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レーヴァティン

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第二百六十話 条約を結びその十一

「対せばいいのではないかと」
「どちらも問題ってことだね」
「はい」
 自分と同じ鍋をつついている剛に答えた。
「悪意は吐き気を催す邪悪であり」
「狂信は何かな」
「自分が悪と気付いていないドス黒い悪とです」
「結局悪は悪だね」
「悪と言っても様々でありますが」
 それでもというのだ。
「放置しておけない悪という意味では同じなので」
「人も世も惑わして乱してね」
「自分の思う様に動かしてです」
「利用するからね」
「もうであります」
「同じとしてだね」
「対して」
 そうしてというのだ。
「処するべきでは」
「ううん、悪は悪だね」
「人や世に恐ろしい禍を為す類の」
「そうした悪ならだね」
「区分せずにです」
 そのうえでというのだ。
「悪意も狂信も」
「唾棄すべきものってことだね」
「そうした意味では同じですね」
「悪でもね、人間悪でもあるけれどね」
 剛は河豚の骨付きの部分を食べつつ話した。
「大なり小なり」
「誰でもでありますね」
「悪いことをしたことない人なんてね」
 それこそというのだ。
「いないね」
「誰一人として」
「命を奪うしね」
「何らかの形で」
「生きているだけで」
 まさにそれだけでだ。
「罪を犯すよ」
「そうであります」
「けれどだね」
「そうです、悪意を以て人や世に禍を為す行いや」
「おかしな考えに染まってね」
「人や世に犠牲を強いて平然とするなら」
「もうどっちもだね」
「どちらがより悪いのかではなく」
「もう一緒にだね」
「処するべきとです」
 その様にというのだ。
「考えているであります」
「君はそうだね」
「はい、それにどちらも考えは違っていても」
 悪意と狂信、その違いがあるというのだ。
「行いは似ているであります」
「人を犠牲にしても何とも思わないで」
「どんな汚いこともするであります」 
 悪意を以て動く輩も狂信者もというのだ。 
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