうだねー?」
ななみ「にはは……ママたちはちょっとじかんかかりそうかも…」
かすみ「そのうちれいせいになるんじゃない?」
みすず「今はお母様たちの考えが纏まるまでそっとしておきましょう。」
あおい「パパはすぐしんじてくれたのにねー?」
つくし「パパはふつうじゃないからね~♪」
あかり「それってほめことばなの?つくしちゃん?」
みく「まぁ、とうさんはスゴいからな!」
まき「パパいつかえってくんだろ?」
ちなつ「きっとすぐもどってくるよ。」
坂柳「ふふ♪清隆くんなら心配要りませんよ。……私たちの『未来』の愛娘がついてるようですし♪」
椎名「ご迷惑かけてないといいんですが…」
ちか「そういえば、クリスちゃんとひまりちゃんがいないねーさなちゃん!」
さな「いまさらきづいたのか?」
みすず「あの二人の事だから大丈夫よ。私たちはここでお父様たちを待ってましょう。」
坂柳「ふふ♪では、清隆くんが帰って来るまで……未来の旦那様である清隆くんの事を教えて頂きましょうか//////♪」
椎名「いいですね//////♪きっと軽井沢さんたちも詳しく聞きたいでしょうし……皆さんよろしくお願いしますね?」
あたしたちとは裏腹に元気な坂柳さんたち。あたしたちは未だに現状を理解するにはちょっと時間が必要だと思う。
ゆいは……あたしたちの『未来』から来た子供で……『ママ』があたしで清隆が『パパ』って…
ヤバいヤバいヤバいぃ~////////////!
そんなことってありえんの?未来では清隆とあたしの間にこんな可愛い子が産まれてるなんて……サイコーなんですけどーーー//////!!!
あたしの脳内キャパオーバーしてるんですけど!?どうしてくれんのよーーー!きよたかー//////!!!
一方のその頃の清隆は……
ひまり「……お父様?」
クリス「急に振り返ってどうしたんですか?」
綾小路「……なんか、恵たちの声が聴こえたような…いや、まさかな…」
クリス「早く行きましょう♪」
綾小路「あ、あぁ……」
あたし……いや、『あたしたち』が心の中で盛大に悶えてる時…
清隆は直感的に一度振り返っていたと言う。
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