レーヴァティン

「そうしてだ」
「敗れているな」
「後に勝ったが」
　それでもというのだ。
「神々の主もだ」
「敗れるな」
「そうだ、スサノオも姉には頭が上がらない」
　日本神話の話もした。
「そうだった」
「あれだけ強い神でもな」
「如何に強い神でも敗れる」
「無敵ではないということだな」
「この世に絶対の事柄は少ないが」
「これは絶対のことだな」
「無敵の存在がいないことはな」
　まさにこのことはというのだ。
「事実だ、だからだ」
「海の魔神もだな」
「間違いなくだ」
「無敵ではないな」
「そうだ、だからな」
　それでというのだ。
「海の魔神のことを神託で伺い」
「そしてだな」
「出来る限り詳しく知ってな」
「弱点があればだな」
「攻める、力の程度もな」
　魔神のそれもというのだ。
「出来る限りな」
「知るな」
「そうしたい」
「そうだな」
「これからな、だが」
　それでもと言うのだった。
「詳しく知ることが出来るか」
「そのことはだな」
「神託が下りることすらだ」
「わからないな」
「その実はな」
「あくまで機が来ていればだな」
「わかることでな」
　それでというのだ。
「確実ではない」
「そうだな」
「そうであって欲しいと思うが」　
　それでもというのだ。
「機が来たとはな」
「わからないな」
「そのことはな」
「まさに神のみぞ知る」
　弘平が言った。
「そやな」
「そうだ、俺達がそう思ってもな」
「実はちゃうこともあってな」
「こうした場合はだ」
「まさにそれやな」
「神のみぞ知るだ」
　そうなるというのだ。
「まことにな」
「そやな」
「だからだ」
「ここはやな」
「神託が下りずともな」
「しゃあないな」
「その時はまただ」
　あらためてとだ、英雄は述べた。
「伺う」
「そうするんやな」
「国を富ませ兵を強くしながらな」
　そのうえでというのだ。