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レーヴァティン

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第二百六十話 条約を結びその十

「狂信者と悪意ある人のどちらがより問題か」
「難しいですね」
 夕子も唐揚げを食べつつ応えた。
「そうですね」
「どちらも害と言えばです」
「同じですが」
 唐揚げ、醤油をかけたそれを食べながら言った。
「どちらがよりと言われると」
「難しいですね」
「全くです」
「悪意ある輩は確信犯で悪事を行います」
「狂信者は自分は絶対に正しいと思っています」
「そのどちらがより問題か」
「難しいです」
 その判断はとだ、夕子は言った。
「まことに」
「どちらもどんなことでもしますが」
「嘘を流すにしても」
「悪意と狂信どちらが問題か」
「わかりにくいです」
「まことに」 
 こう話してだった。
 紅葉は天麩羅をまた食べて夕子に話した。
「河豚の様にどうにかなりませんね」
「河豚は毒はありますが」
「はい、毒のある部分を除きますと」
 そうすればというのだ。
「美味しく食べられます」
「この様に」
「あたると死にますが」 
 鉄砲という名前の通りにというのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「食べれば美味しいです」
「左様ですね」
「ですが悪意ある人や狂信者は」
「何をしてもです」
 それこそとだ。夕子も応えた。
「どうにもなりません」
「左様ですね」
「そこをどうするか」 
 それがというのだ。
「政の一つです」
「全くですね」
「悪意がある場合も問題ですが」
「狂信もまたです」
「悪を為さんとして為しても」
「悪を思わず悪を為してもです」
 そのどちらでもというのだ。
「害は及びます」
「そうなりますからね」
「どちらがより問題かというと」
「難しいですね」
「もうそこは簡単にであります」
 峰夫は鍋の中の豆腐や葱、菊菜を取ってだった。
 そのうえで自分の椀に入れて河豚も入れてだった。大根おろしとぽん酢で食べつつこう言ったのだった。
「どちらもです」
「問題としてかな」
「同じ様に考えてであります」
 悪意も狂信もというのだ。 
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