レーヴァティン
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第二百五十話 軌道に乗るまでその十五
「地獄に落ちろ、そうした奴は法も無用と言うが」
「法なくしてこの世は収まりません」
「力を持つ者が好き勝手をしてだ」
「弱き者は虐げられるだけです」
「そうしたこともわからないのではな」
それこそというのだ。
「生きる資格もだ」
「ないので」
「だからだ」
「そう言うのならですね」
「まずはそいつから死ね、そいつが殺されてだ」
そうなってというのだ。
「それからテロを起こした奴を捕まえてだ」
「裁判にかけますね」
「取り調べてな」
「そして死罪にしますね」
「そうする、抑圧と支配しかなく」
「収奪と搾取と」
「そんな考えならだ」
権力が悪でありその悪に反抗するのならテロを行って無関係の者を平然と殺す様なことをしても肯定するならというのだ。
「生きる価値すらない」
「この世のことが一切わからず」
「わかろうともせず特にだ」
英雄はさらに言った。
「殺された者の痛みや残された者達の悲しみや苦しみがわからず」
「わかろうともしないなら」
「生きる価値はない、人ですらない」
「只の屑ですね」
「そんな屑はな」
それこそというのだ。
「生きる価値はないからな」
「だからですね」
「まずはそうした奴が殺されろ」
英雄はこの上なく冷淡な声で言った。
「俺は助けないからな」
「そして殺したテロ組織をですね」
「処罰する、そして餓鬼にでもなってだ」
「苦しむことですね」
「そんな奴はな、そう思うからこそだ」
そうした輩をそこまで軽蔑するからだというのだ。
「俺はそうした奴にはな」
「ならないですね」
「そうして生きていく、起きた世界でもこの世界でもな」
こう言うのだった、そうしつつ蝦夷の政を進めていくのだった。
第二百五十話 完
2022・3・15
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