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レーヴァティン

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第二百二十六話 関を通りその三

「だからな」
「敵が集まってるけどな」
「攻めるぞ」
「ほなな」
「ではこれよりでござるな」
 今度は智が言ってきた。
「会津に向かうでござるな」
「そうする、その途中若し戦おうとする者がいれば」
「戦うでござるな」
「それは絶対だ、戦いそして降す」
「そうするでござるな」
「戦わずして降る者達はそのままだが」
「そうした者達は今は会津に集まっているというがな」
 しかしというのだ。
「その途中でいればな」
「そうするまででござるな」
「そうだ、では兵を進めていくぞ」
「わかったでござる」
「また何度も言うが雪でもな」
「進むでござるな」
「藁沓に厚着で寒さと雪から身体を守り」
 そうしてというのだ。
「飯は熱いものをだ」
「食するでござるな」
「米を食うにも粥だ」
 こちらにするというのだ。
「もっと言えばそこに野菜や茸や肉を入れてな」
「雑炊にするでござるな」
「その様にしてな」
「兵達に食わせるでござるな」
「そうしてだ」
「身体を温め」
「兵を進める、そして寝る時も」
 英雄はこの時の話もした。
「暖を忘れないことだ」
「温かくして寝ろということでござるな」
「だから毛布も多く持ってこさせた」
 これは西の浮島から東の浮島に入ったものだ、東の浮島は本来布団だが英雄は軍にはこれを入れているのだ。
「それを何枚も重ねてな」
「身体にかけて」
「そして寝ることだ」
「そうでござるな」
「寝る時が最も怖い」
 寒さがというのだ。
「この時によく身体を壊す」
「風邪をひきやすいでござるな」
「そして凍死する時もな」
 その場合もというのだ。
「やはりな」
「寝ている時でござるな」
「寝る時は体温を調整出来ない」 
 人間の身体はというのだ。
「どうしてもな」
「それでござるな」
「だから寝る時にこそな」
「身体を温めることでござるな」
「そうだ」
「毛布をしかと被り」
「寝ることだ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「寒さに備えることだ」
「そうするでござるな」
「そうする、そうして寒さと雪にな」
「勝つでござるな」
「そうする、では会津を目指す」
 こう言ってだった、白河の関を過ぎた英雄は軍勢を合図に向けていった。その途中に国人や大名は次々に幕府に降り。
 降らない者達は会津に集結していっていた、愛実はその状況を見て言った。 
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