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象も猿もわかっている

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第二章

 リサは仕事で一時ジンバブエからインドのビハール州サーサラームに来た、そこでマガバーン=アーメド=ハヌマンという現地の医師の病院で働いていたが。
「キキッ」
「キイ」
「この声は」
 窓から何かの鳴き声を聞いてそちらを見るとだった。
 一匹の猿が小さな猿を抱いてそこにいた、その猿達を見てだ。
 リサはすぐにプリティボーイのことを思い出し助けを求めたのかと思った、すると丁度そこにいたアーメドが言った。
「窓を開けます」
「そうされますか」
「どうもこの子達は母子で」
 そしてというのだ。
「どちらも怪我をしているので」
「はい、この子は頭で」 
 母親と思われる猿はそちらでだった。
「こちらの子は」
「足ですね」
 子供と思われる猿はそこだった。
「ではすぐにです」
「手当てをしますか」
「破傷風の摂取もして」
 怪我をしているのでそこから破傷風菌が入っていると危ないからだ。
「他の手当てもします」
「そうされますか」
「すぐに」
 こう言って自分から窓を開けてだった。
 猿達を病院に迎え入れてだった、すぐに治療を行った。そして暫く病院で母子の猿達を治療してだった。
 完治させた、すると猿達は病院の窓のところに木の実を置いて後にした、アーメドはリサと共にその実を食べつつ話した。
「前にもこうしたことがありまして」
「そうだったんですか」
「その時は雄のラングールでした」
「オアガザルの仲間ですね」
「その猿が来まして」
「手当てをしたんですね」
「はい、猿は頭がいいので」
 その為にというのだ。
「誰が自分を助けてくれるか」
「わかるんですね」
「それで来たのなら」
「助けますか」
「そうします、それはですね」
 アーメドは微笑んでリサを見て言った。
「貴女もですね」
「プリティボーイのことですね」
「はい、象と猿の違いですが」
「そうですね、助けを求めて来たら」
 それならとだ、リサは笑顔で応えた。
「私もです」
「同じですね、ではこれからも」
「人も他の生きものも」
「救っていきましょう」
「そうしていきましょう」
 リサはアーメドに笑顔のまま応えた、そうしてインドでも命を救っていきジンバブエに戻ってもそうした。人であろうとなかろうと。


象も猿もわかっている   完


                   2022・7・25 
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