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レーヴァティン

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第二百三十四話 手を出さないものその十一

「火山灰が多いが」
「そえでもですね」
「あくまで出来る限りだが」
 それでもというのだ。
「その地に合った木をな」
「植えますね」
「そうする、緑は多いに限る」
 英雄はこうも言った。
「それがだ」
「国をよくするので」
「そうしたい」
 まさにというのだ。
「これからもな」
「それでは」
「そうもしていく」
 蝦夷の羆やハブは退治し稀少な生きものは保護し植林も進めるというのだ、こう話してそのうえでだった。
 英雄は昼食の時に出た松茸の土瓶蒸しそれに味噌汁の中に入っている椎茸そして果物のアケビを見て言った。見れば猪肉を味噌漬けにして焼いたものもある。
「山の幸が多いな」
「はい、今は季節なので」
「だからお出ししました」
「そうしました」
「そうだな、こうしたものが食えることもだ」
 作った料理人達に述べた。
「環境を守ってこそだ」
「そうでありますね」
「危険な獣を除き」
「少ない生きものは守り」
「木も植える」
「そうしてこそですね」
「こうしたものも食える」
 こう言うのだった。
「まさにな」
「左様ですね」
「それではですね」
「これからも」
「その政も続ける」
 猪肉を食べつつ述べた。
「これからもな」
「左様ですね」
「そうしてこそだ」
「こうしたものも食せますね」
「そういうことだ」
 料理人に述べた。
「猪等もな」
「実はその猪ですが」
 料理人は英雄が食べている猪について述べた。
「山でも特に大きい」
「そうした猪だったか」
「実に見事なものだったので」 
 それでというのだ。
「前に牡丹鍋をお出ししましたが」
「あの鍋の時の猪か」
「はい、そして肝もお出ししましたが」
「内臓もだな」
「上様はそちらも召し上がられるので」
「内臓は好きだ」
 これは猪だけでなく生きもの全体のそれがだ、牛や鶏そして豚のそうした部分も好んで食べるのだ。
「それでだ」
「猪についてもですね」
「食う」 
 その内臓をというのだ。
「美味かった」
「そして残りの部分は」
「こうしてだな」
「味噌漬けにして保存し」
「味噌の味を滲み込ませていたな」
「そうしていました」
「そうだな、その味噌の味もあってだ」
 それで味付けされていてというのだ。
「実にだ」
「美味いですか」
「見事と言っておく」
「そのお言葉うれしゅうございます」
「それも環境があってだな」
 まさにというのだ。
「自然の」
「左様でありますね」
「茸もそうで山菜もだ」
 こちらもというのだ。
「やはりな」
「自然があってこそですね」
「食える、だからな」
「美味いものを食う為にも」
「自然を守る」
「政としてですね」
「そうしていく」
 こう言ってだった。
 英雄は猪も茸も食っていった、そのうえで政を進めるのだった。


第二百三十四話   完


                   2021・11・15 
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