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八条学園騒動記

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第六百四十六話 最後はカレーその十

「ヒトラーというと」
「危険に思われますか」
「どうしてもね」
 こうセーラに答えた。
「私はね」
「連合の方としては」
「もうヒトラーっていうと」
「悪ですね」
「そのものだから」
 そう考えられているからだというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「もうそうだって言われたら」
 ヒトラーの様だというと、というのだ。
「本当にね」
「そうですね、ですが」
「それでもなのね」
「マウリアでは違いまして私もです」
「あの人がヒトラーの様と言っても」
「悪いとはね」
 その様にはというのだ。
「思っていません」
「そうなの」
「むしろです」 
 悪いどころかというのだ。
「褒め言葉です」
「そうなの」
「はい」
 まさにというのだ。
「私としては」
「むしろヒトラーみたいだから」
「頼もしいです、ですが危険ともです」
「思うの」
「左様です、その目は餓えた目です」
「餓えてるの」
「虐げられてきて」 
 そうしてきてというのだ。
「そのうえで」
「虐げられた人の怨み?」
 ナンは言った。
「つまりは」
「はい、それがあり」
 それでというのだ。
「非常にです」
「餓えているの」
「左様です」
「そうした人なの」
「それも個人のことではなく」
 ジャバルだけのことではないというのだ。
「アウトカースト層全体で」
「餓えているの」
「彼等の想いを背負ってのことなので」
「余計になのね」
「凄まじいです、あの人自身も」
 ジャバルもというのだ。
「餓えていますが」
「アウトカースト層全体でなの」
「連合では虐げられている階級の人はいませんね」
「いや、民族や宗教の対立ってね」
 ナンはセーラにカレーをスプーンで食べつつ応えた、銀のスプーンに贅沢と思いつつももうそれはセーラにとっては普通と想い内心納得しつつ述べた。
「あるわよ」
「連合にもですね」
「あちこちの国でね、それで揉めることもね」
 そうなることもというのだ。
「あるわよ、あと地域だの職業だの」
「色々ありますね」
「労働問題もあって」
「そうですね、ですが同じ人間としてですね」 
 セーラはナンに落ち着いた声で述べた。 
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