八条学園騒動記
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第六百四十六話 最後はカレーその十一
「軋轢があって差別といっても」
「差別あるわよ、あちこちに」
「法律での保護は認められていますね」
「当たり前でしょ」
ナンはそれはと答えた。
「それは」
「左様ですね」
「あの、何だかんだ揉めてもね」
「同じ連合市民だ」
アルフレドも言った。
「法律で扱いに違いがあるか」
「差別法律で定めたら大変よ」
ジュリアも言った。
「どんな学校にも行けて働けてお給料貰えてね」
「そして選挙も出られて投票出来る」
アルフレドは参政権のことも話した。
「当然のことだ」
「そんなの誰も否定しないわよ」
「しかしマウリアは違い」
セーラは彼等にこのことを話した。
「法的にです」
「そうか、アウトカースト層はな」
アルフレドはセーラの言うことを理解して応えた。
「法的にもな」
「完全にです」
「除外されていたな」
「差別そして区別でもなく」
「除外だな」
「そうなっていて人間としてもです」
「扱われていなかったな」
「そうでした、ですから」
そうした事情があるからだというのだ。
「連合の差別の比ではないです」
「そうだな」
「連合では差別は辛いですが」
そうした風に感じるがというのだ。
「マウリアでは絶望と飢餓です」
「その両方か」
「それ故にです」
「あの人もか」
「そしてアウトカースト層全体がです」
「餓えていてか」
「怨念の様にです」
その域でというのだ。
「求めています」
「自分達の立場をか」
「虐げられている立場からの解放と」
それにというのだ。
「逆に自分達がです」
「あれ?支配者になる?」
ジョルジュは眼鏡の奥の目を顰めさせて言った。
「そういうこと?」
「はい、そして今度は自分達がです」
「虐げるの」
パレアナが聞いた。
「そうなの」
「カースト層の上に立ち」
逆にというのだ。
「自分達は支配し虐げる」
「そうなることを考えているの」
「長年そうであった復讐も」
「考えているの」
「その一千億のアウトカースト層を代表して」
「あの人は餓えていて」
「ヒトラーの様にです」
まさにというのだ。
「なろうとしています、ただ民主政治はです」
「壊さないのね」
「それは絶対です」
ジャバルもというのだ。
「そこは安心していいです」
「そうなのね」
「そして独裁者にもなりませんが」
「じゃあいいって訳じゃないのね」
「あの人はマウリアのこととです」
祖国の国益と合わせてというのだ。
「アウトカースト層のことを考えています」
「そう言うと聞こえはいいけれど」
「この二つは一つになっていまして」
そうしてというのだ。
「その上でアウトカースト層がどうか」
「そう考えていて」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「これからはです」
「これからは?」
「副主席からです」
即ちマウリアのナンバーツーからというのだ。
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