| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百二十四話 大雪はその五

「いいな」
「はい、それでは」
「そこも進めていきます」
「そして兵を動かせばです」
「その時は」
「速やかに兵を進め」 
 大軍をというのだ。
「そうしてだ」
「勝ちますね」
「奥羽の諸大名に」
「そして国人達にも」
「そうしていきますね」
「そう考えている、そしてだ」
 英雄はさらに言った。
「この度も鉄砲は多く持って行く」
「砲もですね」
「そして術を使える者も」
「多くですね」
「弓矢に長槍もな」
 そういったものもというのだ。
「そしてそういったものでだ」
「敵を圧倒しますね」
「大軍にそうしたものを持たせ」
「そうして戦い」
「一万の敵に五万以上で迎え」
 それだけの数でというのだ。
「その構えも見せろ」
「そして降るならよし」
「むしろ降る様に仕向ける」
「そうしていきますね」
「奥羽でもな」
 これまで通りにというのだ。
「いいな、降るならだ」
「そのままですね」
「降らせる」
「受け入れていく」
「そうしますね」
「そうだ、来る者は拒むな」
 こう言うのだった。
「極悪人でもない限りな」
「極悪人は成敗する」
「必ずですね」
「その時は」
「ですがそうした輩以外はですね」
「受け入れるのですね」
「そして幕府に組み込む」
 その様にしていくというのだ。
「いいな」
「わかりました」
「戦わずして勝つ」
「奥羽でもそのことは徹底していく」
「そうしていきますか」
「それは変わらない、傷付かない戦はない」
 例えそれが勝とうともだ、その為孫子も百戦百勝を決していいものとはしなかったのである。傷付いてやがて国力を衰えさせるからだ。
「だからだ」
「それ故にですね」
「その様にしていく」
「だからですね」
「奥羽でも降る者は受け入れ」
「幕府に入れますね」
「また戦っても降る者はな」
 その場合もというのだ。
「同じだ、そして降った者には決してな」
「狼藉を行わない」
「戦って倒した者にも」
「武士としてあるまじきことはせぬ」
「決して」
「一銭でも奪えば斬る」
 本気の言葉であった。
「そして女の顔を覗いてもだ」
「同じですな」
「斬りますな」
「その時は」
「そうする、容赦なくだ」
 そうした些細な狼藉を犯してもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧