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レーヴァティン

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第二百五十話 軌道に乗るまでその十三

「そうした社会にしたことでもだ」
「吉宗公は評価されるべきですね」
「引き締めと緊縮にこだわったがな」
 享保の改革である、そうして幕府の財政の立て直しにかかったのだ。
「全体的に見て大きなプラスだろう」
「真の悪政を敷いたなら」
 謙二が言ってきた。
「江戸時代はあの様に見事だったか」
「吉宗公の時代もな」
「江戸時代はその政が軌道に乗りますと」
 三代将軍徳川家光の頃にはそうなってきていた、それまでは地盤固めに腐心していた。
「後はです」
「二百年の平和と言われな」
 ミラクルピースとさえ言われる、それが世界から見た江戸時代の評価だ。
「庶民文化が栄えたな」
「そうでした」
「当然吉宗公の時代もな」
「日本全土が平和で」
「落ち着いていてな」
「一揆はあってもです」 
 それでもというのだ。
「あれはデモの様なもので」
「戦ではない」
「落語や歌舞伎や浄瑠璃が出て」
「色々な作物も多く栽培されてな」
「豊かであった」 
「そう言っていいな」
「そうした時代だったと」
 江戸時代はというのだ。
「いいでしょう」
「そうだな」
「日本の長い黄金時代でした」
 謙二は江戸時代をこうまで言った。
「まさに」
「そう言っていいとだ」 
 英雄も言った。
「俺も思う」
「左様ですね」
「だから政の手本にもしている」
 いい時代であった、そう思うからこそというのだ。
「いささか形は変えているがな」
「それでもですね」
「そうしている、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「治めているのだ」
「この浮島を」
「幕藩体制を基本としてな」
「中央の力を強くしています」
「幕府のそれをな」
「そうしている」
 まさにというのだ。
「何かとな」
「まことに江戸時代はいい時代だったとです」
「思うな」
「はい」
 謙二はまた答えた。
「まことに。搾取や収奪です」
「マルクス主義ではな」
「何もわかりません」
「マルクス主義は俺は信じていない」
 全くと言うのだった。 
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