屏風のぞき

　　　　　　　　　　　　　　　　屏風のぞき
　神戸の八条学園高等部に通っている山縣千鶴は黒く先があちこちはねた長い髪の毛を持ち目は黒くやや顰められた眉の下に気の強そうな小さめの切れ長のそれがある、白い肌で背は一六五程で胸は九十ある。黒ストッキングと黒いブレザーにグレーのスカート、水色のネクタイと白ブラウスという外見と服装だ。
　その彼女が今大阪市都島区の自宅の中で幼馴染みでありクラスメイトの黒田駿一八〇近い体格でがっしりした体格に丸い顔と黒く短い髪の毛に小さな目と団子鼻にやや分厚い唇で黒の詰襟の制服の彼を前にして言っていた。
「とりあえずは二段おめでとうよ」
「柔道のことだね」
「聞いてるわよ、あんた二段通ったのよね」
「この前ね」
「そのお祝いでよ」　
　千鶴は和風の居間の中で西郷と共に卓を囲んで言っていた、座布団の上に彼女は正座し黒田は胡座をかいている。
「今日は来てもらったのよ」
「いつも悪いね」
「悪くないわ、私も柔道やってるしね」
　千鶴は柔道部員である、黒田もそうである。
「しかも小学校からの付き合いだし」
「そうだね」
「それで今日はお祝いでね」
「僕を呼んだんだ」
「それと今うちお肉を沢山もらったけれど」
「食べきれないんだ」
「今からここですき焼き作るから」
　それでというのだ。
「あんた沢山食べるからね」
「お肉を食べてなんだ」
「その消費に貢献してね」
「それじゃあね」
「お鍋持ってきました」　
　ここで二人の後輩である桂恵那が来た、茶色の癖のある肩までの首に添った形の髪の毛に細い眉、黒目がちの少し意地悪そうな目と小さな微笑んだ口の一五三位の胸の大きな少女、黄色いセーターとグレーのスカート、赤のネクタイにピンクのブラウスという外見とスタイルだ。彼女は柔道部のマネージャーであり二人より一つ下だ。二人共スカートの丈はかなり短い。
「後はお肉持ってきますね」
「私が持って来るわ、他の食材もね」
「先輩がですか」
「だからいいわ、それで貴女もよ」
　千鶴は恵那にも話した。
「すき焼き食べてね」
「私もですか」
「今うちお父さんとお母さん旅行でいないし」　
　千鶴は難しい顔になって述べた。
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもアルバイトで帰り遅いし」
「それでなんですね」
「お肉今日までなのに」
「食べる人がいなくて」
「貴女もね」
「食べていいんですね」
「遠慮しないで、どんどん食べてね」
　こう言うのだった。
「いいわね」
「わかりました」
「それでよ、お酒もあるから」
　千鶴は黒田にあらためて言った。
「全部食べてね」
「全部なんだ」
「そう、あんたの食欲に期待しているから」
「お祝いも兼ねてなんだ」
「食べてね、いいわね」
「それじゃあね」
「今から食べましょう」　
　こう言ってだった。
　千鶴は肉と葱に豆腐、椎茸、菊菜、糸蒟蒻等を持って来てだった。
　すき焼きを作った、そうして恵那を交えて三人で食べて酒も飲んだ。食べはじめると肉も他の食材もあっという間にだった。
　なくなってきた、それで千鶴は日本酒を飲みながら笑顔で言った。
「いやあ、二人に来てよかったわ」
「かなり減りましたね」
「私一人だとね」
　恵那に赤くなった顔で応えた。