八条学園騒動記
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第六百六十話 自由な社会の条件その八
「その宮殿もです」
「見事なものですね」
「お食事も服も」
そういったものもというのだ。
「皇帝としてです」
「立派ですね」
「そうなっています」
「総統もまた階級の中にある」
「むしろです」
「その頂点にありますね」
「平民でも総統になれますが」
皇帝にあたるその座にというのだ。
「それと共にです」
「エウロパの階級社会の頂点にある」
「だからこそ連合中央政府大統領はインスタント食品等を普通に食べられますが」
「エウロパ総統はですね」
「絶対にです」
それこそというのだ。
「総統になるまでは食べられても」
「平民出身ならですね」
「それが出来ますが」
「総統になればですね」
「お食事は常にシェフの一団が作った」
「至高のものですね」
「最高の食材を使い」
そしてというのだ。
「最高の技術を用いた」
「そうしたお食事ですね」
「時間がないと思っても」
「即座に食べられるものはですね」
「食べられません、メニューはその日その時にあらかじめ定められた」
「朝昼晩と」
「そうしたものを口にします」
エウロパ総統はというのだ。
「そうしたものです」
「それがエウロパ総統で」
「宮殿に住み」
「服もです」
「質素にしたくとも」
「出来ません」
それは絶対に無理だというのだ。
「流石に紫の衣ではないですが」
「ローマ皇帝の様に」
「ですが」
紫袍は着ずともというのだ。
「それでもです」
「エウロパ総統に相応しい服ですね」
「最高級の絹を使い最高の職人が作った」
「最高の服ですね」
「私服一つ取っても」
それすらもというのだ。
「特別に仕立てられた」
「そうしたものですね」
「それこそ日本の天皇陛下の様な質素さもです」
「ないですね」
「それは許されません」
「日本の皇室の質素さは伝統ですが」
ベッキーが言って来た。
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