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レーヴァティン

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第二百六十話 条約を結びその四

「こっちは河豚料理を中心としてね」
「東の浮島の料理をやな」
「出したのよ」
「お刺身に天麩羅にお鍋に」
「他のもね」
「お豆腐もあるな」
 見ればそちらもあった。
「これもええな、特にな」
「特に?」
「湯葉があるのがええわ」
 美奈代はそちらの料理を見て目を細めさせて述べた。
「ほんまにな」
「あんた湯葉好きなの」
「大好きやで」
 奈央に笑顔のまま言葉を返した。
「ほんまに」
「そうなのね」
「それに河豚な、河豚もめっちゃ好きやし」
「今夜はなのね」
「河豚とお豆腐を中心にな」
 そうしてというのだ。
「楽しむで」
「日本酒もあるわよ」
「尚ええわ、魚介類とかお豆腐にはな」
「日本酒は最高ね」
「白ワインもええけどな」
 それでもとだ、美奈代は話した。
「うちとしてはな」
「魚介類には日本酒ね」
「そや、とはいってもどっかの新聞記者みたいにや」
 美奈代はこうも言った。
「レストランに持ってくとかな」
「それで飲むとかはやな」
「せんわ」
「生牡蠣の時にしたわね」
「あれは野蛮人の振る舞いや」
 美奈代は言い切った。
「うちはそうやないと思うから」
「あんなことはしないのね」
「そや」
 まさにというのだ。
「間違ってもな」
「ああしたことはするものじゃないわね」
「人間性と品性疑われるっていうかな」
「確信されるわね」
「あかん奴やってな」
「人間やったらいかんことがあるぜよ」
 当季は箸を右手に持って右目を瞑って話した。
「それもその一つぜよ」
「そうでござるな」
 進太が応えた、もう食べはじめていて飲んで食べはじめている。河豚料理だけでなく東の浮島の山海の珍味を使ったそれをだ。
 進太も箸を手にしている、そうしてその手を動かしながら話した。
「レストランにわざわざでござる」
「多分持ち込む不可だったぜよ」
「そこに日本酒を持ち込んで」
「これが一番会うと飲むことはのう」
「あちらにはあちらのマナーがあるでござる」
「フランス料理にはフランス料理のそれがあるぜよ」
 まさにそれぞれのというのだ。 
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