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とあるの世界で何をするのか

作者:神代騎龍
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第三話  住んでる場所の把握

 目が覚めたときにはまだ真っ暗だった。

「知らない天井……かどうかも分からないや」

 昨日寝るときに天井も見ているので知らない天井というわけではないはずなのだが、何となく言わなければならない台詞のような気がして、言ってみようと思ったけど天井が見えなかったというオチだ。というか、実のところ俺はこのネタの元が何なのかを知らない。

 思わずライティングで明かりを灯そうとしてしまうのを寸前で抑えて、目が慣れるのを待ってから部屋の電気のスイッチを入れる。昨日寝るのが早かったということもあって、時間はまだ午前二時、いわゆる『草木も眠る丑三つ時』というやつだ。

 俺は恐ろしく早い朝食を取りながらこれからのことについて考えていた。昨日は俺の能力についての確認だけで終わったので、今日は周囲の確認でもしておこう。とはいえ、この時間なのでまずはこの寮からだ。寮としては広いほうではないだろうか、部屋は台所と居間兼寝室といった感じの1K、台所は廊下の横に流し台やガスレンジが置いてあるようなタイプではなく、六畳程度の独立した部屋である。台所から続く居間兼寝室の部屋は八畳ぐらいの広さがあるだろうか、さらに二畳分はあろうかというウォークインクローゼットまでついている。そして、風呂とトイレは別々で、風呂の前には脱衣所兼洗面所がついていて洗濯機も置いてある。

 食事を終えてウォークインクローゼットの中を確認しに行く。一応、昨日4~5着の服が入っているのは見たが、どんな服が入っていたかというところまでは見ていなかったのだ。

 クローゼットに入って電気を点けてみると思ったよりたくさんの服が掛かっていた。ポロシャツとワイシャツが2着ずつ、セーターが3着、ブルゾンとハーフコートが1着ずつ、ジーパンが2着、スラックスとチノパンが合わせて3着だ。そして、3段の収納ボックスを見ていくと、靴下が5足、Tシャツ4枚、ランニングシャツ2枚、そして思わず笑ったのがパンツ……ブリーフとトランクス、ボクサーパンツまでがそれぞれ5枚ずつ入っていたのである。その他にもハンカチやタオル類、帽子、マフラーといったものから、なぜか軍手が一束といったものまで、当面の生活に困ることはないだろうという程度には揃っていた。

 次に確認するのは机の中だ。と思って机のところまで行ってみると、パソコンのキーボードの前に封筒が置いてあった。昨日も見たのだが、キーボードの下に半分隠れるように置いてあったことと、封筒の色がキーボードの色と似ていたため、パームレストだと思ってしまったのである。中身を確認してみると10万円が入っていて、封筒の表には『必要なものがあればこれで揃えるように』と書いてあった。

 取り敢えず封筒はキーボードの上に置き、机の引き出しを開けてみる。中には目覚まし時計や冷蔵庫、洗濯機、エアコン、パソコン、テレビといった、この家の家電製品の取扱説明書が入っていた。別の引き出しを開けてみると、学園都市の地図とバスやモノレールの路線図や時刻表が入っていた。その他の引き出しを一通り見て、めぼしい物がない事を確認して、地図や路線図をテーブルまで運んだ。

 テーブルの上に地図を広げて俺の住む地域の周辺を見てみようと思ったのだが……良く考えたら地図上でのこの寮の位置を知らないということに気づいた。どうしたものかと思案してみるが、真っ先に思いつく方法といえば、ちょっと外に出てこの寮の名称を確認するとかこの辺の地名や番地を確認することぐらいだった。

 まだ三月上旬ということもあり、外は結構寒いのでクローゼットのブルゾンを着て外へと出る。最初に驚いたのはこの寮が『寮』ではなく『アパート』だったということ、確かに現在はどこかの学校に通っているわけではないので、寮に入るということはないのだ。しかし、この造りでアパートだとするなら小萌先生は涙目だな。いや、家賃に差があるか……。

 周辺を数分歩いて地名を確認するとアパートに戻って地図上での現在位置を探す。地名や番地、アパート名などが分かっても、それを地図上で探し出すのはかなり大変な作業だった。恐らく第7学区だと目星はつけていたものの、第7学区だけでもかなりの広さがあって、しかもこの周辺の地名は何丁目とか付かない地名だったので、余計に苦労したのである。

 それから数時間、完全に夜が明けて外が明るくなるまで地図を眺めていた。一般の施設などは建物の形まで分かるような描き方になっているのに対し、研究所などの施設では敷地の外郭のみで中が一切わからないようになっている場所も数多く存在し、学区によっては施設の外郭どころか道路すら分からないような場所もあった。

 外が賑やかになってきたので今は通学時間帯なのだろう、早すぎた朝食からすでに5時間ほど経過しているので、早すぎる昼食というより本来の朝食でも食べようかと準備を始める。通学時間帯が過ぎれば実際に外に出て辺りを散策してみようとも思ったのだが、一般生徒が学校に行っている時間帯に外をうろついていると、アンチスキルやジャッジメントに補導されるかもしれない。だが、アンチスキルはだいたい学校の先生が兼任しているのがほとんどだという話だし、ジャッジメントは学生がやっているのだ。授業時間中は外の巡回とかそんなにしてないのでは? とか思ってしまう。

 朝食を食べ終わり、時刻が8時を回ると、通学時間帯の終わりを告げるかのように、外もだんだん静かになり始めていた。俺は時刻表を手に取ると、バスやモノレールが動く時間を見てみた。思ったとおり学校の授業時間中は極端に運行本数が少ないが、3月の初めからは春休みの特別運行で増便されているようだ。

 俺はふと思い立ってもう一度地図を引っ張り出す。

「セブンスミストってどこにあるんだ?」

 取り敢えず、俺の原作知識で真っ先に名前が浮かぶ施設『セブンスミスト』の位置を探す。三沢塾や操車場なんかも有名といえば有名かもしれないが、そんな場所を探してもあまり意味はないし、御坂さんが上条さんにレールガンをぶっ放す鉄橋や、御坂さんがいつも蹴ってる自動販売機などは地図上で探しようがない……いや、鉄橋に関しては橋の名前が分かれば簡単に探せるはずなのだが、原作で鉄橋の名前が出てきていたとしても生憎俺は覚えていないのである。ついでに言うと、あの『冥土返し』が居る病院の名前も、上条さんが通っている学校の名前すらも覚えていない。

 セブンスミストはかなり大きなビルで、第7学区の商業施設が集まる区域、しかも一等地といえるような場所にあったはずだ。と思って探していると、やっぱり駅の近くの一等地にセブンスミストを見つけた。ここからでもそれほど遠くなく、バスの路線もあるが歩いても行ける距離である。

 さすがにこの時間から出かけるのはまずいと思うので、セブンスミストへは昼過ぎになってから出かけるつもりで、それまではネットで情報を集めるためにパソコンを立ち上げてみる。期待通りというか流石学園都市製というか、パソコンの起動速度に関してはこれまでに巡ってきたどの世界のパソコンよりも早かった。

 パソコンが立ち上がってから色々動かしてみた。Micr○S○ftが作ったのか学園都市が作ったのかは分からないが、OSの造りはWind○ws系と全く変わらなかった。ただ、動作の速さはWind○wsなんか目じゃないほどの早さで、サクサクを通り過ぎてシュシュシュッっといった感じだ。

 ネット自体は元々俺が居た世界と特に変わるところは無いようで、検索なども苦労することなくスムーズに出来た。ただ、学園都市内のサイトは表示が速いのだが、学園都市外のサイトに関しては微妙にラグが出るようだ。これに関しても、俺の原作知識が間違ってなければ、学園都市の外とつなぐ場合には情報の流出を防ぐために検閲のようなものが掛かっていたはずである。

 適当にネットサーフィンなどを楽しんで、ふと時計に目をやるとすでに正午になろうかという時間になっていて、外には学生たちの声が聞こえ始めていた。今日は年度末の試験などでもあったのだろうか、外は普通に賑やかになってきているので、これなら出掛けても補導されたりはしないだろう。

 確か学園都市の中で使われているお金は特別製だったはずなので、まず財布を取り出して中のお金を全て出す。そして、封筒から3万円ほど取り出して財布に入れる。

「いってきまーす」

 家を出る際に一応一声掛けるが、別にシェーラやアリスに声を掛けているというわけではない。二人は特に何もなければ俺についてきているはずだからだ。では何故声を掛けるのかといえば、俺の気持ち的な問題としか言いようがない。

 外に出ると予定通りセブンスミストに向けて歩き出す。バスだと停留所4つで10分ほどの距離だが、セブンスミストまで歩けば30分ぐらいか……今の俺の足なら40分ぐらいは掛かるかもしれない。

 歩いて目に付いたコンビニなどには取り敢えず入ってみることにした。コンビニなので品揃えとかに大きな違いはないのだろうが、それでもチェーンによって特色のようなものが出るのがコンビニだ。コンビニを3店舗ほど見てさらに歩いていると、ファミレスを見つけた。時間的にはそろそろ昼時ということもあって、中はそこそこ込んでいるようだ。俺も昼食はまだなので外看板でメニューなどを眺めてみるが、特にコレといったものがなかったのでそのままスルーすることにした。

 その後2件ほどコンビニを見たあと、ようやく目的地セブンスミストに到着した。パッと見デパートのような大きさの建物で、中もまるっきりデパートのような感じだった。あれ、セブンスミストってデパートだったっけ? なんて考えながら中を歩く。

 まず案内板で確認して子供服売り場へと向かい、取り敢えずはパジャマとして使えるスウェットかジャージ辺りを探す。パジャマだと用途が限定されすぎてしまうので、出来ればジャージ辺りでうまく使いまわしたいところだ。

 色々見て回っているうちにパジャマのコーナーにも差し掛かったのだが、その中にサイズが100cm~160cmまで10cm単位で揃えてあるバスローブを見つけてビックリした。でも、白井さんなら着ててもおかしくないか……というか着ているのをアニメで見たことがあるような気がする。

 結局、蛍光グリーンのラインが入った黒いジャージの上下を揃えて、思ったより安かったのでついでに薄い青系のスウェット上下も購入し、さらに軽めのジャケットを買っても諭吉さん一人で英世さんが4人も帰ってくるという安さだった。

 その後もしばらくセブンスミストの中を見てまわり、店を出たときにはすでに3時になろうとしていた。その時間ならもう空いているだろうと来るときに見たファミレスに入ると、すでに客の姿はほとんどなかった。席に座ってメニューを見ると……まともな料理のほうが少ない!? というか、ほとんどが独創的な表記のメニューでどんな味なのか想像することすら難しいものばかりだった。しかし、料理名に『地獄』とか『死の』とか『混沌』とか『天外魔境』なんて付けるネーミングセンスって一体……。取り敢えず、俺の頼んだ『逆鱗に触れるオムハヤシ』はかなり美味しかったとだけ言っておこう。

 ファミレスを出るとコンビニに寄って蕎麦のカップ麺を何個か購入する。部屋に戻って服を置くとカップ麺を持って隣と上下の部屋に挨拶に行ってみた。下の部屋には誰も住んでいないようで表札も掛かっていなかった。隣の部屋と上の部屋の住人にはカップ麺を渡して挨拶をしたが、残念ながらどちらも男性だった。というか、アパートでも男性用と女性用は完全に分けられているのかもしれない。

 そして、余ったカップ麺は夕食になったのである。
 
 

 
後書き
前の話で主人公設定、今回の話で周辺設定という感じにしています。
また、その他設定なども基本的には話の中で出していくつもりなので、『主人公設定』や『キャラ設定』というのは置かないつもりです。 
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