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レーヴァティン

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第二百五十話 軌道に乗るまでその十四

「あれは何にもならない」
「そうした考えですね」
「そうだ、暗く捻くれた見方になる」
「歴史において」
「そうなってな」
 そしてというのだ。
「何かとおかしくなる」
「文化だのも見ませんね」
「まともにな」
「抑圧される民衆と搾取する支配者」
 謙二は言った。
「その二つですね」
「この世は全てな」
「それでしか考えないですね」
「そして民衆は正義でだ」
 それも絶対のだ。
「支配者はだ」
「悪ですね」
「それしかない、そして支配者を権力としてな」
「権力に逆らうことがですね」
「無条件で正義でだ」
 そう考えてというのだ。
「それに反抗するならテロでもだ」
「いいとしますね」
「それで歴史を語るからな」
「おかしくなります」
「政も文化もな」
「江戸時代の見方もですね」
「そうなる、江戸時代の日本は黄金時代だった」
 そうであったというのだ。
「あの連中は暗黒時代と言うが」
「そうでしたね」
「そうだった、しかし権力に反対するならテロもよく」
 英雄はこの上ない嫌悪を込めて言った。
「そこで人を殺してもいいと言うのならな」
「最悪の愚者ですね」
「そう言うしかない、そんな愚者は何もなれない」
 絶対にというのだ。
「愚者以外のな」
「どんなものにもなれないですね」
「そうだ、殺された者はどうなる」
 そのテロによってだ。
「そうした奴は権力が人を殺せば怒るな」
「間違いなく」
「しかし外道がテロをして殺してもだ」
「それはいい」
「なら俺は言う、そう言うお前がテロで殺されろ」
 感情は籠っていない、しかし怒りは明らかだった。
「お前の様な愚か者が罪のない人に代わってだ」
「殺されろというのです」
「そして殺される痛みを知ってだ」
 そのうえでというのだ。 
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