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レーヴァティン

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第二百三十三話 後始末を進めその七

「四倍以上に増えた」
「それだけ戸籍が滅茶苦茶になってたな」
「そうなっていた、戦ばかりしていてだ」
 北朝も南朝もというのだ。
「当時人口統計は今よりも遥かに大きな国家事業でだ」
「戦ばかりしてると充分には出来ん」
「そうだったからな」
 それでというのだ。
「統一するまではだ」
「それ位の人口やったな」
「戸籍上はな、だが」
「統一してからちゃんとやると」
「戸籍に載っていなかった者が多くいてだ」
 それでというのだ。
「一気にだ」
「人口が増えたな」
「四倍以上にな」
 そこまでというのだ。
「そうなった」
「そやな」
「だが隋はすぐに滅んだ」
 二代皇帝である煬帝の無理な高句麗遠征による国力の疲弊とそれで起こった多くの叛乱それに対する煬帝の無気力によってだ。
「そして唐になったが」
「その時はやな」
「人口は一六〇〇万になっていた」
「滅んだ時の戦乱で死んだんやないな」
「戸籍が失われてだ」
 その結果というのだ。
「そうなった」
「そういうことやな」
「三国時代でも人口は三国合わせて一千万程度だった」
 魏、呉、蜀の三国でだ。
「漢、後漢の六千万からな」
「そこまで減ったのは」
「黄巾の乱以降の戦乱と三国が分かれ戦ばかりしていてな」
「しっかりした人口統計が出来ん様になってた」
「戸籍に載っていない民はだ」
 その彼等はというと。
「政ではいない」
「それと一緒やな」
「税を取れず兵にも出来ない」
「それやとな」
「存在しないことと同じだ」
 政権から見ればというのだ。
「だからだ」
「中国の王朝はいつも建国当初は弱いな」
「しっかりとした人口統計はそれからだからな」
「そういうことやな」
「だからだ」
「幕府もやな」
「それは徹底して行う」
 人口統計はというのだ。
「奥羽でもな」
「人は全てぜよ」
 当季が言ってきた。
「国にとっては」
「そうだな」
「武田信玄さんも言ったのう」
「人は堀であり石垣であり城であるな」
「それぜよ、人がおらんでな」
「国も成り立たない」
「そうぜよ」
 まさにというのだ。
「人がおらんで国は成り立たんぜよ」
「その地にな」
「そうぜよ」
 まさにというのだ。 
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